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目指してきたのは全国での白星…高松工芸を下した高松商、香川制して“目標への挑戦権”獲得

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34回目のインターハイ出場を決めた高松商高

[6.11 インターハイ香川県予選決勝 高松商高 0-0(PK5-4)高松工芸高 香川県営サッカー・ラグビー場]

 令和4年度全国高校総体(インターハイ)「躍動の青い力 四国総体 2022」男子サッカー競技の香川県予選決勝が11日に行われ、高松工芸高と対戦した高松商高が0-0で突入したPK戦を5-4で制し、3大会ぶり34回目のインターハイ出場を手にした。

 高松商にとって4年ぶりの出場となった昨年度の選手権は、鹿島学園に0-2で敗れ、初戦敗退。その時の負けから、全国大会での白星を目指して、チーム作りを行ってきた。この日の決勝は決して満足の行く試合内容とは言えなかったが、目標への挑戦権を粘り強く掴んだ事に価値がある。「先輩たちが挑んだ去年の選手権以降、全国で勝てなかった悔しさを持って、ここまで来てくれた。最後もそれが見えたPKだったと思いました」。川原虎之亮監督はそう口にする。

 選手は3回戦から準決勝までを3日続けて戦ったが、相手は大手前高松高(準々決勝)、寒川高(準決勝)と県の頂点を狙えるチームばかり。「張りつめていた緊張感が、1週間空いた事で切れていた」(川原監督)。主将のMF浜浦開司(3年)も「決勝という事もあって、なかなか全員が落ち着かなかった。3連戦を乗り越えてきたチーム力はあったと思うのですが、一人ひとりがふわふわしていた」と続ける。

 前半4分にはDF市原立暉(3年)からのパスを受けたFW多田蒼生(3年)がドリブルで右中間を前進。中央に送ったボールをMF百々歩夢(3年)が合わせるなど立ち上がりは勢いを持って試合に入れたが、以降は続かない。同9分には、FW西山亮太のパスから、MF岡川雅哉にクロスを上げられるなど、奪ったら素早く前方に展開する高松工芸の攻撃を受ける場面も見られた。

 流れを変えたい高松商は後半開始と共に、MF谷口陽斗(2年)を入れて、システムを4-1-4-1から4-2-3-1へと変更。中盤の人数を増やし、相手ボランチの脇を突こうとしたが、相手エリアでのミスが続き、ゴールには至らない。それでも、後半2分には左CKから、DF柴村泰駕(2年)がヘディングシュート。同8分には谷口のパスをPA右で受けたMF鍋島愛翔(3年)が切り返しから、ゴールを狙ったが、枠を捉える事ができず、0-0で延長戦へと突入した。

 後半以降、苦戦が続いた高松工芸も一発を狙っており、延長戦後半8分にはロングフィードをDF裏に落とす。途中出場のMF逢坂光晴が強引に抜け出して、ゴール前に持ち込んだが、タイミングよく前に出たGK広瀬光希(3年)に阻まれた。迎えたPK戦では、広瀬が高松工芸の3人目のキックをストップ。対する高松商は5人全員がキックを成功させ、PK戦を5-4で制した。

 選手権に続く全国大会で狙うのは、もちろん白星のみ。昨年の経験者である浜浦は「(選手権で対戦した)鹿島学園とはスピード感とかプレー一つひとつが全く違った。小さい差が大きな差に繋がって。2失点という形になった。フィジカルの部分も県内では戦えても、全国では通用しない部分があり、学びました」と口にする。新チームになってから浜浦ら経験者を中心に、常に全国基準を意識してトレーニングを積んできた。インターハイは個人として、チームとしてどれだけ成長出来たかを図る格好の舞台だ。この日同様、勝ちたい想いを前面に出し、今度は歓喜に沸くつもりだ。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校総体2022

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