「歴史ってどこかが塗り替えないと次に進まへん」。立命館守山は水口にPK戦で競り勝ち、初の全国を懸けて「3度目の正直」となる近江との決勝へ堂々と挑む!
[6.5 インターハイ滋賀県予選準決勝 水口高 0-0 PK4-5 立命館守山高 布引グリーンスタジアム]
新しい歴史を創るのは自分たちだと覚悟を決めて、このチームでひたすら前へと突き進んできた。全国大会に出場するために必要な勝利は、あとわずかに1つ。こじ開けたい。重い扉を。切り拓きたい。新たな道を。勝つ。必ず勝って、優勝カップを掲げてみせる。
「歴史ってどこかが塗り替えないと次に進まへんと思うので、決勝に行けただけで止まっていたら進まないですし、僕たちが全国に行って、ここから先も常連になっていったらいいなと思います」(立命館守山高・中村輔)。
ジリジリするような試合を、PK戦で制してファイナル進出!令和7年度全国高校総体(インターハイ)滋賀県予選準決勝が5日、布引グリーンスタジアムで開催され、19年ぶりの全国を目指す水口高と初の滋賀制覇を掲げる立命館守山高が激突した一戦は、0-0で突入したPK戦に、立命館守山が5-4で勝ち切った。7日の決勝では近江高と対戦する。
「お互い良さを出させないという試合でしたね」と立命館守山を率いる吉田貴彦監督が話し、「手の内がわかっているから、どっちが先に動くんかなとか、お互い牽制し合ったようなゲームやったですね」と水口の夘田雄基監督も口にしたように、ゲームは静かな流れの中で推移していく。
水口は前線のFW池口遼(3年)のキープ力と、右サイドハーフに入ったMF岡浩平(3年)のドリブルをアクセントに、シンプルに前を意識する中で、準決勝という独特の緊張感もあってか、どうしてもボールロストが増えてしまい、流れの中からはチャンスを作り切れない。
対する立命館守山は「セカンドボールとか当たり前のところを制したら、いい感じに試合は運べるのかなと感じました」と語ったキャプテンのMF中村輔(3年)とMF山本泰生(3年)のドイスボランチを軸に、基本は守備を意識しながら右のMF小笠原啓太(2年)、左のMF永井優翔(3年)にボールが入った時には、縦への推進力が出かけるものの、やはり相手ゴール前までは運べない。
18分にはセットプレーから水口にビッグチャンス。左からDF要石光琉(2年)が蹴り込んだFKに、DF岡田煌志(3年)が合わせたヘディングはわずかにクロスバーの上へ。20分にも左サイドを抜け出した池口は、飛び出したGKを外しながらフィニッシュへは持ち込めず、MF鈴木宏弥(3年)が放ったシュートは枠外へ。双方が探り合うような前半は、0-0でハーフタイムへと折り返す。


