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米子北、後半の逆襲劇で国見を破って8強入り

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米子北高が逆転勝ちで8強入り

[7.30 総体3回戦 米子北高 2-1 国見高 JヴィレッジP7]

 試合運びの経験値の差が出た一戦だった。令和6年度全国高校総体(インターハイ)「ありがとうを強さに変えて 北部九州総体 2024」男子サッカー競技は30日に3回戦を行い、米子北高(鳥取)は2-1の逆転で前回4強の国見高(長崎)を破り、準々決勝進出を決めた。

 前半は、完全に国見のペースだった。立ち上がりは、速攻が中心。球際でしっかりと身体を入れて競り合って優位に立つと、前半8分にFW門崎健一(3年)がFKでフィードを送り、MF山口大輝(3年)の折り返しに対し、前線まで顔を出した右MF江藤呂生(3年)が飛び込んで相手ゴールを脅かした。

 前半15分には、江藤のクロスからゴール前が混戦になり、相手GKが前に出ながら処理した場面を見逃さなかった。中盤でこぼれ球を拾った山口が、見事なロングループシュートを決めて先制点を奪った。

 続けて17分にも江藤のクロスからFW西山蒔人(3年)がヘディングシュートでネットを揺らしたが、オフサイドで得点は認められなかった。完全にペースを掌握した国見は、15分過ぎから、しっかりとパスをつなぐスタイルに変更。ボールを動かしながら、追加点を狙った。
 
 しかし、主将を務めるGK松本優星(3年)が「良い時間帯に先制できたが、自分たちが1点を守ろうと引いてしまった」と話したように、少しずつ受けに回る時間も増えていった。

 一方、出足で負けていた米子北は、中村真吾監督が「相手のツートップが良くて、こっちの最終ラインが下がり過ぎた」と分析。守備ブロックを築いてボールを奪うスタイルは得意とする形だが、下がり過ぎて腰が重くなり、奪い所を見つけて出ていくプレーができず、押し込まれていた。

 後半に入ると、最終ラインを押し上げ、試合のペースを奪還した。小柄なDF熊谷弾(2年)を前線に投入。地上戦での競り合いに強い熊谷を生かしながら、押し返した。後半6分、米子北は、右サイドから右DF樋渡蓮音(3年)がゴール前に送ったボールを、FW鈴木颯人(3年)がヘディングで折り返すと、熊谷が右足で押し込んで同点とした。

 勢いを得た米子北は、後半13分に右CKをMF柴野惺(3年)が頭で決めて逆転。あっという間に試合をひっくり返した。さらに、すぐに選手交代を行い、布陣を4バックから3バックに変更。相手の長所である2トップに対して数的優位で応戦。推進力のあるサイドの選手にもしっかりとマークをつけ、堅牢な守備陣形で相手の攻撃を封じ込めた。

 それでも国見は鋭い攻撃を見せ、後半35+1分には、縦パスのこぼれ球からチャンスを得たFW西山がシュートを放つチャンスがあったが、相手に阻まれた。西山は「自分たちのスタイルではないロングパスが増え、FWがボールを追いかけないといけない展開になってしまった。それでも守備は頑張ってくれていた。自分にはチャンスがあったし、前の責任」とチームを助けるゴールを決められなかったことを悔しがった。

 国見は、後半35+5分にも途中出場のFW金子光汰(3年)が相手の背後へ飛び込んでシュートを狙ったが、上に外れた。試合は、米子北が2-1で試合をクローズ。敗れた国見は、プリンスリーグ九州2部では首位を走っており、力があるのは間違いないが、対応力に課題が見えた。

 木藤健太監督は「トップのプレミアリーグでやっているチームとの日常のレベルの差が出た。失点後も少し慌ててしまった。相手が変えて来た時に、どう対応するか。ピッチの中で選手が判断しないといけない。悔しい負け」と顔をしかめた。

 一方、勝った米子北は、苦しい試合の流れを変えることに成功して勝利をつかんだ。2点目をアシストしたMF山下一圭(2年)は「プレミアリーグで毎週きつい戦いをしている。焦れずに耐えて勝つことができた」と手応えを語った。翌31日の準々決勝で市立船橋高(千葉)と対戦。いよいよ上位争いとなり、プレミアリーグ勢対決を迎える。

(取材・文 平野貴也)


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平野貴也
Text by 平野貴也

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