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石川決勝で再び惜敗...鵬学園は注目選手たちが大一番で勝つ選手、チームになって冬へ

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鵬学園高MF荒磯快生は抜群のスピードで会場を沸かせた

[6.6 インターハイ石川県予選決勝 星稜高 1-0 鵬学園高 金沢市民サッカー場]

 打倒・星稜高を掲げて準備してきた鵬学園高だが、王者の壁は厚かった。内容の悪かった準決勝から一変、気迫を前面に出して戦ってきた星稜に対し、準決勝まで隙なく戦ってきた挑戦者は大事な決勝で力を発揮しきれず。赤地信彦監督は「舞台のところで弱い」と高校生のメンタルの持って行き方の難しさを改めて実感していた。

 ダブルエースの一角で注目FW坂本陽斗(3年)が前日の準決勝で骨折。だが、もう一人の柱であるFW加納里玖也(3年)含めて彼ら不在の試合もこなしてきている。穴は大きかったものの、準備してきたことが発揮できれば勝機は十分。だが、選手層の厚い星稜に比べて中高通して場数を踏めていないこと、大舞台で思い切り良くプレーをする相手との差が紙一重の勝負を分ける結果になった。

 強敵に勝利するためには、決勝という舞台、普段とは異なる雨のピッチでも、ボールを保持して攻める自分たちのサッカーを展開すること。相手の戦い方を見て、判断を変えるような柔軟性や余裕も必要だ。

 指揮官は「全部テンパってしまっている」。セットプレーで2人にマークされている186cmCB 八十島陸翔主将(3年)をおとりに使ったり、加納を警戒する相手の裏をかくようなアイディアを出せればまた、違う内容、結果になったかもしれない。

 それでも星稜と互角の戦いを演じたように、今年の鵬学園は力がある。この日は怪我明けの加納が本調子ではなかったものの、右SHの荒磯快生(3年)が圧倒的なスピードを披露。幾度かサイドでの連動した崩しからチャンスも作り出していた。

 また守備面は、チームからの信頼厚い注目CB八十島と逞しさを増した印象のCB鈴木樟(2年)中心に堅い。切り替えの速い守備で流れを掴んでいた時間帯もあっただけに、細かなリスク管理の部分などを再確認して冬へ。赤地監督は決勝で敗れたことに加え、タレントたちがインターハイで多くの人々の目の前でプレーできなくなることも残念がっていた。「そのためにも、行きたかったんですけれどね」。19年度の選手権で全国ベスト16へ勝ち上がったあとは県大会で準優勝が続いているが、大一番で勝ち切る選手、チームになって今冬は全国舞台に立つ。


(取材・文 吉田太郎)
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