後半に入ると、立命館守山はセットプレーから先制機を窺う。10分には再三飛距離のあるロングスローを見せていたDF平尾新(3年)がここも好ボールを投げ入れ、ニアでDF井上朔(3年)が競り勝つも、オフェンスファウルに。22分には右から岡がFKを蹴り入れ、ファーでDF森圭児(3年)が折り返すデザインされたプレーを見せるも、ボールは水口GK小西琉希(2年)が丁寧にキャッチ。スコアを動かすまでには至らない。
水口もDF山本蓮(2年)とDF清水亮(2年)のセンターバックコンビを中心に、守備の安定を図りながら、虎視眈々と狙う一刺し。24分には岡田が丁寧に蹴った右クロスに、池口が飛び込むもわずかに届かず。直後には左サイドで奮闘したFW重田遥輝(3年)とMF北村耀(2年)を入れ替え、「1点獲った方が勝ちちゃうかという感じでしたね」と夘田監督も口にした“1点”をもぎ取りに掛かる。
それでも、以降はどちらも決定的なシーンは迎えられず。「ウチもやってほしい守備を上手にやっていたので、大きなピンチは少なかったと思うんですけど、チャンスもほとんどなかったですね」と吉田監督。70分間で決着つかず。ファイナルを巡る切符の行方は、前後半10分ずつの延長戦で争われることになる。
延長前半8分には立命館守山にビッグチャンス。左から永井が蹴ったFKはエリア内へこぼれ、最後は森がプッシュ。先制点かと思われたが、主審はGKへのオフェンスファウルというジャッジを下し、ノーゴールに。1点が遠い。
延長後半5分には水口にも好機到来。中盤のキーマンMF堤陸人(3年)が絡んだ展開から、左サイドで浮き球を収めた池口が枠内シュートを放つも、立命館守山GK藤森広大(2年)が丁寧にキャッチ。「お互いシュートまで行けそうやけど、行けないような、焦れる展開だったと思います」と口にしたのは中村。90分間を終えて、0-0。決勝へと勝ち上がる権利は、PK戦で争われることになる。
延長後半終了直前。立命館守山を率いる吉田監督は、勝負の采配を振るっていた。「新人戦のPKでよく止めて勝っていたので、あの子で止めて勝つイメージがあって、PKになった時には行けるかなと思いました」というGK園部蒼明(3年)を『PKキーパー』として投入していたのだ。
PK戦でも両雄は譲らない。4人目まではどちらも成功。5人目も先攻の立命館守山はきっちり沈めて、迎えた後攻の水口。右スミを狙ったキックは、しかし完全に読み切った園部が完璧なセーブで弾き出す。
「メチャメチャ嬉しかったですね。自分のおかげでこのチームを勝たせられたと思って、嬉しかったです」と笑った園部へ、チームメイトたちが次々と駆け寄る。「0-0で最後まで行けば、アイツならというのはありますね」と中村も認める背番号1の躍動で、勝負あり。立命館守山がPK戦をモノにして、2年連続となる決勝進出の権利を引き寄せる結果となった。




「喜び方が違うなと思いました。去年は初めて決勝に行ったことで満足感があったというか、気負わず決勝もやってくれましたけど、どこかで満足していたのかなと。今回は2回目の決勝なので、選手たちもサッと整列して、次を見据えているのかなと。頼もしいなと思っています」。
立命館守山を率いる吉田監督は、試合後の雰囲気を見て、1年前との変化をそう感じたという。今のチームの選手たちにとって、県決勝進出は昨年のインターハイ予選、今年2月の新人戦に続いて3回目。間違いなく彼らの目線は、以前より引き上げられている。
「最初は初めて決勝に行けたみたいな喜びもあったんですけど、最近はこの準決勝をちゃんと踏み台にしてというか、絶対ここまではしっかり勝って、決勝で王者に挑戦するというメンタルになっています」(中村)


決勝で対峙するのは近江高。2年前には全国準優勝を経験している強豪であり、立命館守山にとっては過去2回の県決勝でいずれも敗れた相手。この“ラスボス”を倒さない限り、初めての全国大会出場は勝ち獲れないが、選手たちのモチベーションはもう十分に満ちている。
「去年のインターハイも、今年の新人戦も決勝で近江に負けていて、今回は『3度目の正直』という挑戦になるので、そろそろ一発かましたいなという想いはあります。近江の切り替えの速さとかテクニックにも対抗できるように、日ごろから強度高く練習をやっているので、それを少しでも発揮できたら、いいゲームになるんじゃないかなと思っています」。ハッキリ言い切った中村の言葉が頼もしい。
創部2年目となる2007年からチームの指揮を執ってきた吉田監督も、今までの歩みを振り返りながら、最後の1試合に向けて想いを馳せる。「メッサ遅いですけど、一応順調に成長しているとは思うんです。それこそ『5年で芽出えへんかったら、もう出えへんで』とか言われながら、今年で19年目ですかね。しぶとく頑張ってますし(笑)、歴史は1個1個重なっていくんだなというのは実感しています。あとはここで満足せず欲張れるか、なのかなと」。
しぶとく積み重ねてきた20年近い時間の先で、確実に自分たちのサッカーを芽吹かせてきた彼らが、真剣に狙うのは『3度目の正直』。いざ、決戦へ。立命館守山の新たな歴史は、2025年のチームが逞しく、猛々しく、切り拓く。


