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王者撃破後の「一番難しい試合」。帝京は苦しみながらも逆転勝ちで、また成長

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帝京高は後半17分に左SB島貫琢土(左)のバースデーゴールで追いつき、終了間際の決勝点で逆転勝ち。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[7.26 インターハイ3回戦 帝京高 3-2 丸岡高 鳴門大塚]

 4度目のインターハイ制覇を狙う帝京高(東京1)は、王者撃破後の難しい一戦を乗り越えた。前日の2回戦では、前回王者の青森山田高(青森)に2-1で逆転勝ち。前回大会でインターハイ新記録となる1大会30得点をマークし、同年度のプレミアリーグEASTと選手権も制した絶対王者からの勝利は大きな反響を呼んだ。
 
 だからこそ、日比威監督は伝統校・丸岡高(福井)戦前に「一番難しい試合だ」と引き締め、FW伊藤聡太主将(3年)は円陣で「自分たちは挑戦者だということを忘れたらダメだよ」とチームメートに伝えたという。

 立ち上がりは「昨日(青森山田戦)の反省も活かして蹴らせないように」(日比監督)前からプレッシャーを掛け、前でボールを奪い取ること、連続攻撃を繰り出すことに成功していた。セットプレーから先制点も奪い、まずまずの序盤。だが、丸岡の縦に速い攻撃の前に、全体が間延びしはじめ、前半終了間際に同じような形で相手エースFW小関晴人(3年)に抜け出されて2点を奪われてしまう。

 ハーフタイムには、日比監督も珍しく強い口調で檄。「臆病に。怖れている。もう一回原点見て自分たちのやるべきことはやっていないんじゃないのか」。後半は距離感を修正し、帝京らしい技術とポジショニングの精度高いサッカーを展開。そして、17分にMF田中遥稀(3年)の右CKから左SB島貫琢土(3年)の誕生日ゴールで同点に追いつき、35+10分に田中が直接FK弾を決めて試合を引っくり返した。

 今大会、帝京はU-19日本代表候補左SB入江羚介(3年)を欠いているが、交代出場した選手たちを含めた層の厚さや、2試合連続逆転勝ちの勝負強さを発揮している。日比監督は選手たちが見せる伸びしろの大きさや、貪欲に成長しようとする姿勢を高く評価。近年経験できていなかった「全国大会で勝ちながら成長すること」ができている。

 青森山田戦で決勝点の伊藤は、「本気の高校同士で、レベル高い試合ができていることは個人的にも、チーム的にもすごく成長できるなというのがありますね」とコメント。このまま成長を続け、選手権も含めて10度目となる日本一を勝ち取る意気込みだ。

 伊藤は「(個人としては)FWで、10番でキャプテンもやっている以上、結果にこだわっていかないといけない。力を抜きながら、『アイツ、フザケているんじゃないか』くらいの感覚で楽しくサッカーできるように。それが勝利やゴールに繋がるんじゃないかと思います」。硬くなりすぎず、個人の、チームの良さを出すこと。そして、「星を増やしに行きます。夏で(ユニフォームの星を)10個にします」と誓った。全国トップクラスのチームによる“本気のトーナメント”。ここで白星と成長を重ねて、02年大会以来の全国制覇を果たす。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2022

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