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和歌山北、PK戦制して初戦突破!! 初出場・花巻東は一歩及ばず…

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PK戦を制した和歌山北高が2回戦へ

[7.24 総体1回戦 花巻東 2-2(PK1-3) 和歌山北 JAアグリあなん運動公園陸上競技場]

 7月24日、幕を開けた令和4年度全国高等学校総合体育大会サッカー競技大会男子の部。JAアグリあなん運動公園陸上競技場で行われた1回戦の第1試合では、花巻東高(岩手)と和歌山北高(和歌山)が対戦。前後半の70分を2-2で終えて迎えたPK戦を和歌山北が制し、2回戦に駒を進めた。

 今年の和歌山北は、相手に先手を取られても、食らいついて同点に並び、逆転することができるチーム。インターハイ出場もその前向きな辛抱強さから勝ち取ったものだったが、見方を変えれば「エンジンがかかるのが遅い」(キャプテンMF森井保貴/3年)。全国の舞台に上がるまでに改善したい課題としていたが、いざ全国大会を迎えれば「緊張というほどではないけれど、ちょっとモヤモヤする感じがあって、序盤はみんな動きが硬くなってしまった」(森井)ことで、前半13分、花巻東高FW中村翔大(3年)の先制弾を許す展開となった。

 追う和歌山北高は前半35分+1分、1本目のCKを得ると、MF竹谷咲人(3年)が蹴ったボールの落下点にフリーで潜り込んだDF近藤暖人(2年)が右足を合わせ、同点に追いついた。中村大吾監督はこの得点を「35分ハーフなので、前半で得点を返せたことは大きかった。こちらの精神的な部分はもちろんのこと、相手にも優位に進められると思わせずに後半に入れたのではないかと思う」と試合後に振り返っている。

 同点に追いついた勢いを持って後半に臨んだ和歌山北は、後半10分、中央にいたMF岩瀬悠人(3年)から右サイドにいたFW宮尾一矢(3年)に繋ぎ、宮尾が上げたクロスを受けたFW奥村大翼(3年)が左足を振り抜いてゴールネットに突き刺し、逆転に成功した。

 しかし、花巻東もそのままでは終わらせない。後半27分、「いつもはあまりペナルティエリア内に入っていくことはない」というMF工藤琉音(3年)は、「ボールを持った(中村)翔大と目が合った。中学時代から一緒にやってきたので、パスを出してくれるんだと察して」ゴール前へ向かい、思った通りの中村からのパスを受け、同点弾を叩き込む意地を見せた。だが、PK戦で一歩及ばず。花巻東高は全国大会への初挑戦を終えた。

 花巻東の同点弾を挙げていた工藤は、「ピッチがいつもより広く見えたし、声を出しているわけではないけれど相手の応援団が多かったのも気になった。ビビるとまではいかなくても少し圧を感じたし、これが全国大会なんだなと思った」という。キャプテンのFW作山寛都(3年)もまた「差を感じたので、これからの練習では岩手県で一番になることではなく、全国大会を意識して取り組みたい」と話している。今後さらに飛躍したい選手たちにとって、「この経験はとてつもなく大きなもの」(清水康也監督)となった。

 一方、勝利した和歌山北高の中村大吾監督は、「出場メンバー以外の部員や保護者など、応援に来てくれた人たちも含めてみんなで掴んだ勝利」だとし、今日の試合で課題として得た「2失点目に繋がった緩み」を翌日の試合に向けて修正していくと語った。

 同点に追いついて逆転できることには自信が持てた。けれど、引き続き課題として残してしまった「かかりの遅いエンジン」は、「1回戦で全国大会がどんなものかわかったので、2回戦はもう最初からエンジン全開で!」(森井)。前回大会ベスト8の岡山学芸館高が相手でも、怯むことなく食らいついていく。

(取材・文 前田カオリ)
●【特設】高校総体2022

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