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いずれも優勝歴を持つ帝京、国見、市船を撃破。山陰勢初Vへ、米子北が最近4大会で3度目の準決勝進出!

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米子北高が市立船橋高を1-0で撃破。メンバー外の3年生と勝利を喜ぶ

[7.31 総体準々決勝 市立船橋高 0-1 米子北高 JヴィレッジP3]

 山陰勢初Vへ、名門校連破の米子北が4強入り! 令和6年度全国高校総体(インターハイ)男子サッカー競技は31日、準々決勝を行い、米子北高(鳥取)が1-0で市立船橋高(千葉)に勝利。2年ぶりの準決勝進出を決めた。
 
 米子北は難敵・東邦高(愛知)との初戦をPK戦で制すと、ともに選手権優勝6回の名門校でインターハイ優勝3度の帝京高(東京)と、同5度の国見高(長崎)を破って8強入り。そして、この日は選手権優勝5回、今大会で最多10度目のインターハイ制覇を狙った市立船橋撃破を果たした。

 城市徳之総監督は、監督時代に初めて臨んだ選手権(2003年度)と最後の選手権(2015年度)でいずれも市立船橋に敗れていた。今回、縁のある相手に公式戦で初勝利。「名門の高校さんですし、憧れの高校でもあります。ほんとに市船さんに勝てたのは、我々にとっても大きいです」と微笑んだ。

米子北は最近4大会のインターハイで3度目の準決勝進出

 プレミアリーグ勢対決となった8強決戦。累積警告による出場停止でDF井上千陽(3年)を欠く市立船橋は、GKギマラエス・ニコラス(3年、U-17日本高校選抜)、DF金子竜也(3年)、岡部タリクカナイ颯斗主将(3年)、ギマラエス・ガブリエル(3年)、3回戦(対尚志高)決勝点の渡部翔太(3年)、MF峯野倖(3年、22年U-16日本代表)、長野恵弥(2年)、篠崎健人(1年、U-16日本代表)、佐々木瑛汰(1年、23年U-15日本代表)、FW伊丹俊元(3年)、仲野真翔(2年)が先発した。

 一方の米子北はGK広川武寛(3年)、DF樋渡蓮音(3年)、熊野俊典(1年)、浜梶優大(2年)、花田涼惺(3年)、MF湯月哲大(2年)、今大会2得点の柴野惺(3年)、西尾潤星(3年)、山下一圭(2年)、FW鈴木颯人主将(3年)、佐野聖也(3年)が先発した。

 その米子北は、序盤からロングボールで相手DFラインを裏返しに行く。城市総監督も「裏返してから、そこでウチの選手が頑張って、起点を作ってっていうところだったので、そういうところはできたんじゃないかなと思います」。鈴木と佐野の2トップを筆頭に攻守でハードワーク。そして、FKのこぼれ球から、浜梶が思い切り良くミドルシュートを狙った。

前線での奮闘光った米子北FW佐野聖也

 対する市立船橋は、峯野の連続でのインターセプトなどから正確にパスを繋ぐなどボールを保持する時間を増加。伊丹が最前線でボールを収めて起点を作り、サイドからクロスへ持ち込んだ。前半15分には仲野が左ゴールライン際でDFをかわし、右足シュート。だが、良い距離感で守る米子北を攻めあぐね、押し返されてしまう。

市立船橋は注目ボランチ、MF峯野倖のインターセプトから攻撃へ

 米子北は右SB樋渡が対人プレーでの強さを発揮したほか、柴野と湯月の両ボランチがセカンドボールの攻防で健闘。ハイサイドへ抜け出す鈴木、山下の仕掛けなどによって高い位置でのスローインや、CKを獲得する。そして、鈴木や西尾がシュートを打ち切るなど狙いとする戦いを表現していた。だが、市立船橋も注目CB岡部を中心とした守りで決定打を打たせない。

市立船橋は相手のロングボールをCB岡部タリクカナイ颯斗主将中心に跳ね返した

 市立船橋は後半開始から伊丹、仲野に代え、今大会2得点の10番FW久保原心優(3年、U-17日本高校選抜)とMF田中優成(1年)を投入。3分には、右サイドでの奪い返しから久保原が左足ミドルを放つ。前線でボールを引き出す久保原やスペースを狙う田中が係わる形で攻撃。米子北も10分、佐野に代えて3回戦で同点ゴールのDF熊谷弾(2年)を前線に送り出し、ギアを上げる。

 13分、米子北が先制点を奪う。配球役にもなっていた花田の左スローインから、相手の跳ね返しを柴野が1タッチでループパス。これに熊谷と鈴木が反応して追うと、鈴木が1バウンドしたボールをDFと入れ替わる形で収め、そのまま右足を振り抜く。この一撃が左隅に決まり、1-0となった。

 エースFWの待望の今大会初ゴールを喜ぶ米子北イレブン。追う展開となった市立船橋は16分に佐々木とMF野地透生(2年)を入れ替え、24分には金子と長野に代えてDF鶴岡寿咲(3年)とMF森露羽安(2年)を投入する。そして、鶴岡のロングスローなどでプレッシャーをかけるが、米子北は1年生CB熊野が再三の競り合いで健闘。また、城市総監督が「安定してきましたね」と評した2年生CB浜梶が前半に続き、後半も要所を封じ続けていた。

米子北の1年生CB熊野俊典が競り合いで相手を上回って見せる

安定感を増した米子北の2年生CB浜梶優大

 市立船橋の波多秀吾監督は米子北にハードワークで上回られたこと、また相手の迫力が想像以上だったことを認め、同時に自分たちが基準以下になってしまったことを指摘する。「あのハードワークを持って、なおかつプラスアルファで何ができるかっていうことをウチは求めなきゃいけないところだと思うんですけど、そこにおいても向こうに優位を取られてしまったというところはすごく大きな反省点かなと思います」。前日の尚志(福島)戦に続き、2日連続となるプレミアリーグ勢との戦いは厳しいものになった。

 米子北は28分、花田とDF藤原大空(2年)を交代。藤原が中央、熊谷が左WBに入る形の5バックへ移行する。守りを固めると、33分には山下とFW石飛五光(2年)を入れ替え、前線の運動量と迫力を維持。最後までハードワークを徹底し、また5バック背後へのボールはGK広川武寛(3年)が落ち着いて処理するなど隙を見せない。

 そのまま、米子北が1-0で勝利。選手たちは体全体で喜びを表現した。米子北はこの白星によって、最近4大会のインターハイで3度目の準決勝進出。プレミアリーグを主戦場とする“山陰の雄”は、トップチームへの仲間入りをしてきている。城市総監督は「まだまだウチはそんなチームじゃないですけども、色々な戦い方とかやり方によっては、(市立船橋のようなトップクラスの相手に対して)こういった試合もできるってことは証明できたのかなと思います」。次は、“タレント軍団”神村学園高(鹿児島)との準決勝だ。
 
 今季のプレミアリーグWESTでの対戦(7月7日)は2-4で敗戦。鈴木は「このリベンジを果たせるように、チーム一つになって頑張りたいと思います」。宿舎では繰り返しミーティングを行い、勝つためにやるべきことを共有してきた。3度目の決勝進出を懸けた準決勝へ向けても全員で準備し、再び強敵を上回る。

米子北の注目SB樋渡蓮音が前へ出てパフォーマンス

米子北のメンバー外の3年生はこの後、遠征へ。その思いも背負い、選手たちは日本一を目指す

(取材・文 吉田太郎)


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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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