beacon

秋田から新たな風…プリンス参戦で意識高める明桜が秋田商に快勝、33年ぶりのインターハイへ

このエントリーをはてなブックマークに追加

[6.6 インターハイ秋田県予選決勝 明桜4-1秋田商 ソユスタ]

 令和4年度全国高校総体(インターハイ)「躍動の青い力 四国総体 2022」男子サッカー競技秋田県予選の決勝が6日に行われ、明桜高秋田商高を4-1で下した。明桜のインターハイ出場は、校名変更前の秋田経法大付高時代に出場した平成元年の第35回大会以来、33年ぶり5回目となる。

 明桜は2018年度よりかつて国見高で小嶺忠敏監督の下で山村和也(川崎F)らを指導、その後は神戸や名古屋の下部組織で指導実績を積んだ原美彦監督の下で強化を続けてきた。そして今季よりプリンスリーグにも初昇格。「秋田県では負けられない」と選手たちにも強い自覚が芽生えてきている。

 決勝はこれまで秋田県の高校サッカーをけん引してきた秋田商との対戦。序盤から今年のチームの特長である縦への推進力でリズムを作ると、前半7分のDF大町璃音(3年=FCあきた)のスルーパスで抜け出したFW藤山成弥(3年=仙台ジュニアユース)のシュートはGKにセーブ、同8分の藤山のマイナスクロスを合わせたFW臼田成那(2年=コンサドーレ旭川)のシュートも枠左へと外れたが、ゴールに迫り続ける。

 すると前半14分、左サイドでCKを獲得した明桜は、FW佐藤拓海(3年=仙台ジュニアユース)の蹴ったクロスにDF久米颯(3年=FCあきた)が競り勝つ。そしてゴール前のこぼれ球をFW畠山昴琉(3年=BTO)が押し込んで、先制に成功する。

 明桜はさらに前半20分に佐藤拓の中央突破からゴール前のこぼれ球を臼田が蹴り込んで追加点が決まると、前半ラストプレーとなった同アディショナルタイム1分、右サイドでDF目黒琥珀(2年=秋田U-15)のマイナスパスを受けた畠山が、ワンタッチで縦に仕掛けて右足を振り抜く。シュートは左ポストを叩いたが、そのままゴールネットを揺らし、リードが3点に広がった。

 一方の秋田商は前半22分に早くも2枚替えを行うなど、テコ入れを図りながら何とか反撃の機会を伺う。しかし前半33分のCKを合わせたDF鈴木千夏(3年=鹿島アントラーズU-15つくば)のヘッドも枠上。後半18分にMF米谷海(3年=秋田東)の蹴ったFKも枠を捉えることはなかった。

 明桜は着実に勝利へと試合を進めていく。後半14分にロングスローの流れからMF小笠原義斗(3年=コンサドーレ旭川)が押し込んだ場面は惜しくもオフサイドとなったが、同18分に佐藤拓のパスカットからスルーパスで裏を取った藤山が、GKとの1対1を制して、決定的な4点目を決める。その後、同24分にパスミスを奪われてFW川辺瑞輝(3年=FCあきたASPRIDE)に得点を許したが、これ以上の反撃は許さなかった。

 感染症の影響で4月17日のモンテディオ山形ユース戦以来、試合が出来ていない状況で今大会を迎えていたが、27人のエントリー選手のうち、23選手を使って連戦を戦い抜き、合計4試合で23得点を奪う爆発的な攻撃力をみせて、33年ぶりとなる秋田県制覇を果たした。

 試合を通じて見られたのは、自信だ。プリンスリーグ東北に昇格したことで、これまでより強度の高いチームとの対戦が続くことになった。第2節では福島の強豪、尚志高に0-2で敗れたが、これまでにない充実感もあった。原監督は「選手たちはプリンスリーグを戦うと、2日間疲れが取れないと言う。トレーニングの意識がすごく変わったのかなと思います」と口元を緩める。

 しかしまだまだ発展途上。これからも「観ている人を魅了するサッカー」を追及していきたいと話す。「去年はポゼッションサッカーでしたが、今年は縦に速いサッカー。選手の個性を生かすサッカーだと思っています。能力は高い子が揃っているので、(インターハイでは)一つでも多く勝ち抜いて経験値を積ませたい。明桜は変わったねと思ってくれたらいいのかなと思います」。古豪復活とは言わない。秋田県から新たな風を吹かそうとしている。

(取材・文 児玉幸洋)
●【特設】高校総体2022

TOP