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プリンス関東1部参入で練習から強度向上。抜け目なく得点重ねた鹿島学園が6-1で茨城準決勝突破

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鹿島学園高は決勝点を決めた左SB藤井快(5番)や3発のFW玉川颯太(18番)らの活躍によって快勝

[6.15 インターハイ茨城県予選準決勝 鹿島学園高 6-1 水戸啓明高 ひたちなか市総合運動公園陸上競技場]

 15日、令和4年度全国高校総体(インターハイ) 「躍動の青い力 四国総体 2022」男子サッカー競技茨城県予選準決勝が行われ、鹿島学園高が6-1で水戸啓明高に快勝。鹿島学園は2大会連続9回目のインターハイ出場を懸けて、19日の決勝で明秀日立高と戦う。

 昨年度選手権16強、今季プリンスリーグ関東1部を戦う鹿島学園は、いずれも昨年の全国大会を経験している注目エースMF林結人(3年)と21年U-16代表候補MF櫻井稜(3年)、右SB上原悠平主将(3年)らが先発。4-4-2システムのGKは195cmの大器・木村和輝(3年)、右SB上原、CB福留康輔(3年)、CB高橋寛介(2年)、左SB藤井快(3年)、ダブルボランチが妹尾俊兵(2年)と萩原駆(3年)、右SH櫻井、左SH林、そして池田修斗(3年)と玉川颯太(3年)が前線に構えた。

 一方、水戸啓明は13年以来となるインターハイ出場にチャレンジ。4-4-2システムのGKが門脇優斗(3年)、右SB鈴木翔太(3年)、CB親川達貴(2年)、CB栗原旭陽(3年)、左SB中山翔空(3年)、清水開児主将(3年)と大槻聡良(3年)のダブルボランチ、右SH都平亮磨(3年)、左SH黒田光志(3年)、そして近藤圭悟(3年)と藤田佳穏(3年)の2トップでゲームをスタートした。

 鹿島学園の鈴木雅人監督はプリンスリーグ関東1部で戦う今季について、「(対戦相手が鹿島ユースや昌平高など)どの試合も必死で、トーナメントのようなリーグ戦になっている。良い経験になっています。(昨年までと異なるのは)強度の部分かなと思いますね。(対戦相手が)より速く、強く、上手くというところでウチが防戦一方という試合もあります。その中で自分たちの上手さ、強さ、速さという形になってくるので、大きいと思います」と語る。

 茨城県1部リーグだった昨年と異なり、毎週のように全国上位レベルの強敵との対戦が続く今シーズン。日常から意識高くトレーニングを続けて力を身に着けているが、トーナメント戦への切り替えが難しく、この日も前半は思うような戦いをすることができていなかった。

 序盤は鹿島学園の中盤が間延びしてしまったこともあり、水戸啓明がセカンドボールの回収と繋ぎの部分で健闘する。8分、推進力を見せていた藤田の展開から都平が右クロス。17分には、藤田のロングシュートがGKの頭上を越えてクロスバーをヒットした。

 鹿島学園は、左サイドの林が立ち上がりから違いを見せる動き。だが、前線でボールが収まらなかったこともあり、流れの悪い時間が続いてしまう。一方、水戸啓明は切り替え速い動きが光る清水や黒田のインターセプトから速攻も。大槻がワンツーからゴール前へ飛び出すシーンなどがあった。

 鹿島学園は前半の飲水タイム明けから林をFWへ移行。前線に落ち着きが生まれる。23分には縦パスを受けた林が右へ展開し、そのまま櫻井のクロスに走り込んでヘディングシュート。そして25分、鹿島学園が先制する。サイドチェンジを起点とした攻撃から右の櫻井がラストパス。最後は林が切り返しでDF2人のマークを外し、右足シュートを叩き込んだ。

 エースの鮮やかな一撃でリードした鹿島学園はさらに28分、萩原が左サイド後方から右足でFKを蹴り込む。GKの小さなクリアに反応した藤井が左足シュートを決めて2-0とした。だが、水戸啓明は30分、親川の縦パスに近藤がオフサイドギリギリのタイミングで反応。一気に抜け出し、右足で追撃ゴールを決めた。

 直後には黒田がインターセプトから大きく前進。水戸啓明が明らかに盛り返していた。だが、玉川が前線で献身的な動きを続け、3ラインの連動性も高まっていた鹿島学園は40分、敵陣中央で林と妹尾の2人がかりでインターセプト。すぐさま妹尾が左サイドへ展開すると、池田とのコンビで藤井が左足クロスを上げる。これが水戸啓明のオウンゴールを誘い、3-1とした。

 水戸啓明の巻田清一監督は「(鹿島学園は)抜け目ないなと。良い入りをしたと思うんですけれども、『これはまずい取られ方したな』というところは逃してもらえなかった」。水戸啓明は奪った後にやや余裕がなく、攻め切る前にボールを手放す回数が増加。抜け目なくゴールへ結びつける鹿島学園の2点リードで前半を折り返した。

 水戸啓明は後半開始からFW田口太輝(2年)を投入。個々の巧さやパワーがリンクし、再び押し返して見せる。だが、2点差に突き放されていたことで「攻めるしかなくなってしまった。前半のようにキチッと入っていく状況を作りにくくなってしまった」(巻田監督)。鹿島学園は前への意識が強い相手の背後を的確に突き、追加点のチャンスを作り出す。
 
 水戸啓明は何とかDF陣が踏ん張っていたものの、上原が「ハーフタイムの時に統一して最後までやり切ると決めていたので走り切れた」と説明する鹿島学園は運動量が落ちない。22分、右中間の林が櫻井とワンツー。さらにPAへ深く潜り込んでクロスを上げる。これをニアへ飛び込んだ玉川が頭で合わせて4-1。水戸啓明はこの後、FW飯嶋遼雅(3年)とFW藤田航平(3年)を同時投入してチャンスも作る。だが、鹿島学園は29分にも速攻から林が右サイドを抜け出し、ラストパス。PAまでスプリントしていた玉川がスライディングシュートで合わせて4点差とする。

 鹿島学園は33分、左SB篠田嵩人(3年)、MF山本慶斗(3年)、左SH鈴木仁之介(2年)を同時投入し、水戸啓明もMF綿引廉(2年)をピッチへ。直後の34分、鹿島学園は連続シュートから最後は玉川が左足で決めてハットトリックを達成する。そして、スタンドと一体になってのゴールパフォーマンスを三度披露。この後、最後のカードとしてCB山本瑛士(2年)を投入し、6-1で勝利した。

 鹿島学園の鈴木監督は「点を獲れたことは良かったけれど散漫なプレーはあった。これは言っていこうかなと」と指摘する。決勝の相手はライバル・明秀日立。主将の上原は、「自分自身、去年(夏冬)2回とも全国大会に出て経験しているのでチームに還元して、今年も出れるように頑張っていきたい」と意気込み、プリンスリーグで培った力を決勝でも全力で発揮する考えだ。

「(プリンスリーグは)自分たちよりもレベルの高いチームしかいないので、その強度に付いていくために練習から本当に強度を上げている。それを出して行ければ(全国大会に)行けると思います。強度、切り替えのところを今年の目標としているので、それを全面に出して勝ちたい」。先輩たちのお陰で得ているレベルの高い日常。その中で成長した力を19日の決勝や全国大会で示す。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2022

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