[MOM5099]四日市中央工FW増田莉久(3年)_ 「史上最低の17番」から頼れるエースへ…3戦連発で決勝の舞台へと導く
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[5.30 インターハイ三重県予選準決勝 四日市中央工高 3-1 四日市南高 四日市市中央陸上競技場]
四日市中央工高にとって、17番は重みのある番号だ。選手権で両校優勝に導いた元日本代表の小倉隆史氏(元名古屋など)を皮切りに歴代のエースストライカーが背負ってきた背番号で、近年もFW田口裕也(現愛媛)などその年の顔となる選手が、17番を背負ってきた。
今年、四中工の17番を背負うのは、ジュビロ磐田U-15出身のFW増田莉久(3年)だ。裏への抜け出しとポストプレーが持ち味で、点取り屋としてのポテンシャルを秘めた選手。今年1月の新人戦を迎えるタイミングで、「1年生からずっと付けたいと思っていた」という17番を自ら志願した。
県大会の準決勝で敗れた昨年の選手権の反省を生かし、スプリントの数を増やすため、新チームになってからは毎週火曜日に行なう走力トレーニングに力を入れてきた。元々は大人しい性格で気持ちを前面に出せなかったが、最終学年を迎えてからは「全国に行くためには、自分が強くならなければいけない」と思うようになり、少しずつチームを盛り上げる声も増え始めた。
だが、それでも17番に見合う活躍ができていたとは言い難い。新チームが立ち上がったばかりの頃は「周りが見えていなくて、ボールを受けてもすぐ奪われていた。全く機能していなかった」(増田)。2月に行なった練習試合終わりには、伊室陽介監督から「史上最低の17番だ」と厳しい言葉をかけられたという。増田は「やってやろうという気持ちになった」と振り返る。
中学時代のチームメイトの活躍も刺激になっている。磐田U-15時代のチームメイトだったMF石塚蓮歩(3年)とDF甲斐佑蒼(3年)は今年に入り、トップチームに2種登録。「負けていられない」と話す増田は、ゴールを奪うための準備を意識するようになり、ボールが来る前にしっかり周りを見えるようになった。
四日市南高と対戦したこの日の準決勝は、そうしたメンタルと意識の変化を感じさせるプレーを披露した。負ければ終わりのトーナメントの戦いを踏まえ、後方からのロングボールを増やした中、前線のターゲット役として機能。そこから2列目の選手にはたいて、ゴール前で再び関わる動きを繰り返した。ゴールネットを揺らすために、クリアボールやセカンドボールへの素早い反応も速かった。
最大の見せ場が訪れたのは前半17分だった。右CK付近のスペースでボールを受けたFW篠原知人(2年)が後方に下げると、サポートに入ったDF川井航(3年)がゴール前にクロス。タイミングよくゴール前に走り込んだ増田がヘディングで合わせ、先制点をマークした。
「練習でいつも相手の裏を取る動きはやってきた」と胸を張る一撃は、チームを勢いづける意味でも大きい。「点を取るべき選手が取ったら、流れが向いてくる。増田が点を取ってくれたのは大きかった」と称えるのは伊室監督で、エースの一撃で流れを引き寄せた四中工はその後も2点を加え、3-1で勝利した。
増田自身は追加点を奪えなかったことを悔やんだが、今大会は3回戦の鈴鹿高戦で2得点、準々決勝の近大高専戦では3得点をマーク。この日の得点で3試合連続得点と、17番としての仕事ができるようになってきた。成長ぶりに目を細めるのは伊室監督で、「厳しい言葉が莉久に響いている。メンタルの変化が裏抜けになったり、前からのチェイシングや、今日のヘディングシュートに繋がっている。彼なりに変わろうとしている」と口にする。
ゴールラッシュをここで終わらせるつもりはない。「自分が点を取って、もっと上に行きたい」と意気込む増田は決勝でもチームに歓喜をもたらし、全国の舞台に導くつもりだ。
(取材・文 森田将義)
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四日市中央工高にとって、17番は重みのある番号だ。選手権で両校優勝に導いた元日本代表の小倉隆史氏(元名古屋など)を皮切りに歴代のエースストライカーが背負ってきた背番号で、近年もFW田口裕也(現愛媛)などその年の顔となる選手が、17番を背負ってきた。
今年、四中工の17番を背負うのは、ジュビロ磐田U-15出身のFW増田莉久(3年)だ。裏への抜け出しとポストプレーが持ち味で、点取り屋としてのポテンシャルを秘めた選手。今年1月の新人戦を迎えるタイミングで、「1年生からずっと付けたいと思っていた」という17番を自ら志願した。
県大会の準決勝で敗れた昨年の選手権の反省を生かし、スプリントの数を増やすため、新チームになってからは毎週火曜日に行なう走力トレーニングに力を入れてきた。元々は大人しい性格で気持ちを前面に出せなかったが、最終学年を迎えてからは「全国に行くためには、自分が強くならなければいけない」と思うようになり、少しずつチームを盛り上げる声も増え始めた。
だが、それでも17番に見合う活躍ができていたとは言い難い。新チームが立ち上がったばかりの頃は「周りが見えていなくて、ボールを受けてもすぐ奪われていた。全く機能していなかった」(増田)。2月に行なった練習試合終わりには、伊室陽介監督から「史上最低の17番だ」と厳しい言葉をかけられたという。増田は「やってやろうという気持ちになった」と振り返る。
中学時代のチームメイトの活躍も刺激になっている。磐田U-15時代のチームメイトだったMF石塚蓮歩(3年)とDF甲斐佑蒼(3年)は今年に入り、トップチームに2種登録。「負けていられない」と話す増田は、ゴールを奪うための準備を意識するようになり、ボールが来る前にしっかり周りを見えるようになった。
四日市南高と対戦したこの日の準決勝は、そうしたメンタルと意識の変化を感じさせるプレーを披露した。負ければ終わりのトーナメントの戦いを踏まえ、後方からのロングボールを増やした中、前線のターゲット役として機能。そこから2列目の選手にはたいて、ゴール前で再び関わる動きを繰り返した。ゴールネットを揺らすために、クリアボールやセカンドボールへの素早い反応も速かった。
最大の見せ場が訪れたのは前半17分だった。右CK付近のスペースでボールを受けたFW篠原知人(2年)が後方に下げると、サポートに入ったDF川井航(3年)がゴール前にクロス。タイミングよくゴール前に走り込んだ増田がヘディングで合わせ、先制点をマークした。
「練習でいつも相手の裏を取る動きはやってきた」と胸を張る一撃は、チームを勢いづける意味でも大きい。「点を取るべき選手が取ったら、流れが向いてくる。増田が点を取ってくれたのは大きかった」と称えるのは伊室監督で、エースの一撃で流れを引き寄せた四中工はその後も2点を加え、3-1で勝利した。
増田自身は追加点を奪えなかったことを悔やんだが、今大会は3回戦の鈴鹿高戦で2得点、準々決勝の近大高専戦では3得点をマーク。この日の得点で3試合連続得点と、17番としての仕事ができるようになってきた。成長ぶりに目を細めるのは伊室監督で、「厳しい言葉が莉久に響いている。メンタルの変化が裏抜けになったり、前からのチェイシングや、今日のヘディングシュートに繋がっている。彼なりに変わろうとしている」と口にする。
ゴールラッシュをここで終わらせるつもりはない。「自分が点を取って、もっと上に行きたい」と意気込む増田は決勝でもチームに歓喜をもたらし、全国の舞台に導くつもりだ。
(取材・文 森田将義)
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