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宇部鴻城は初の決勝で高川学園に下で勝負し、1-2。より技術磨き「全国でも戦えるチームに」

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宇部鴻城高の最終ラインで存在感を示したDF岡村譲二朗主将がドリブルで前進

[6.12 インターハイ山口県予選決勝 高川学園高 2-1 宇部鴻城高]

 初の決勝で惜敗したものの、宇部鴻城高は22年のインターハイ予選で名を上げた。いずれも全国大会出場歴を持つ山口県鴻城高、聖光高、小野田工高を連破。そして、決勝では名門・高川学園高に渡り合って見せた。

 就任6年目の湊卓也監督は東福岡高、鹿屋体育大OBで、神村学園高のコーチとしてMF橘田健人(現川崎F)やMF高橋大悟(現清水)を指導。地元・山口に戻り、当時県リーグ4部だったチームを県2部へ引き上げ、今回は初めての決勝進出を果たした。

 宇部鴻城は個々のボールスキルが高く、DFラインの選手も相手のプレッシャーを巧みに外してドリブル、そして長短のパス。選手権3位・高川学園に名前負けすることなく、自分たちが取り組んできたことを表現していた。

「常に求めている」(湊監督)という粘り強さも含めて健闘。0-2の後半14分にはDF吉田太海(3年)の右クロスをFW黒羽大雅(3年)がダイビングヘッドで決めて1点を返した。直後の幻のゴールにも挫けず、チーム内で前向きな言葉がけを続けて最後まで諦めない戦い。選手たちは自信をつけた一方、満足はしていなかった。

 3バックの中央で落ち着いた攻守を見せ続けていたDF岡村譲二朗主将(3年)は、敗戦したこと、自分たちのサッカーを存分に発揮できなかったことを悔しがる。「自分たちが後ろで繋ぐという意識が高すぎて、前で繋ぐという意識に欠けていた。自分たちは去年の先輩たちの涙を見てここまでやってきて、それでも足りないというか、勝ち切れるチームになりたいなと思いました」。ボールを保持する時間こそ増やしていたものの、サイドや高い位置まで何度も運ぶこと、そこから崩すことにチャレンジできなかった。

 湊監督もできなかったことに目を向け、「(選手たちには)足らないところは細かいところでいっぱいあるよね、と。それは個人個人とかに話ができたら良いかなと。ベンチ含めてまだ自分に矢印を向けれない子が多いので改善していきたい」と語った。

 普段は、学校近隣のクレーコートで技術力と判断力を徹底的に強化。湊監督の「こういうスタイルでやるということと、サッカーだけじゃなくて人間的なところも伸びていける3年間に僕らはそこを目指してやっているので、と。社会に出てあなたが必要だと言われる人間を目指してサポートしますと」という言葉に魅力を感じた地元の高校生たちが進学し、台頭してきている。

 湊監督は「(高川学園と)差はないとこの子たちも言っているので、冬に向けてまたやっていきたいです」と語り、岡村も「もっと運ぶところや繋ぐことができると言われたりしたので、そこは今大会まだでき切れていないので、次の全国大会に繋がる選手権へ向けてもっと成長しようと思いました。選手権は山口県で必ず1位になって全国でも戦えるチームになろうと思います」。野心を持つ新鋭は意識面を変え、もっともっと技術を磨いて山口制覇するチーム、全国で戦えるチームになる。

(取材・文 吉田太郎)
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