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[MOM3962]昌平GK上林真斗(3年)_負傷交代した主将の分も「自分が」。守護神が1-0勝利もたらす

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昌平高GK上林真斗は無失点勝利に貢献。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.28 インターハイ準々決勝 大津高 0-1 昌平高 JAアグリあなん陸]

 昌平高(埼玉)は、前半16分に主将で守りの要でもあるCB津久井佳祐(3年)が大怪我。そのままピッチを後にし、緊急車両で病院に運ばれる事態となった。GK上林真斗(3年)は「佳祐がいなくなっちゃって正直焦ったんですけれども……」と振り返る。

 だが、交代出場したCB佐怒賀大門(2年)もサッカーセンス秀でたストッパー。津久井とコンビを組んだCB石川穂高(2年)も大会屈指のDFだ。上林は「いつも佳祐に助けられている分、『残された俺らがやろう』という感じで、全員で意思統一できていた」と説明する。

 昌平は主将の負傷交代のアクシデントを全員で乗り越えて無失点。中でも、「(津久井の分まで)きょうは自分がやってやろうと思っていました」という上林の存在が大きかった。大津高には191cmのFW小林俊瑛(3年)を筆頭に、187cm以上のフィールドプレーヤーが3人。「昨日セットプレーの映像を見ていて、190cm(クラス)が3人もいるチームとやったことがなかったので、みんな『ヤバくね』みたいな感じだった」と振り返る。

 だが、上林は「ボクがやらないといけないと思っていましたし、『(セットプレーなどのハイボールは)俺が行くからゴールカバー頼む』みたいな感じでやっていた」。187cmの長身守護神は高さを活かして前へ。ゴールカバーした味方に助けられたシーンがあった一方、小林の決定的なヘッドをファインセーブし、187cmCB碇明日麻(2年)のヘディングシュートをキャッチした。

 危ないシーンもあったが、今年総合的に力をつけてきている守護神が味方に安心感をもたらしていたことも確か。藤島崇之監督も「上林がいなかったらやられていたかもしれない」とその存在の大きさについて語っていた。

 上林はFC LAVIDA時代の19年にU-15日本代表スペイン遠征を経験。注目された中で昌平へ進学してきたが、1、2年時は1学年先輩のGK西村遥己(現新潟)からポジションを奪うことができなかった。

「西村君の特長であるセービングは自分も全然足りないと思うんですけれども、その中でキックというのは自分の中で西村君にないものを作ろうとやってきました」。この日も一本でチャンスを作り出したキックは彼の特長に。また、加藤大地GKコーチは最上級生になった上林の自覚の面での変化、そしてGKとしての成長を口にしていた。

 メンタル面の変化と「ニューバランスカップとJヴィレッジカップでひどすぎて、プレーが。それでヤバいなと」(上林)という危機感が成長の原動力。その守護神はピンチに陥ったチームを支えて勝利をもたらした。

 中学時代のチームメートで瀬戸内高(広島)のGK大木泰季(3年)は、2回戦で大津に敗れていた。また、同じく元チームメートで山梨学院高(山梨)GK長谷川皓亮(3年)も2回戦で敗退。旧友で、ライバルたちからの「頑張れよ」というエールも力に戦う守護神が、次の帝京高戦も無失点で守り抜く。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2022

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