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[MOM3951]履正社FW古田和之介(3年)_貫徹した“FWの自分ができること”。背中で味方を勇気付け、2戦連発

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後半7分、履正社高FW古田和之介主将が先制ゴール

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.25 インターハイ2回戦 神村学園高 0-2 履正社高 徳島市球技場第2競技場]

 背番号9の後ろ姿がチームメートたちに勇気を与えたのは間違いない。神村学園高(鹿児島)との大一番に臨んだ履正社高(大阪1)は後半、FW古田和之介主将(3年=ガンバ大阪Jrユース出身)がスプリントを連発。何度も何度も相手SBの背後へ抜け出し、守備面でもプレッシングの急先鋒になり続けていた。

 前半は優勢に試合を進めていた一方、神村学園の攻撃力を警戒しすぎて後ろに重くなっていた部分もあった。その中で平野直樹監督は「今、やれることをやろう」「思い切ってやれよ」「高い位置にいるSBの背後を取ろう。ここで頑張ればイニシアチブを握れるし、ここでサボれば守勢に回ってしまう」とメッセージ。その言葉に誰よりも共鳴したのが古田だった。

 試合後には、「正直、後半の飲水終わったくらいから、めちゃくちゃキツかったんですけれども……」と取材陣を笑わせたが、主将はやり切る姿勢、ゴールを目指し続ける姿勢を誰よりも表現した。

「DF陣、中盤含めて色々な人がしっかり守ってくれて、大阪からわざわざ徳島まで応援に来てくれる人もいるし、そういう人の思いとか、感謝する気持ちを持って試合しようと昨日から思っていたので。めちゃくちゃキツかったですけれども勝手に動いていました」。体力が尽きるまで走り、身体を張ってボールを収めて味方にチャンスとゴールをもたらし、神村学園のストロングポイントを消した。全てはチームのため。FWの自分がやれることだった。

「自分が最前線で身体を張ったり、味方を勇気づけるとか、味方も『自分もやろう』と思えるようなプレーをすること。点を獲ることがFWの一番評価される部分で、そこをやり続けないといけないし、それがチームに一番貢献できる部分だと思うので、今2試合連続で獲れているのでこれからも続けていきたいです。その他の部分、前からのチェイシングであったり、身体を張って長いボールをキープして味方の上がる時間を待つとか、味方を楽にさせる部分も、もっともっとやっていきたいなと思っています」
 
 プレミアリーグWESTで得点ランキング4位タイの7得点をマークしている古田はストライカーとして結果も残した。後半7分に先制PKを右足で決め、11分には左サイドからの抜け出しでMF川端元(3年)のゴールをアシスト。前半から質の高い動き出しを見せていたが、難しい体勢のシュートを枠へ飛ばしていたことや、一人でボールを奪い切って決定的なシュートへ持ち込んだことを含めて後半の存在感は絶大だった。

 その古田は履正社OBで、21年東京五輪日本代表のFW林大地(シントトロイデン)に憧れを抱いている。林は特別なサイズがある訳では無いが、自身よりも大柄なCB相手に身体を張ってボールを収め、「前からのチェイシングでみんなを楽にさせる」(古田)。一緒に練習した際に指摘された足を思い切って振ることを古田は常に意識。結果に結びつけている。

 その林を擁した15年、また16年の8強が履正社のインターハイ最高成績。背中でチームを勇気付け、ゴールを決める主将が、3回戦以降もその力を発揮して、先輩、応援してくれる人たちへの感謝の思いを表現する。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2022

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