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「諦めてしまったら得られるものも得られない」。0-3の終盤も、湘南工大附主将が掛け続けた声

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全国8強・湘南工科大附高のリーダー、CB三浦翔遼人主将。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[7.28 インターハイ準々決勝 湘南工科大附高 0-3 米子北高 JAアグリあなん陸]

 0-3と劣勢の展開。後半、内容面では巻き返していたが、スコアは変わらないまま残り時間は15分、10分、5分と削られていった。だが、そのような状況の中でも湘南工科大附高(神奈川1)CB三浦翔遼人主将(3年)は「最後まで頭動かして、声出して、点を獲りに行くぞ」と声を発し続けていた。

 三浦は「最後の5分でも諦めてしまったら得られるものも得られないと思うので、そういうところでも3失点差でラスト5分は厳しいかもしれないですけれども、やっぱり1点でも、(それが叶わなくて)あの相手にPAの中に入って行ってこれたら、という思いがあったので、掛け続けました」と「声」の理由について明かす。

 1点を奪うことはできなかったが、試合終了の笛が鳴るまで今の自分たちに何ができるか、何が足りないのか、諦めずに挑戦し続けた。前回大会全国2位の米子北高や、プレミアリーグ勢の履正社高から学んだことを持ち帰り、レベルアップに繋げる。

 三浦は室井雅志監督が絶賛する人間性の持ち主で、最終ラインの柱。今回の神奈川県予選でもチームの4強入りに大きく貢献したが、代表決定戦の準決勝、そして決勝を体調不良で欠場している。

 精神的支柱を失ったチームは苦戦が予想された。だが、左SB伊藤大輔(3年)が「試合の中でキャプテンの翔遼人がずっと声を掛けてくれていたんですけれども、代表決定と決勝といなかったんですども、みんなで少しずつでも良いからいつも以上に声を掛けることで補えるんじゃないかと、翔遼人の分も、あと学校のみんなも戦うという気持ちでやったので、成長できた」と説明したように、チームメートは乗り越えて87年以来となる全国切符獲得。復帰した三浦は感謝の思いも込めて全国大会の3試合で声を掛け、戦い続けた。

「全国の舞台に連れてきてもらって自分は。そこで得られるものは持って帰って、自分発信でやっていきたいと思います。全国でてっぺんとるためには、これくらいの精度ではまだまだなので、もっと上げていかないといけない」。予選、本大会を通して成長した仲間たちとともに努力。この日、最後の1分1秒まで挑戦し、得たことを力に変える。

(取材・文 吉田太郎)
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