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今年の公式戦19戦全勝!東山が強豪連破の大谷を粘り強さと劇的V弾で振り切り、京都4連覇!

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東山高が4連覇を達成した

[6.9 インターハイ京都府予選決勝 東山高 1-0 大谷高 サンガスタジアム by KYOCERA]

 東山が公式戦19連勝――。9日、令和6年度全国高校総体(インターハイ)京都府予選決勝が亀岡市のサンガスタジアム by KYOCERAで開催され、東山高が後半アディショナルタイムの決勝点によって、1-0で大谷高に勝利。4大会連続6回目の全国大会出場を決めた。

 この日の白星によって、1月開幕の京都府高校新人戦から、近畿高校選手権(近畿新人大会)、プリンスリーグ関西2部、インターハイ京都府予選と公式戦19戦19勝。東山の現3年生は2年前、先輩たちが選手権の国立決勝を戦った姿を見ている世代だ。そのチームがタフなゲームを70分間で勝ち切り、4連覇を達成した。

 福重良一監督は「新人戦、近畿大会も多分、スタートのFWなんかもいつも代わってると思います。その中でこう勝たせてもらったから言えることやけど、やっぱり上で戦える選手が15、16、17人と徐々にできつつあるのかなと。そういう中で勝てていってるっていうのが大きいですね」と評価。この日も怪我の主軸左SB沖村大也(3年)がベンチ外でFW吉田航太朗(3年)はベンチスタートだったが、「(先発に加え、)途中で出てきても(流れを)変えれる子、ひと仕事できる選手が出てきている」(福重監督)というチームが全国切符を勝ち取った。

 東山は立ち上がりからハイプレスで相手を飲み込みに行く。だが、準々決勝で京都橘高、準決勝で京都共栄高とプリンスリーグ関西1部勢を連破している大谷は、同級生、保護者の大応援の後押しを受けて決勝でも躍動する。

大応援が大谷を後押し

 GK坂下遼平(3年)やMF岩谷昊生主将(3年)からボールを大事にしながらビルドアップ。東山は2トップを筆頭に前からボールを奪いに行ったが、大谷の中川智仁監督は「終始、相手の守備網を見ながら空いてるスペース、フリーマンを探して前進をするっていうことが凄くできてたんじゃないかなと思います」。個々の技術力が高く、穴のない大谷は一つ奥側でフリーになった選手も有効活用しながらボールを動かし、ラストパスやシュートへ持ち込んだ。

大谷はGK坂下遼平から勇気を持ってビルドアップ

 東山は前半4分にMF雪本迅之助(2年)のラストパスから右SB井川泰駕(3年)が右足シュートを放ち、11分にはMF古川清一朗(3年)の右クロスにFW小西凌介(3年)が飛び込む。だが、よりゴールに迫っていたのは、正確なビルドアップで相手の出足を止めていた大谷の方。16分、右サイドへの展開からMF白波瀬隼(2年)がクロスを上げ、10番MF樋口晃(3年)がヘディングシュートを放つ。

東山は右クロスにFW小西凌介が飛び込むなど先制点を狙った

 大谷は20分にも、白波瀬が右サイドでDFを剥がしてラストパス。その後もゴール前のシーンを生み出すと、27分には右CKからFW高林亮太(3年)が頭でゴールネットを揺らす。だが、直前のファウルでノーゴールの判定となった。一方の東山は、やや重心が重くなってしまったところがあったものの、GK徳田光希(3年)の安定した守りや井川のゴールカバーなどによって無失点。福重監督は「0-0で終わってくれたんで、ハーフタイムに修正できた。とにかく0-0で終われたのが1番良かった」。思うような展開ではなかったものの、1点を許さず、後半に繋いだ。

前半27分、大谷は右CKからFW高林亮太がヘッドをゴールへ突き刺すも、直前のファウルでノーゴールに

東山は攻め込まれるシーンが増えていたものの、CB津崎翔也らが集中した守り

 その後半、東山は前線からのプレッシングを修正。ギアを上げ、開始直後に10番FW山下ハル(3年)の右足シュートが枠を捉える。これは大谷GK坂下が好反応で阻止。大谷も7分、前半から高さを発揮していた注目FW太仁紫音(3年)がDFを外し、右足を振り抜く。

 さらに9分には、太仁の展開から高林が左サイドを突破。鋭いクロスがゴール前を横切った。東山は左SB辻綸太郎主将(3年)が粘り強い守備対応を見せるなど無失点のまま試合を進めるが、相手のトップ下MF西内輝(3年)を捕まえきれず、また高林のドリブルに手を焼いてしまう。加えて大谷は、CB浅田仁(3年)とCB今西旭(3年)を中心に強度の高い守りも披露していた。

