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周囲を見返す5試合連続無失点も、決勝で3失点。神村学園DF新垣陽盛「もっともっと自分たちが、DF陣が成長しなければいけない」

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神村学園高の守りを支えたDF新垣陽盛

[8.3 総体決勝 神村学園高 2-3 昌平高 Jヴィレッジスタジアム]

「無失点じゃないと意味ないぞ!」「勝ったとしても絶対に無失点じゃないと意味がないぞ!」

 試合開始前、神村学園高(鹿児島)の3バックを組むDF新垣陽盛(3年)とDF黒木涼我(3年)、DF中野陽斗(2年)、そしてGK江田優大(2年)4人だけで円陣。決勝で無失点にこだわることを再確認したという。

 神村学園は準決勝までの5試合連続で無失点。ボールを保持しながら主導権を握り、多彩な攻撃でゴールを奪うことを特長とするチームが、周囲を驚かせるような守りも見せてきた。

 決勝でも自分たちの攻撃的な特長を出すことを目指した一方、DF陣は本気で無失点Vに挑戦。だが、1-0の前半アディショナルタイムに一瞬の隙を突かれて初失点すると、後半終了間際にも2点を奪われて逆転負けした。

 3バックの中央を担った新垣は、身体能力の高さを活かしたヘッドや的確なカバーリングで堅守の中心になってきた。だが、無失点を誓って臨んだ決勝で3失点。「ここまで無失点で来れたけれど、DFリーダーとしてまだまだ未熟だったのかなと。3失点してしまって、そこで自分がやらせてあげられなかった。もっとチームを鼓舞して失点を防げたシーンもたくさんありましたし、そういうところは自分の反省点ですし、矢印を自分に向けてやっていきたいです」と唇を噛んだ。

 昌平高(埼玉)の両ウイング、MF山口豪太(2年)とMF長璃喜(2年)はいずれも年代別日本代表歴の持ち主。新垣はその対抗策について、「昌平高校さんの両ウイングが強烈っていうのは分かっていたので、やらせないというよりはクロスを上げさせる。カットインを警戒しながらクロスを上げさせるというやり方で、やっていた」と説明する。

 彼らの中への動きを封じ、シュートを打たせないこと、外からクロスを“上げさせて”ゴール前で弾き返すことを目指した。だが、勝ち越した直後の後半29分には長のカットインについていけず、痛恨の被弾。また、後半34分の決勝点を含めてクロスからも2点を献上してしまった。

 新垣は「(相手の特長は)分析済みだったんですけれども、やらなければいけないことをやらなかった。当たり前のことをやらないといけないと思いました」。また試合終盤、声がけをしなければならない自分の集中力が切れてしまい、「周りが見えなくなっていて、やられっぱなしになってしまった」と悔しがった。

 今大会、神村学園DF陣は個々の守備能力の高さやチャレンジ&カバーの徹底、加えて、GK江田の好セーブや中盤、前線の選手の奮闘もあって、周囲からの見られ方を変えるような堅守。その一方、DF陣はより自分たちが成長しなければならないことを感じていた。

 新垣は「守備力を今まで自分たちが課題にしてきて、『点が取れるけれど、失点が多い神村』ってネットや色々な面で言われていて、自分が一番悔しくて、DFリーダーとしてやっていかないといけないと。前は本当に強いですし、どんな相手がいても崩して絶対に点を決めると思うので、もっともっと自分たちが、DF陣が成長しなければいけないかなと思います」。神村学園はプレミアリーグ参戦2年目。他の参戦チーム同様に厳しい戦いの中で守備意識、守備強度が変化してきていることは間違いない。今後のフェスティバルや再開する強敵との戦いで成長し、「守備も強い神村」になる。

DF黒木涼我(3年=JFAアカデミー福島U-15WEST出身)は1対1でも強さを発揮

DF中野陽斗(2年=神村学園中出身)は全国トップレベルの相手にも堅守発揮

多くの好セーブを見せたGK江田優大(2年=神村学園中出身)

(取材・文 吉田太郎)


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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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