beacon

「いろいろなことが、できていなかった」。15大会連続出場狙う米子北は米子東に1-0で勝利

このエントリーをはてなブックマークに追加

米子北高(白)は米子東高(青)の集中した守りに苦しんだ

[5.30 インターハイ鳥取県予選準々決勝 米子北高 1-0 米子東高 鳥取県フットボールセンター大山]

 令和5年度全国高校総体(インターハイ)「翔び立て若き翼 北海道総体 2023」男子サッカー競技鳥取県予選準々決勝が30日に行われ、米子北高米子東高を1-0で下し、6月3日の準決勝に駒を進めた。

 鳥取県予選は当初、5月27日が1回戦、28日が2回戦、29日が準々決勝の予定だった。しかし29日の準々決勝が、台風の影響で大雨が予想されたことから30日に順延。準々決勝は予定通りなら、2回戦から登場した米子北が2連戦、1回戦から登場した米子東が3連戦となるはずが、どちらも中1日の休養を経ての一戦となった。

 試合はキックオフ直後から米子北が前線にボールを集め、米子東の最終ラインに圧力をかける。だが「組み合わせが決まったときから、この試合を目指してやってきた」(山根伸監督)米子東は、キャプテンのCB絵原奏汰(3年)を中心に粘り強く対応。前半6分(35分ハーフ)には、米子北のGK尾崎巧望(3年)とDF藤原壮志朗(3年)の連係が乱れ、藤原のバックパスが無人のゴールへと向かい、右ポストに当たるシーンがあった。

 ヒヤリとした米子北は、その後も優勢に進めるものの、最終局面でプレーの精度が落ち、なかなか決定機を作れない。22分に左からのセンタリングにMF仲田堅信(3年)が飛び込むも、合わせ切れずにボールはゴール前を通過。29分には左からのセンタリングをMF田村郁颯(3年)が左足で狙ったが、米子東GK信木仁(2年)にセーブされた。

 だが30分、ついにゴールをこじ開ける。エリア内中央でパスを受けたFW鈴木颯人(2年)が、相手選手2人に寄せられながらも鋭い切り返しでかわし、左足で蹴り込んでネットを揺らした。

 畳み掛けたい米子北は33分にも左サイドから波状攻撃を仕掛け、何度もシュートを放つが、米子東は守備陣が体を投げ出すなどしてブロック。踏ん張って追加点を与えず、米子北の1点リードで前半を終えた。

 後半も米子北は追加点を狙って攻め込むが、米子東の守備の集中力は切れず、逆にカウンターで相手ゴールに迫る場面を作る。12分には、前半から攻撃のターゲットになっていたFW富永晃多(3年)が、左サイドからエリア内に侵入してシュートを放ったが、間合いを詰めた米子北GK尾崎のブロックに阻まれる。

 何とかリードを広げたい米子北は、ハーフタイムの交代で途中出場したFW愛須隆聖(3年)が16分に右足で狙うも、米子東GK信木がセーブ。愛須は直後にも左からのセンタリングをダイビングヘッドで合わせたが、右に外れる。米子東は終盤、足がつる選手が続出しながらも1点差で粘り、懸命に同点を目指したが、決定機を作るには至らず、そのまま1-0で試合終了となった。

 米子東の山根監督は「準備していたことは出せましたが、それ以上のものを出せないと米子北には勝てない。あと少し足りなかったです」と悔しそうな表情。それでも「ディフェンスラインは粘り強く、体を張って頑張ってくれた。選手はよくやったので、ほめてやりたい」と称え、「新たに目標ができたので、ここを目指して、また一からやっていきたい」と選手権予選を見据えた。

 米子北の中村真吾監督は、終始攻め込みながらも最少得点に終わった攻撃を「自分で勝手にあわてて、焦ってミスをしていた。心が弱い」と指摘。1点差で迎えた試合終了間際、時計の針を進めるためにコーナーフラッグ付近までドリブルで進みながらも、簡単にセンタリングを送ってボールを手放し、攻め込まれたシーンなどを振り返って「1-0の状況で、1-0の試合をしない。いろいろなことが、できていなかった」と反省点を挙げた。

 2018年以来のプレミアリーグ復帰を果たした今年度は、強豪校やJクラブユースを相手に第7節まで3勝1分け3敗で、12チーム中7位。「自分たちがやれることは少ないので、やれることを、しっかりやろうとしている」(中村監督)ことが、一定の結果につながっていると指揮官はみている。だが、力関係が逆になる県予選において、この日は「そういう状況で判断しなければいけないのに、その判断が悪かった」と語った。

 米子松蔭高と対戦する準決勝は6月3日、決勝は4日に行われる。15大会連続18回目の出場に向けて、中村監督は「変えられるのは気持ちの部分。しっかり考えさせなければいけない」とポイントを挙げた。

(取材・文 石倉利英)
●【特設】高校総体2023

TOP