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“公立の雄”大津は個人、チームともに前向きな2年連続8強敗退。進化続けて選手権で「超越」する

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大津高MF井伊虎太郎は中盤でMF浅野力愛とともに印象的な動き。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[7.28 インターハイ準々決勝 大津高 0-1 昌平高 JAアグリあなん陸]

 1年前の成績を「超越」することはできなかった。強豪対決で相手を上回るような内容の試合を演じながらも敗戦。もちろん悔しい敗退ではあるが、大津高(熊本)にとって今夏のインターハイは昨年以上に前向きな大会となった。

 対戦した昌平高(埼玉)はプリンスリーグ関東1部首位で、メンバーの半数が年代別代表候補という強豪。その相手に対してシュート数は12-4、互角以上の戦いを見せた。山城朋大監督は「後半、特に押し込めたので成長してきているなと思いながら見ていました」と振り返る。特にMF浅野力愛(3年)とMF井伊虎太郎(3年)のダブルボランチの動きは印象的だった。

 4-4-2システムの大津に対して昌平は4-2-3-1。中盤の人数は相手よりも少なかった。それでも、山城監督が「向こう1枚多い中で、相手は凄く良い選手がいるので、もうちょっとやられるかなと思ったんですけれども、昌平の良さが消えていたのはあの2人が良く頑張ったからかなと」評価する動きで主導権を握って見せた。

 そして、10番MF田原瑠衣(3年)やエースFW小林俊瑛主将(3年)を軸にボールを運んでサイド攻撃、セットプレーから再三ゴールに迫ったが、遠かった1点。3本の決定的なヘッドも無得点に終わった小林は、「プレミア(リーグ)の時から決定力の課題が攻撃陣のところであって、まだ改善しきれなかった。そこはもう一度見直さないといけないところだと思いますし、あと決めるという気持ちだったりが劣っていたと思います」と改善することを誓っていた。

 それでも、左SB田辺幸久(2年)が昌平のFC東京内定MF荒井悠汰(3年)相手に臆すること無くチャレンジ。また、U-17代表CB碇明日麻(2年)がポテンシャルの高さを示すなどトップレベルのチームとの対戦で個人、チームとしても自信をつける内容だったことは間違いない。

 昨年度選手権全国2位、大津の今年のテーマは「超越」だ。インターハイの結果は昨夏と同じベスト8敗退。だが、山城監督は「昨年は静学(静岡学園)さん相手になかなか攻め手もなく難しいゲームで終えたんですけれども、今回は結果は同じなんですけれども、内容としては少し改善が見られましたし、これからまたプレミアリーグ選手権とありますけれども一つずつ去年を超えていけるように頑張らせたいと思います」と手応えと期待を口にしていた。

 ここからの一日一日が本当に大事。選手権で昨年を超えるためには、まだまだ進化しなければならない。小林は「昨日の話し合いでも去年を超えるという話をしていたのでみんなで気合いが入っていた中で戦っていたんですけれども、先に失点してしまうと気持ちが落ちてしまう部分がある。次は選手権で去年を超えるという意味でやっていきたい」。気持ちの強さ含めて全ての部分で昨年のチームを「超越」すること。そして、“公立の雄”は選手権で新たな歴史を築く。

(取材・文 吉田太郎)
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