(取材・文 土屋雅史)
●全国高校総体2025特集
新しい歴史を創るのは自分たちだと覚悟を決めて、このチームでひたすら前へと突き進んできた。全国大会に出場するために必要な勝利は、あとわずかに1つ。こじ開けたい。重い扉を。切り拓きたい。新たな道を。勝つ。必ず勝って、優勝カップを掲げてみせる。
「歴史ってどこかが塗り替えないと次に進まへんと思うので、決勝に行けただけで止まっていたら進まないですし、僕たちが全国に行って、ここから先も常連になっていったらいいなと思います」(立命館守山高・中村輔)。
ジリジリするような試合を、PK戦で制してファイナル進出!令和7年度全国高校総体(インターハイ)滋賀県予選準決勝が5日、布引グリーンスタジアムで開催され、19年ぶりの全国を目指す水口高と初の滋賀制覇を掲げる立命館守山高が激突した一戦は、0-0で突入したPK戦に、立命館守山が5-4で勝ち切った。7日の決勝では近江高と対戦する。
「お互い良さを出させないという試合でしたね」と立命館守山を率いる吉田貴彦監督が話し、「手の内がわかっているから、どっちが先に動くんかなとか、お互い牽制し合ったようなゲームやったですね」と水口の夘田雄基監督も口にしたように、ゲームは静かな流れの中で推移していく。
水口は前線のFW池口遼(3年)のキープ力と、右サイドハーフに入ったMF岡浩平(3年)のドリブルをアクセントに、シンプルに前を意識する中で、準決勝という独特の緊張感もあってか、どうしてもボールロストが増えてしまい、流れの中からはチャンスを作り切れない。
対する立命館守山は「セカンドボールとか当たり前のところを制したら、いい感じに試合は運べるのかなと感じました」と語ったキャプテンのMF中村輔(3年)とMF山本泰生(3年)のドイスボランチを軸に、基本は守備を意識しながら右のMF小笠原啓太(2年)、左のMF永井優翔(3年)にボールが入った時には、縦への推進力が出かけるものの、やはり相手ゴール前までは運べない。
18分にはセットプレーから水口にビッグチャンス。左からDF要石光琉(2年)が蹴り込んだFKに、DF岡田煌志(3年)が合わせたヘディングはわずかにクロスバーの上へ。20分にも左サイドを抜け出した池口は、飛び出したGKを外しながらフィニッシュへは持ち込めず、MF鈴木宏弥(3年)が放ったシュートは枠外へ。双方が探り合うような前半は、0-0でハーフタイムへと折り返す。


