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水戸啓明は王者と前半渡り合うも…先輩MFのような強い気持ち、特化した武器を持って“這い上がる”

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前半30分、水戸啓明高はFW近藤圭悟が追撃ゴール

[6.15 インターハイ茨城県予選準決勝 鹿島学園高 6-1 水戸啓明高 ひたちなか市総合運動公園陸上競技場]

 最終的に1-6で敗れたが、水戸啓明高と王者・鹿島学園高との間にスコアほどの差はなかった。特に前半、「セカンドのところで頑張らないといけないチーム」(巻田清一監督)はその攻防で健闘。加えて、MF清水開児主将(3年)とMF大槻聡良(3年)のダブルボランチをはじめ、技術力の高い水戸啓明は繋ぐ力と前線のパワーも表現して王者と渡り合っていた。

 前半17分には、10番FW藤田佳穏(3年)の右足ロングシュートがクロスバーをヒット。またサイド攻撃や、DFラインからの縦パス、ワンツーでゴール前のシーンも作り出した。雨によるミスもあって2点を先攻されたが、23分にはCB親川達貴(2年)の縦パスでFW近藤圭悟(3年)が抜け出し、1点を返して見せる。

 狡猾にボールを奪う左SH黒田光志(3年)を起点とした速攻などでチャンス。1-3の後半開始から推進力のあるFW田口太輝(2年)を加え、流れを引き寄せる時間帯もあった。だが、ややバランスを崩して前に出たところで守りが崩されて3失点。ここぞのシーンで確実に仕留めてくる鹿島学園との差が出る形となり、悔しい敗戦となった。

 大黒柱の清水は初戦で負傷し、この日が復帰戦。今春は怪我もあって思うようにプレーができていなかったという。巻田監督は「意図を表現できるから。アイツのチームだし、アイツがいないと困っちゃうけれど。良いコンディションで入ってこれたら」と残念がっていた。それだけに、選手権予選はチーム全体の状態をより上げて鹿島学園に挑む。

 水戸啓明は水戸短大附高時代の90年代から00年代に掛けて計5度の選手権出場。校名変更後の13年度には、浦和や水戸でプレーした経歴を持つ巻田監督の下、夏冬連続で全国大会に出場している。今年はOBのMF佐藤響が流通経済大から鳥栖へ加入。開幕戦でJ1デビューを果たした。(6月14日に京都へ移籍)。

 巻田監督は教え子の佐藤について、メンタリティーと特化したストロングポイント、そして「守備とか、アイツ、たっぱ(身長)が大きくないので何で補えるかなといった時にやれる子だった」という上のステージで戦うための術を持っていたことを明かす。

 指揮官は佐藤同様、各選手の良いものを残しながら、その上で切り替えの速さやハードワークする姿勢を求めている。上のステージで活躍するためには気持ちの強さも必要。選手たちは、「(鹿島学園と明秀日立高の2強に差をつけられないように)頑張ります。(この敗戦から)這い上がっていきます。これで引きずらなくて逆に燃えてパワーに変えてていければ」と語る指揮官とともに、強いメンタリティーを持って冬へ向かう。

(取材・文 吉田太郎)
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