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狙うは全国での躍進。実力者も多い東邦が粘り強く勝ち切り、インハイ切符獲得:愛知

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東邦高が8大会ぶり9回目のインターハイ出場

[6.3 インターハイ愛知県予選決勝 名経大高蔵高 1-2 東邦高 口論義運動公園]

 令和5年度全国高校総体(インターハイ)「翔び立て若き翼 北海道総体 2023」男子サッカー競技愛知県予選決勝が3日に行われた。名経大高蔵高東邦高が対戦し、東邦が2-1勝利。8大会ぶり9回目の全国大会出場を決めた。

 前日に愛知県内を襲った大雨と台風2号の影響により、公共交通機関に乱れが出たため、試合開始時間を30分遅らせて始まった一戦は名経大高蔵のペースで進む。「いつも通り高蔵らしく繋いで崩すサッカーをやりたかった」と口にするMF田代武三(2年)と荒井悠聖(2年)のシャドーを中心に巧みなドリブルを織り交ぜながらショートパスでゆっくりと前進。選手同士の距離も近いため、奪われてもMF杉山蓮(3年)らが即時奪還し、2次攻撃を繰り出した。

 前半11分には相手のクリアミスを拾ったFW波多野琉斗(2年)がフリーでゴールに向かうも、カバーに戻った東邦DF生駒隆季(3年)がクリア。37分には荒井が仕掛けたこぼれ球を田代が拾って、ドリブルからゴールを狙ったが、東邦GK池田エンヒ(2年)の正面に終わった。また、40分にもMF杉浦悠太(2年)がDF裏に入れたロングボールを田代がダイレクトで合わせたが、シュートは再びGKの正面。チャンスを活かせなかった田代は「シュート練習が足りなかった」と悔やんだ。

 我慢の時間が続いた東邦は、「今年は自分が引っ張らないといけない。たくさんボールを貰って仕掛けるイメージだった」と話す元U-16日本代表候補のMF森一琉(3年)がチャンスを伺った。34分にはセンターサークル付近で得たFKを森が直接狙うなどしたが、決定的の数はごくわずか。「相手に合わせて自分たちもゆっくりプレーしてしまったのが痛かった」(森)。
 
 前半の反省を活かし、後半に入ってからの東邦は攻撃をスピードアップさせると共に力強いプレーが特徴のFW山端寧生(2年)を3トップの左に投入。交代の意図について、杉坂友浩監督はこう明かす。

「彼(山端)を途中から入れて、ゲームを決めてもらうというのが、ゲームプランだった。スタメンの11人だけで戦うというより、サブを含めた全員で戦おうと考えていた」。狙いは上手くハマり、後半21分にはドリブルでシュートまで持ち込んだ山端のシュートでCKを獲得。DF名古屋佑乃介(2年)がショートCKから上げたクロスをファーサイドのDF朴勢己(3年)が頭で合わせ、東邦が均衡を崩した。31分にも右CKからFW永井望夢(1年)がヘディングシュートを決めて、リードを2点差に広げた。

 35分には名経大高蔵にコンビネーションで中央を崩され、杉浦に1点を返されたが、試合終盤は時間を上手く使って逃げ切りに成功。「名経大高蔵はドリブルをしてくるので、足を簡単に出さず我慢して粘り強くやろうというのが今日のテーマ。相手のペースで進む中、朴勢己、(森)一琉、池田エンヒを中心に粘り強く守っていく中、セットプレーで点が獲れたのは今年のチームの精神的な強さ。選手たちの粘り強さが出た」と杉坂監督は選手を称えた。

「僕らが目指すのは夏よりも冬。冬の選手権で勝ち上がるために、今は前半戦の集大成という形でやっている」。指揮官の言葉通り、インターハイは東邦が目指す舞台の通過点。今大会は粘り強く勝ち上がるなど選手たちの成長を実感する一方で、この日も試合終盤に失点を許すなど修正箇所が見つかったのは収穫だ。全国の舞台でも選手権での飛躍を目指し、成長を続けるのが目標だ。

 同時に選手たちにとって全国の舞台は格好のアピールの場でもある。今年は朴、森を筆頭に実力者が多く、全国での活躍次第では高校卒業後のステージも開けてくる。「(インターハイは)選手たちのお披露目会だと思う。全国ベスト8に行って選手たちが進路を勝ち取ってくれるのが僕の願いです」(杉坂監督)。選手たちも躍進を狙っており、森は「1個でも上に行けるよう頑張りたい」と意気込んだ。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校総体2023

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