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過去最多9度の優勝を誇る市立船橋、3大会ぶりに夏の全国へ!! 延長戦で日体大柏に競り勝つ

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3大会ぶり29回目の全国出場を決めた市立船橋高

[6.19 インターハイ千葉予選決勝 市立船橋高 3-2(延長) 日体大柏高]

 OBの指導で伝統に磨きをかけたイチフナが全国切符をつかんだ。高校総体の千葉県大会は19日に決勝戦を行い、市立船橋高が延長戦の末に3-2で日体大柏高を破り、3大会ぶり29回目の全国出場を決めた。

 試合は、互いにリスクを回避して素早く敵陣にボールを運ぶ展開で進んだ。市立船橋は中央のFW青垣翔(3年)と右サイドのFW渡邉慎和ムセマ(3年)がドリブルで前進を狙い、その後方でFW郡司璃来(2年)がアクセントをつけた。一方の日体大柏は、190センチの長身を誇る大型FWオウイエ・ウイリアム(3年)が前線のターゲット。左のMF古谷柊介(3年)はファーストタッチで相手をかわして前を向き、右のMF平野伶(3年)はプレーの選択を変えて、ともに相手守備に狙いを絞らせず、チャンスメークを狙った。

 試合の均衡を破ったのは、市立船橋だった。前半19分、カウンターで右へボールを運ぶと、青垣が味方の上がりを待ってからドリブルを開始。中央右寄りの位置へ走り込んでパスを受けた郡司は、ターンからカットインを仕掛けたが、同じスペースに走り込んできた渡邉と交錯しかけた。しかし「味方と重なったので、スルーと声をかけた。あれが(渡邉へのスイッチに見せかける形になり)うまく相手の逆を取る形になった」(郡司)と、味方を囮にしてそのままカットインシュート。左足でファーサイドへ流し込んでゴールを奪った。

 しかし、リードした時間は長く続かなかった。日体大柏は左サイドを中心に押し込んで左CKを獲得。前半23分、右DF寺村啓志(3年)が蹴ったCKにFW平野が飛び込むと、相手のGKやDFと競り合ったボールがゴールイン。わずか4分で同点に追いついた。前半は、やや市立船橋の攻撃時間が長いものの、ほぼ互角。日体大柏は前半終了間際、オウイエがエンドライン際で残したボールをFW吉田眞翔(3年)がつないで、古谷がシュートに持ち込んだが、相手のブロックに弾かれた。

 後半に入ると、今度は日体大柏が先手を取った。後半6分、またも寺村の左CKから、ニアサイドでオウイエが打点の高さを生かしたヘディングシュートをたたき込んで逆転に成功した。ところが3分後、市立船橋が左CKをDF藤田大登(3年)が頭で合わせ、すぐに同点とした。

 パワフルな日体大柏の攻撃陣と伝統の守備力を誇る市立船橋の攻防が続いたが、その後はゴールが生まれず、試合は延長戦にもつれ込んだ。互いに選手交代で勝負に出た延長後半、決勝点は思わぬ形で生まれた。

 市立船橋は、負傷明けで投入されたばかりのMF太田隼剛(2年)がセットプレーで左から対角へフィード。味方には合わず、攻撃は途切れたと思われたが、相手のクリアミスがゴール前へ転がると、DF懸樋開(3年)がダイビングヘッドで反応。サッカーをエンジョイするという信条を持ちながら、勝負にこだわる伝統校へと鳥取県からやって来た小柄なストッパーは「ゴールしか見えていなかった。家族に捧げる得点」と値千金のゴールを振り返った。その後、日体大柏も左からのアーリークロスなどで最後までゴールに迫ったが、タイムアップ。延長戦の末、3-2で市立船橋が全国切符を勝ち取った。

 19年に波多秀吾監督が就任してから、それまで2枠あった千葉県の全国出場枠が1枠に減少し、同時に全国大会から遠ざかっていたが、過去最多9回の優勝を誇る伝統校。キャプテンマークを巻いてプレーしたMF北川礁(3年)は「スタンドにいるメンバーが本当に後押ししてくれた。最後まで勝つことだけを考えていた。目標は、全国制覇しかない。やるからには絶対に日本一を取りたい」とさらなる高みを目指す意気込みを語った。各都道府県大会は同日すべて終了。出場52チームが出そろった。全国大会は7月24日から徳島県で開催される。市立船橋が目指すのは、6年ぶりの戴冠と最多優勝記録の更新だ。

(取材・文 平野貴也)
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