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雨中でテクニシャンが輝く。決勝アシストの星稜MF福島元基は小さな身体を「強さに」

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星稜高MF福島元基は雨中で失わない力と打開力を発揮。決勝点をアシストした

[6.6 インターハイ石川県予選決勝 星稜高 1-0 鵬学園高 金沢市民サッカー場]

 165cmの小さなテクニシャンが雨中で輝いた。後半16分、星稜高は自陣からロングカウンター。FW山下陸(3年)とのワンツーで左サイドを抜け出したMF福島元基(3年=RESTA FC)が、さらに鵬学園高の注目CB八十島陸翔(3年)との1対1を制す。

「1対1になれば自分は自信があるので、(河合伸幸)監督にも『どんどん侵入して良いよ』と言われている。自分に入った時に『これは行けるな』と思ったので、あそこは自分の間合いなのでどんどん行きます」。エンドライン際を突破してラストパス。これをMF宮前匠真(3年)が右足で決めて待望の1点が生まれた。

 雨中でもコントロールミスをすることなく、ボールを収め、運んでいた。「自分、中学の時からドリブルチームでやってきて、トラップとかボールを扱う技術とかは自信を持っているので、違いを見せていければと思っています」と福島。昨年はインターハイ準々決勝の岡山学芸館高戦で左サイドからの縦突破で決勝点をアシストしている。

 この日もボールを持ったら止まらず。ボールを奪う、ボールに絡むことを意識する結果、自然と走る距離も増やしているMFは、「前向きになった時の自分のプレーとか、サイドで1対1になったときとか、(何よりも)自分の個人技を見てもらいたい」。この決勝で一際印象的な動き。瞬間的な速さと個人技でDF間へ潜り込み、クロスやPAへのパスでもチャンスを演出していた。

 星稜の河合監督も「この子、小さいですけれどもボールを取られないですし、仕掛けてくれる。テクニックは相当高いです。走るし」と認めるテクニシャン。そして「(課題として)個人的に言っているのは、アシストじゃなくて点を獲って欲しいと要求しています」と加えた。

 加えて、本人は身体の小ささや強度不足を課題に挙げる。一方で「小さい分、小回りきかせてデカいやつにも潜り込んで行ったり、(小さな身体は)弱さなんですけれども強さに変えていきたい」と誓う。

 そのMFは同じく小柄なFWリオネル・メッシらの動画をチェック。「マジで上手いなと思って見ています。前に運んで怖いプレーするんだけど取られないとか、ドリだけじゃなくて周りの選手へのパスとか色々な選択肢を持ってやっている」。インターハイまでにまた多くのアイディアを得て、プレーで表現して自身と星稜のゴールに結びつける。

(取材・文 吉田太郎)
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