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ドリブル軍団・聖和学園が攻撃力の高さ見せ、東北新人準優勝の東北学院に完勝。2大会ぶりの全国へ!:宮城

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聖和学園高が2大会ぶりの全国へ

[6.6 インターハイ宮城県予選決勝 聖和学園高 2-0 東北学院高 めぐみ野A]

 令和4年度全国高校総体(インターハイ)「躍動の青い力 四国総体2022」サッカー競技(徳島)宮城県予選決勝が6日、みやぎ生協めぐみ野サッカー場Aで行われ、聖和学園高東北学院高を2-0で下し、2大会ぶり4回目のインターハイ出場を決めた。

 聖和学園は県予選準決勝ではここ数年のインターハイ予選や選手権予選で何度も苦杯をなめさせられた仙台育英高を相手に2-0で勝利し、決勝へと駒を進めた。東北学院は昨年11月の県新人大会で優勝し、東北高校新人サッカー選手権大会では準優勝。タレント揃いの今年は4大会ぶりのインターハイ出場を狙い、順調な勝ち上がりを見せてきた。攻撃のタレントが豊富な聖和学園が全国へと駒を進めるか、新人大会の勢いそのままに東北学院が宮城を制するのか、注目の一戦となった。

 試合は立ち上がりから聖和学園が押し気味に試合を進めた。MF石澤海陽(3年)とMF近藤良雅(3年)の両サイドハーフが積極的に鋭い縦への突破を見せ、そこに今季のエースナンバー14番を背負うMF藤田晴(3年)や、1トップで背後への抜け出しが得意なFW桃原泰河(3年)が東北学院のゴールに襲いかかる。

 東北学院はキャプテンDF佐藤春樹(3年)とDF大友豪士(3年)が体を張ったディフェンスを見せ、自陣でブロックを作って応戦。GK桑原優治朗(3年)も落ち着いたシュート対応を見せた。聖和学園は相手陣内に攻め入るもなかなかゴールを奪えず、前半終了間際に桃原の放ったシュートは惜しくも左ポストを叩き、前半は0-0で終えた。

 後半も聖和学園ペースは変わらず迎えた22分、聖和学園は藤田がペナルティエリアのすぐ外で倒され、フリーキックのチャンスを得る。キッカーは左サイドバックのDF雫駿介(3年)。準々決勝・仙台城南高戦でもフリーキックを決めている雫は「城南戦はファーに打ちましたが、ニアに打ってGKの逆を突きました」という左足から放たれたフリーキックがゴールネットを揺らし、欲しかった先制点を獲得した。

 その後はなかなかシュートチャンスをつくれなかった東北学院がようやく猛攻を仕掛け、後半28分にはエースFW渡邉幸汰(3年)からパスを受けたMF高橋竜馬(3年)がシュートを放つが、聖和学園GK菅井一那(3年)がファインセーブを見せた。

 6分と長いアディショナルタイムに入り、迎えた後半35+4分、前掛かりになっていた東北学院DF背後に抜け出したのは藤田。藤田はこの日再三左サイドから決定機をつくってきた石澤へパスを送り、石澤が右足を振り抜いてダメ押しゴール。聖和学園が2-0と完勝した。

 聖和学園はプリンスリーグ東北6試合で12得点の高い得点力を見せつけた。「雨がどっちに転ぶかと思っていましたが、ボールが走ったのが良かったです」と加見成司監督は降りしきる雨でスリッピーなピッチが、ドリブルの得意でボールを保持できるチームにとっては好都合だったと語る。「新人戦の時は3番手の実力でしたが、新人戦の1番(東北学院)、2番(仙台育英)に勝てて結果も出て良かったです」と3位に終わった新人大会からの成長を喜んだ。

 加見監督は「例年よりはうまさの無いチームですが、よく走ったと思います」とチームワークが良く、スピードと豊富な活動量を誇る今年の代を讃えた。先制点を挙げた雫は「聖和は足下の技術や個人技もありますが、今年は全員違う色があります」とこれまでの代との攻撃の違いについて語った。ロングフィードからの攻撃や、両サイドの石澤、近藤のスピードを生かした攻撃など、バリエーションに富んだ攻撃が魅力の一つ。雫やMF神田翔和(3年)のプレースキックも攻撃の武器の一つだ。ドリブルにプラスアルファした多彩な攻撃で全国での躍進を目指す。

 一方の東北学院だったが、東北高校新人の時のようなはつらつとした勢いがこの日は影を潜め、前半から防戦一方の戦いを強いられてしまった。橋本俊一監督は「前半構えすぎてしまいました。良い形でボールを持たれると前に行けない、と選手は話していました。決して自陣に引き込もうとしたわけではありません」とブロックをつくって守り続けたのが意図したものではなかったと語る。1失点後ようやく前へ攻撃に出たが「本来立ち上がりから行きたかったのですが…」と橋本監督は悔やんだ。

 東北学院は進学校のため、例年インターハイ予選を終えると、受験に専念する選手が出てくるが、今年はタレント揃いの年。このままでは終われない。「何とか受験に専念したいメンバーも思いとどまって、選手権まで続けてやって欲しいです。このメンバーで何とかやりたいです」と選手権まで今の主力選手たちとやっていきたいと語る橋本監督。不完全燃焼に終わったこの試合を受け、選手権に向けてどう巻き返すか注目だ。
 
(取材・文 小林健志)
●【特設】高校総体2022

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