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[MOM4791]仙台育英FW河野宗眞(3年)_誰もが認める「育英のストライカー」へ!決定機逸に頭を抱えた背番号9が名誉挽回の決勝ゴール!

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貴重な決勝点を叩き出した仙台育英高FW河野宗眞(3年=FC駒沢U-15出身、9番)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.28 インターハイ2回戦 共愛学園高 0-1 仙台育英高 ハワイアンズスタジアムいわき]

 正直、内心では相当焦っていた。巡ってきた絶好の決定機をモノにできず、チームも前半をスコアレスで折り返す。いくつもの不安が頭をよぎりつつ、必死にそれを振り切って、「オレならできる」と自分自身に言い聞かせながら、次のチャンスが来るのをひたすら待ち続ける。

「前半のシュートミスがあって、これで負けたら自分が戦犯みたいな感じだったので、その時は我慢しましたけど、ちょっと泣きそうでしたね。自分がゴールを獲って勝つというのは、昨日の試合からずっと思っていたことでしたし、ここで1点獲れたことも凄く自信に繋がったので、これを次に繋げられたらなと思います」。

 仙台育英高(宮城)の9番を託された、思考するストライカー。FW河野宗眞(3年=FC駒沢U-15出身)がようやく奪った全国大会初ゴールが、粘り強く戦ったチームに勝利の歓喜を呼び込んだ。


 インターハイの初戦となった都市大塩尻高(長野)戦。仙台育英は押し込まれる時間の長いゲームを強いられながら、FW黒葛原結天(3年)が挙げた1点を守り切って、貴重な勝利を挙げる。ただ、河野はみんなで掴んだ初戦突破にも、少しだけ複雑な感情を抱えていた。

「黒葛原とは中学から一緒のチームでやっていたので、あそこで黒葛原が裏に抜け出すのはわかっていましたし、自分のフリックから決めたシーンだったんですけど、もともと自分のゴールで大会をスタートしたい気持ちもあったので、そこはちょっと悔しさもあって、『今日は絶対に自分が決めて勝つんだ』と思っていました」。アシストは嬉しいけれど、やっぱり獲りたいのはゴール。確かな決意を携えて、次の試合へ向かう。

 迎えた2回戦の共愛学園高(群馬)戦。立ち上がりこそ少し劣勢に立ったものの、少しずつゲームリズムを引き寄せると、前半28分に決定的なチャンスが訪れる。「センターバックがトラップした瞬間を取りに行こうというのは頭の中にあって、案の定トラップが大きくなって、そこを狙っていたので、狙い通りでした」。相手の隙を突いてボールを奪うと、GKが飛び出していた無人のゴールが河野の目の前に広がったが、左足で蹴り込んだボールは枠の右へ外れてしまう。

「決定機過ぎて、ちょっと焦ってしまって……。自分の技術ミスです。『来た!』と思ったんですけど、右足に持ち替えて打つ余裕もありましたし、ゴールが空いているのはわかっていたんですけど、キーパーがちょっと見えたら急に焦りが出て、左足でそのまますぐ打たなきゃと思ってしまいました……」。痛恨のミスショット。先制点には至らない。

 2度目の決定的なチャンスは後半11分にやってくる。この試合のポイントとなっていたMF石川真斗(2年)のロングスローの流れから、こぼれ球を左でDF工藤天(3年)が拾うと、冷静な判断とゴールへの決意が河野の中に混ざり合う。

「ロングスローからの競り合いというところで、こぼれた後のセカンドボールから自分が点を獲る場面は多いので、もともとああいうのは狙っていましたし、天が良いボールを上げてくれるという信頼があったのと、キーパーも出てくるのが遅れていたので、もう自分が頭でちょっと触って入れるだけでした」。

 工藤のクロスにGKと入れ違いながら頭で合わせたボールは、ゴールネットへ吸い込まれる。「1本のミスで負けてしまうのが、こういうトーナメントの恐ろしさなので、そういったところで自分が全国大会で点を獲るというのは、凄く特別なものでした」。名誉挽回とも言うべき河野のゴールは、そのままこの試合の決勝点に。ストライカーの仕事を果たした9番にも、試合後には歓喜の笑顔が弾けた。



 河野が中学時代にプレーしていた『NPO法人 駒沢サッカークラブ FC駒沢U-15』から仙台育英に進んだ“先輩”と言えば、1年生から高校選手権でゴールを記録するなど、その鋭い得点感覚でエースの座に君臨した佐藤遼(城西大3年)の名前が思い浮かぶ。

「佐藤遼くんはFC駒沢の練習会に行った時に、1回一緒にやったことがあって、その時からちょっとレベルが違う人だなという感じはあって、そこから育英に進んだと聞いたので、育英での試合の情報とかも聞いていたんですけど、ほぼ毎試合点を獲るような、ザ・ストライカーみたいな感じのところに憧れもありました」。3つ上に当たる直属の“先輩”には、やはり特別な気持ちも抱いていたようだ。

 それでも、憧れてばかりはいられない。続けた言葉に強気なメンタルが滲む。「佐藤遼くんが卒業したタイミングで、自分も仙台育英に入ってきたんですけど、プレースタイルは全然違うので、憧れは持ちつつも、自分の持ち味の競り合いや裏への抜け出しという面では、佐藤遼くんを超える意気込みもありますし、『育英のストライカーと言えば河野』と名前が出るようになればいいなと思います」。

 点を獲ることを軸に据えて生きるのであれば、これぐらいの意欲は頼もしい限り。ただ、その名を今まで以上に轟かせるためには、結果を出し続ける必要がある。そう考えれば、次の神村学園高(鹿児島)と対峙する3回戦は、河野にとっても自身の存在をアピールする絶好のチャンスだ。

「世代別代表が何人もいる相手ですし、昨日今日の試合とはまた違った緊張感もあって、難しい試合になると思うんですけど、そういう時こそ自分に何ができるか、どれくらいチャレンジできるかが凄く大事だと思うので、神村だからと言ってビビらずに、強気にチャレンジを続けて、自分の持ち味を出して、点を獲りたいです」。

 仙台育英の9番を背負ったゴールゲッター。誰もが認める『育英のストライカー』の称号は、自らのゴールという形で掴み取る。河野宗眞の未来に大きな影響を与え得る勝負の1試合は、もうすぐそこまで迫っている。



(取材・文 土屋雅史)

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土屋雅史
Text by 土屋雅史

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