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[MOM3945]和歌山北FW奥村大翼(3年)_1週間前に味わった悔しさを糧に…チームを勢いに乗せたゴール

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和歌山北高(和歌山)FW奥村大翼(3年/大阪市ジュネッスFC)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.24 総体1回戦 花巻東 2-2(PK1-3) 和歌山北 JAアグリあなん運動公園陸上競技場]

 花巻東高(岩手)をPKの末に下し、ビハインドから初戦を突破することができた和歌山北高(和歌山)。ビハインドの状況から前半中に得点を返せたことで流れを引き寄せられたことも大きかったが、後半の早い時間にさらに勢いを増す逆転弾を奪ったこともまた、自分たちの力を信じて走り抜くことができる大きな要因となった。

 一時は逆転となるゴールを奪ったのは、FW奥村大翼(3年/大阪市ジュネッスFC)。チーム全体として動きが固かった前半戦。奥村もいつもより仲間との距離感がうまく取れず、意思が噛み合わないシーンもあった。「前半はプレーも良くなかったけれど、運動量も少なかった。後半はがむしゃらに行こうとピッチに入った」。その胸にあったのは、1週間前に感じた悔しさだった。

 1週間前に、プリンスリーグ関西2部の延期になっていた試合が行われた。インターハイ和歌山県予選準決勝でのリベンジを果たそうと臨む初芝橋本高に対し、返り討ちにすることができず、1-4で敗れた。奥村はすでに3失点した後半途中から出場し、1点は返したものの、「得点した場面以外にもチャンスはあったし、そこで自分が決めていれば、同点に並んで勝ち越しという流れも作れたかもしれない。FWとして不甲斐ない」と、試合後にしゃがみ込み、悔しさを噛み締めていた。

「1週間前の試合で負けたこと自体は、決して良かったということではない。でも、その悔しさのおかげで、絶対に点を取るという強い意志を持つことができた」という奥村。一時は逆転となる得点をきっちりとゴールに収め、「朝早く起きて応援に駆けつけてくれた」と感謝するメンバー外のサッカー部員たちがいる方に喜びを分かちに駆け寄った。

 中村大吾監督も、この1回戦での奥村の活躍を「よく追いついてくれた。ゴールシーン以外でも、一番前で守備のスタート地点になってくれ、献身的にやってくれた」と高く評価している。

 けれど、奥村は満足していない。最近ゴールは重ねているが、「今日もゴールできたのは良かったけれど、それ以外は消えてしまった」(奥村)。持ち味の1つである相手DFの前でボールを受けてターンし、颯爽とゴール前に向かうようなシーンもあまり作れなかった。この悔しさもまた、明日への糧。2回戦に向け、「もっとがんばらないと」と改めて気持ちを入れ直した。

(取材・文 前田カオリ)
●【特設】高校総体2022

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