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奮闘光ったルーテル学院FW長崎義喜。大津との5点差を縮め、「追い越せるように」

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ルーテル学院高のFW長崎義喜(3年=ルーテル学院中出身)はアグレッシブにゴールへ向かい続けた

[6.7 インターハイ熊本県予選決勝 大津高 5-0 ルーテル学院高 えがおS]

 スコアほどの実力差があった訳ではない。それでも、ルーテル学院高のFW長崎義喜(3年=ルーテル学院中出身)は、「実力の差がはっきり現れた試合だったと思います。大津の圧だったりに負けて自分たちの力が出せなかったりしたり、それを言い訳にしたらダメだけど、人が多い中でのプレー経験があまりなかった」と首を振る。県新人戦の準々決勝敗退から、インターハイ予選は決勝進出。ルーテル学院は悔しさを糧に、また成長を遂げる。

 守備を固めて勝ちに行くのではなく、前に出て真っ向勝負。立ち上がりに良い入りを見せたのはルーテル学院の方だった。だが、連戦の疲れもあって、前でボールを奪い切れずに押し込まれてしまう。チームリーダーのDF池田桜介(3年)を中心とした3バックがゴール前で跳ね返していたものの、セットプレーを与える回数が増加。シュート意識の高い相手にミドルシュートのこぼれ球を押し込まれると、やや不運な形から追加点を奪われてしまう。

 苦しい展開の中で特に奮闘していたのが長崎だ。「スピードある方なので、一瞬で抜け出したり、ドリブルで運んだりとかそういうのを見て欲しい」という163cmFWは、0-2とされた直後に右足ミドルを放つと、ドリブルからのラストパスなど反撃の中心に。前半35+2分には強烈なミドルシュートを枠へ飛ばして会場を沸かせた。

「日頃からシュートで終われと言われていて、決めるのは自分しかいないと思ってやっていました。(決められなかったのは) 実力不足です」。ルーテル学院は後半開始からの2枚替えで反撃を加速。中でも長崎はドリブルやゴール前に飛び込む動きに怖さがあった。

 だが、流れの良い時間帯で決定打を打ち込むことができない。GK久保田大翔(2年)の好セーブなど各選手の奮闘もあって2点差のまま食い下がり、後半の飲水タイム後からは器用さも備えた180cmDF青島知輝(3年)を前線へ上げて相手ゴールをこじ開けにいった。

 それでも大津の守りは堅く、逆に不運なオウンゴールで0-3。相手に飲み込まれる形でさらに2失点し、最終スコアは0-5となった。選手権予選決勝の0-4よりもスコアが開く形での敗戦。ただし、小野秀二郎監督は「選手、スタッフも活躍というか頑張ってくれてここまで来れて。新人戦は8つ。ここまで来たことを自信にしてもらって、でも、上には上がいることが分かったことが収穫」。今大会準決勝、新人戦では1対1で「全然太刀打ちできなかった」という熊本商高とやり合い、3-0でリベンジしたことも評価していた。
 
 選手権に続き、王者・大津と全国出場をかけた戦いができたことは大きい。「落ちない運動量、奪えないボール。次はしっかりボールを奪えるようにする、守備の時間を短くする。そのためにどうするか」と小野監督。そして、「チャレンジしがいはある。ルーテルは夏を超えてじゃないと大津には通用しないから、これからですよ」とここからに期待する。

 選手たちも謙虚さを忘れずに成長を目指す考えだ。長崎は「自分たちが次の選手権でも(必ず)ここまで来れるかと言ったら多分そうじゃないと思う。まずは大津の5点差を縮められるように、そしてそこを追い越せるようにやっていきたい。この強度を忘れずに練習からやっていかないと伸びない。(個人としては)大津の7番(MF古川大地、3年)じゃないですけれども両足使ったドリブルを真似したり、もっとシュート練習をして枠に飛ばせるようにしたい」。力の差を埋め、全国切符を獲得してきた先輩たちのように、冬に王者を上回る。

(取材・文 吉田太郎)
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