大谷はCB今西旭ら強度の高い守備も印象的

 東山もゴール前でCB上山泰智(2年)やCB津崎翔也(3年)が高い集中力。カバーリングの意識が高く、シュートへの決断がわずかに遅れるところのあった相手をしっかりブロックしていた。逆にMF井上慧(3年)やサイドへ開く回数の増えた山下がドリブル突破。25分には、右サイドを攻略した山下の折り返しを井上が右足ダイレクトで合わせた。

 加えて、ともに技巧派のMF雪本迅之助(2年)とMF野田凰心(2年)のダブルボランチも身体を張った守備。後半33分には、大谷FW太仁が左サイドを抜け出してPAへ侵入するが、カバーした左SB辻がタックルを決めてマイボールに変える。苦闘の中でハードワークや攻守の切り替えといった東山らしさを表現していた。

後半33分、大谷FW太仁紫音(右)がゴールに迫るが、東山左SB辻綸太郎主将がタックルを決める

 辻は「”東山らしさ”っていうのは持っていかないといけないと思っていても、ハードワークだったり、攻守の切り替えだったり、粘り強さっていうのは、ほんまに日頃の練習の積み重ねでしかないと思いますし、自分たち3年生がああやって国立の舞台で活躍してる先輩方を見てるんで、そういったところをチームに還元するっていう意味では、3年生が中心となってチームに貢献していく形をとっていきたいなっていう風に思います」。取り組んできたことを表現した東山が1点をもぎ取る。
 
 後半35+1分、左CKの流れから山下の放ったヘッドは大谷GKがキャッチ。間を置いてからビルドアップのためにボールを置いた瞬間、GKの死角で狙っていた山下が右後方から一気に詰め寄ってボールを奪う。そのまま右足シュート。これが無人のゴールに決まり、先制点となった。

後半35+1分、東山FW山下ハルが抜け目ない動きでGKからインターセプト。右足シュートを決めた

 大谷は相手FW山下の狙いに気づいて伝えようとしていたが、2300人の歓声で声は届かなかった。山下は「サンガスタジアムで、このざわつく雰囲気やったら、絶対ベンチとか気づいても聞こえないと思う。狙い通りです」と振り返り、東山の福重監督も「今日のスタジアムでやっぱり声が響かない。一昨年の選手権で彼が(大観衆の国立の)スタンドにいたからこそかな。彼は自分で学んでいる」と賞賛。会場の雰囲気や相手の状況を察知し、強かに実行したプレーが、1点を生み出した。

待望の1点

東山の選手、応援団も大喜び

 優勢に試合を進めていた大谷は予期せぬ失点。ピッチに膝をつく選手もいたが、気持ちを奮い立たせて再びゴールを目指す。そして、FK、CKを獲得。何とか1点を奪い返そうとしたが、選手同士で声を掛け合いながら守る東山が跳ね返し、試合終了の笛が鳴った。

 大谷の中川監督は、「ほんとに勝敗を分ける細部の部分、セカンドボールの拾い合いとか、最後体の投げ出し方とか、シュート打つ決断とか、技術ももちろんそうですけれども、やっぱり日々の練習からどれだけこだわりながらやっていけるか。やっぱり最後の最後にそういう部分は間違いなく出たと思いますし、そこはやっぱり大きな経験の差はあるかなと思います」と認める。悔しさをバネにチームは冬へ向かう。

 勝った東山は、公式戦19連勝。全国大会ではライバルたちからマークされることは間違いないが、地に足をつけて、インターハイまでの期間、そして本大会で成長することを目指す。福重監督は「今年に関しましてはある程度メンバー変えながらもできるんで。(インターハイは)しっかりともう1回成長できるような大会に。全国に出てくるメンタリティのあるチームとやって、課題を見つけたい。やっぱり1番というか、目指さないといけないんですけど。冬に向けての選手層の厚さっていうのは大事にしながら戦いたい」と語った。

 辻はより競争力を高めてインターハイへ向かう考えを口にした。「もちろん、日本一は目指すんですけど、その中で、このインターハイ予選からの本選までの間で、もっともっとチーム内の競争っていうのを高めていくべきだと思いますし、個人としても、チームとしても、もっともっとレベルアップできる部分があるんで、そういった部分では日頃の練習の強度っていうのを1個、2個上げていくべきだなって思います」。この日の戦いも成長の糧に。京都王者はより強いチームになる。

勝者は東山。敗れた大谷の健闘も光った

(取材・文 吉田太郎)


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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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