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前から全力で追い続けて引き寄せた歓喜の瞬間。鹿島学園FW玉川颯太が仲間たちと3度のゴールパフォ

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後半34分、鹿島学園高FW玉川颯太がこの日3度目のゴールセレブレーション

[6.15 インターハイ茨城県予選準決勝 鹿島学園高 6-1 水戸啓明高 ひたちなか市総合運動公園陸上競技場]

 ハードワーカーの献身が、3つのゴールを引き寄せた。鹿島学園高の180cmFW玉川颯太(3年=アイリスFC住吉出身)は、前半から相手DF、GKに全力でプレッシング。「僕、この前まで行くんですけれども、全力で行っていなくて、(鈴木雅人)監督から『行くならば全力で行け』と言われて、そこから変わりました」。前半は後方の選手が付いてこれていないシーンも見受けられたが、徐々に改善。最前線での全力プレーが水戸啓明高のビルドアップに狂いを生じさせていた。

 ここまでゴールという結果を十分に残せていなかった。だが、「雨で芝も悪いので、どこかで相手もミスるかもしれない。後ろが拾ってくれればよい」という姿勢でハードワークし続けたことが、自身の得点を引き寄せる。

3-1の後半22分、右サイドをえぐったMF林結人(3年)のクロスをニアでヘディング弾。「(先輩の)上田綺世選手じゃないですけれども、あそこが一番点獲れるポイントだと監督からも言われているので」勇気を持って飛び込み、ゴールに結びつけた。

 ゴールを確認すると、「格好良いし、一体感がある。プリンスの西武台戦からやろうとなって、スタンドもやってくれていたので」とコーナー付近まで走って跳躍し、着地と同時にスタンドが一体となって「ウォウ!」。青森山田高FW渡邊星来(現刈谷FC)が昨年度の選手権で見せていたゴールセレブレーションで待望の1点を喜んだ。

 さらに29分にはカウンターから右の林へボールを預けると、一気にゴール前までスプリント。林のグラウンダーのラストパスに体を投げ出して合わせて2点目を挙げた。そして、34分にはゴール前のこぼれ球を左足で押し込み、この日3度目の「ウォウ!」。試合後、充実した表情で「僕だけじゃなくてチームみんなで奪ったゴール。(ただし、ゴールセレブレーション)3つは疲れました」と口にしていた。

 その玉川について、鈴木監督も「今まで頑張っていたんですけれども、実を結んでいなかったので良かった。本当によく頑張ってくれたと思います」と賞賛する。元々は裏抜けやDFとの駆け引きを得意とするストライカー。そこからチームのために泥臭く走り、ゴールを決められる選手へ変わった。

「得点というところにおいてはまだまだだと思っていますけれど、前から追っかけたり、体を張ったりすることは誰にでもできるんで、それをやり続けた結果がきょうの3点。監督には感謝していますし、やり続けることで点を獲れたので嬉しい」。目標は「1年に1、2回来てくれますけれど、ゴツいです」という先輩FW上田綺世(鹿島)。決勝でもチームのため、ゴールのためにハードワークを続け、必ず勝つ。

(取材・文 吉田太郎)
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