水口FW池口遼が力強いドリブルでエリア内へ切れ込む
後半に入ると、立命館守山はセットプレーから先制機を窺う。10分には再三飛距離のあるロングスローを見せていたDF平尾新(3年)がここも好ボールを投げ入れ、ニアでDF井上朔(3年)が競り勝つも、オフェンスファウルに。22分には右から岡がFKを蹴り入れ、ファーでDF森圭児(3年)が折り返すデザインされたプレーを見せるも、ボールは水口GK小西琉希(2年)が丁寧にキャッチ。スコアを動かすまでには至らない。
水口もDF山本蓮(2年)とDF清水亮(2年)のセンターバックコンビを中心に、守備の安定を図りながら、虎視眈々と狙う一刺し。24分には岡田が丁寧に蹴った右クロスに、池口が飛び込むもわずかに届かず。直後には左サイドで奮闘したFW重田遥輝(3年)とMF北村耀(2年)を入れ替え、「1点獲った方が勝ちちゃうかという感じでしたね」と夘田監督も口にした“1点”をもぎ取りに掛かる。
それでも、以降はどちらも決定的なシーンは迎えられず。「ウチもやってほしい守備を上手にやっていたので、大きなピンチは少なかったと思うんですけど、チャンスもほとんどなかったですね」と吉田監督。70分間で決着つかず。ファイナルを巡る切符の行方は、前後半10分ずつの延長戦で争われることになる。
延長前半8分には立命館守山にビッグチャンス。左から永井が蹴ったFKはエリア内へこぼれ、最後は森がプッシュ。先制点かと思われたが、主審はGKへのオフェンスファウルというジャッジを下し、ノーゴールに。1点が遠い。
延長後半5分には水口にも好機到来。中盤のキーマンMF堤陸人(3年)が絡んだ展開から、左サイドで浮き球を収めた池口が枠内シュートを放つも、立命館守山GK藤森広大(2年)が丁寧にキャッチ。「お互いシュートまで行けそうやけど、行けないような、焦れる展開だったと思います」と口にしたのは中村。90分間を終えて、0-0。決勝へと勝ち上がる権利は、PK戦で争われることになる。
延長後半終了直前。立命館守山を率いる吉田監督は、勝負の采配を振るっていた。「新人戦のPKでよく止めて勝っていたので、あの子で止めて勝つイメージがあって、PKになった時には行けるかなと思いました」というGK園部蒼明(3年)を『PKキーパー』として投入していたのだ。
PK戦でも両雄は譲らない。4人目まではどちらも成功。5人目も先攻の立命館守山はきっちり沈めて、迎えた後攻の水口。右スミを狙ったキックは、しかし完全に読み切った園部が完璧なセーブで弾き出す。
「メチャメチャ嬉しかったですね。自分のおかげでこのチームを勝たせられたと思って、嬉しかったです」と笑った園部へ、チームメイトたちが次々と駆け寄る。「0-0で最後まで行けば、アイツならというのはありますね」と中村も認める背番号1の躍動で、勝負あり。立命館守山がPK戦をモノにして、2年連続となる決勝進出の権利を引き寄せる結果となった。




「喜び方が違うなと思いました。去年は初めて決勝に行ったことで満足感があったというか、気負わず決勝もやってくれましたけど、どこかで満足していたのかなと。今回は2回目の決勝なので、選手たちもサッと整列して、次を見据えているのかなと。頼もしいなと思っています」。
立命館守山を率いる吉田監督は、試合後の雰囲気を見て、1年前との変化をそう感じたという。今のチームの選手たちにとって、県決勝進出は昨年のインターハイ予選、今年2月の新人戦に続いて3回目。間違いなく彼らの目線は、以前より引き上げられている。
「最初は初めて決勝に行けたみたいな喜びもあったんですけど、最近はこの準決勝をちゃんと踏み台にしてというか、絶対ここまではしっかり勝って、決勝で王者に挑戦するというメンタルになっています」(中村)


立命館守山の中盤を束ねるMF中村輔
決勝で対峙するのは近江高。2年前には全国準優勝を経験している強豪であり、立命館守山にとっては過去2回の県決勝でいずれも敗れた相手。この“ラスボス”を倒さない限り、初めての全国大会出場は勝ち獲れないが、選手たちのモチベーションはもう十分に満ちている。
「去年のインターハイも、今年の新人戦も決勝で近江に負けていて、今回は『3度目の正直』という挑戦になるので、そろそろ一発かましたいなという想いはあります。近江の切り替えの速さとかテクニックにも対抗できるように、日ごろから強度高く練習をやっているので、それを少しでも発揮できたら、いいゲームになるんじゃないかなと思っています」。ハッキリ言い切った中村の言葉が頼もしい。
創部2年目となる2007年からチームの指揮を執ってきた吉田監督も、今までの歩みを振り返りながら、最後の1試合に向けて想いを馳せる。「メッサ遅いですけど、一応順調に成長しているとは思うんです。それこそ『5年で芽出えへんかったら、もう出えへんで』とか言われながら、今年で19年目ですかね。しぶとく頑張ってますし(笑)、歴史は1個1個重なっていくんだなというのは実感しています。あとはここで満足せず欲張れるか、なのかなと」。
しぶとく積み重ねてきた20年近い時間の先で、確実に自分たちのサッカーを芽吹かせてきた彼らが、真剣に狙うのは『3度目の正直』。いざ、決戦へ。立命館守山の新たな歴史は、2025年のチームが逞しく、猛々しく、切り拓く。


(取材・文 土屋雅史)
●全国高校総体2025特集


