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日本一狙う尚志はインハイ予選初戦で苦闘。延長2発で学法石川を振り切り、福島決勝進出

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延長後半8分、尚志高MF安齋悠人が右足PKを決めて2-0

[6.3 インターハイ福島県予選準決勝 尚志高 2-0(延長)学法石川高 Jヴィレッジ]

 プレミア勢の尚志、苦しみながらも全国王手――。3日、令和5年度全国高校総体(インターハイ)「翔び立て若き翼 北海道総体 2023」男子サッカー競技福島県予選準決勝がJヴィレッジで行われ、プレミアリーグEAST所属の尚志高が延長戦の末、2-0で学法石川高を撃破。尚志は13大会連続15回目のインターハイ出場をかけ、4日の決勝で聖光学院高と戦う。

 一週間前までプレミアリーグEASTを戦い、4位につける尚志はこの学法石川戦がインターハイ予選初戦。「この試合、危ないと思ったのは初戦だから」と仲村浩二監督は振り返る。プレミアリーグでは奪ってから速い攻撃で上位争いに食い込んでいる尚志だが、この日は重心を下げて守備意識高く守る学法石川が対戦相手。リーグ戦と異なり、ボールを握る展開で攻略に時間を要すことになった。

 尚志はGK角田隆太朗(3年)やU-17日本高校選抜CB市川和弥(3年)の精度の高いキックも交えてボールを動かし、相手を走らせる。そして、前線を追い越して駆け上がる右SB冨岡和真(3年)らからクロスがゴール前に入った。

 前半11分、右サイドからのラストパスがU-18日本代表候補FW網代陽勇(3年)へ通ったが、シュートは学法石川GK樋下田修次(2年)がストップ。尚志はクロスが上がるものの、FW陣がゴール前で良い形を作れず、相手CB小野田悠太(3年)やCB吉田遥登(2年)に跳ね返されてしまう。

 また、学法石川は左SB福島騎士(2年)が健闘。対人能力の高さを発揮していたほか、ロングスローやプレースキックで尚志にプレッシャーをかける。守備範囲の広さを見せていたGK樋下田が相手のスルーパスに反応し、FW桜松駿(3年)のドリブルシュートをストップ。奪ったボールを前線のFW金子晴琉主将(3年)へ入れ、相手守備の乱れを生み出そうとする。

 尚志は、U-19日本代表フランス遠征メンバーに選出されたMF神田拓人(3年)がセカンドボールの回収やインターセプトで存在感。後半12分には、「今回はこういう展開になるかなというのがあった」(仲村監督)という理由でベンチスタートのU-19日本代表MF安齋悠人(3年)を送り出し、ゴールをこじ開けに行った。

 尚志の守備は市川とCB高瀬大也(3年)、神田中心に安定。だが、後半は慌てて攻めてボールを失ったり、サイドへつけるボールにミスが起こるなど平常心を欠いてしまう部分があった。安齋が警戒される中でも突破するシーンがあったが、際のところで踏ん張る学法石川ゴールをこじ開けられない。0-0のまま70分間を終え、試合は延長戦へ突入した。

 それでも、尚志が底力を示す。延長前半7分、安齋の仕掛けを起点とした攻撃から、左SB高田湊人(3年)が左足クロス。これをファーサイドの網代がGKの上方からヘディングシュート。ついにゴールをこじ開けた。

 後半アディショナルタイムに好調なMF出来伯琉(3年)を投入していた尚志は延長戦でボールがテンポよく動くようになった。延長後半8分には、左サイドからドリブルで仕掛けた安齋がPKを獲得。これを安齋が自ら右足で決め、勝負の行方を決定づけた。

 やや気持ちが空回りする部分がありながらも延長戦で勝利。神田は「県予選なのでやっぱりプレミアとは違う緊張感があって、引き分けたら即PKというのがあったのでみんな結構最初緊張していた」と語る。それでも、選手たちは良い経験ができたことを前向きに捉えていた。

 今年は4年ぶりのプレミアリーグEASTで上位争い。年代別日本代表や高校選抜を複数擁し、期待値の大きな世代だ。網代は「自分たちは今、プレミアリーグで戦えていて良い経験ができている。先輩たちへの、尚志高校への恩返しをしたい。それがまだ一度もできていない、全国優勝だったりすると思うので、それが目標です」。まずは県予選優勝に集中する。

 4日の決勝後すぐにU-19日本代表へ合流する予定の安齋は、「緊張はほぐれたと思うので、尚志らしいサッカーはできると思うので絶対に勝って全国への切符を掴みたい」。勝って、目標への第一関門を突破する。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2023

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