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[MOM5114]立命館守山GK園部蒼明(3年)_「自分がチームを勝たせる」覚悟のPKストップ!指導歴30年超えの指揮官が初めて決断した「PKキーパー」投入に応える完璧なセーブ!

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立命館守山高を決勝へと導いた「PKキーパー」、GK園部蒼明(3年=茨木市立平田中出身)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.5 インターハイ滋賀県予選準決勝 水口高 0-0 PK4-5 立命館守山高 布引グリーンスタジアム]

 みんなが繋いできてくれた勝負のバトンは、確かに受け取った。あとはオレがチームを勝たせるセーブを繰り出すだけ。こういう痺れるシチュエーションが来た時のために、あれだけ厳しいトレーニングを重ねてきたのだ。自分を信じ、飛ぶ。みんなのために。新しい歴史を築くために。

「もうPKになる前から自分が勝たせると思っていたので、『自分がチームを勝たせたんやな』という達成感がありました。みんなから『ナイス!』とか『ありがとう!』『やっぱりPKはオマエしかおらんわ』みたいに言ってもらえましたし、メチャメチャ嬉しかったですね」。

 延長後半の最終盤に投入された、立命館守山高(滋賀)が誇る『PKキーパー』。GK園部蒼明(3年=茨木市立平田中出身)が弾き出した1本のPKストップが、チームを決勝進出へと鮮やかに導いた。


 ベンチスタートだった背番号1の準備は、もう整っていた。インターハイ予選準決勝。水口高と対峙した一戦は、お互いに決め手を欠く形で、前後半の70分間はスコアレスで推移。もつれ込んだ延長も、なかなかゴールネットを揺らすシーンは訪れない。

 延長後半も終盤に差し掛かったタイミングで、アップエリアの園部へ声が掛かる。「試合前日には言われていたので、PK戦になったら自分が出る準備はしていました。アップの時点では少し緊張する部分もあったんですけど、いざピッチに立つとなったら『自分ならできる』という自信を持って行けましたね」。

 与えられた使命はいわゆる『PKキーパー』。「「入る時はみんなが『自信を持って、思い切りやってこい』と、後ろから背中を押してくれるような感じで送り出してくれました」。ここまでゴールマウスを守ってきたGK藤森広大(2年)とハイタッチを交わし、勝負のピッチへ駆け出していく。

「先発で出ていた新人戦のPKでよく止めて勝っていたので、今のキーパーもいいんですけど、PKに関してはあの子の方がいいのかなと。2,3日前からPK練習をやってみたら良かったので、ケガもあって先発ではなかったんですけど、3人目のキーパーとして入れようかと」。

 園部の起用理由を明かした吉田貴彦監督は、さらにこんなことも教えてくれる。「コーチも入れると23歳からですから、指導者になって30年ぐらいで、PKでキーパーを入れるという経験は今日が初めてでした」。経験豊富な指揮官にとっても一世一代の勝負の采配だったというわけだ。

延長後半終盤の投入でゴールマウスに走る園部


 運命のPK戦。4-3で迎えた後攻・水口の4人目。園部はコースを読み切り、ボールにさわったものの、わずかに弾き切れずにゴールネットが揺れる。「『来た!』と思ったんですけどね。あれで止めたら後のキッカーも自信を持って蹴れるシーンやったんですけど、あそこで止め切れなかったんが悔しかったです」。思わず天を仰ぐが、すぐに切り替える。先攻の立命館守山5人目は確実に成功。再び自分の見せ場がやってくる。

 園部はいたって冷静だった。観察する。キッカーの視線を。メンタルを。気づけば極限の状況にも関わらず、心の中には不思議な自信が芽生えていた。

「もう自分が最後に止めるしかないとなった時に、相手を見たら結構緊張してる感じやったんです。自分はPK戦が得意な方なので、自信を持って、楽しんでゴール前に立ちながら、笛が鳴った瞬間はもう相手をずっと見つめ続けて、どっちに飛ぶかをある程度自分の中で固めてから、自信を持って飛びました」。

 向かって左に飛ぶと、ボールも同じ方向に飛んできた。弾き出す。吠える。みんなが自分の方へ走ってくる。「『自分のおかげでこのチームを勝たせられた』と思って、とにかく嬉しかったですね」。大きな、大きな1本のPKストップで、園部は勝利の主役を軽やかにさらっていった。





 吉田監督も言及していたように、新人戦でも立命館守山は綾羽高、草津東高と全国経験校を相手に、どちらもPK戦で勝利を収めているが、この2試合でゴールマウスに立ち、やはりPKストップでチームを救ったのが園部だった。

「新人戦でもPK戦でチームを2回勝たせていたこともあって、そこが一番自分の自信の源になっていたと思います。公式戦でPKを止めたことが自信に繋がっていて、もともとPKは普通ぐらいやったんですけど、自分の中でも武器になったかなと思います」。

 立命館守山にとって初めての全国出場の懸かる決戦の相手は、昨年度のインターハイ予選でも、今年の新人戦でも、やはりファイナルで敗れている近江高。相手にとって不足はない。

 チームのキャプテンを任されているMF中村輔(3年)は、『PKキーパー』への信頼をこう口にする。「新人戦の時もPKで勝っていますし、彼のPKはホンマに凄くて、止める感じがあるんですよ。ちょっとケガもしていたので、ああやって試合に出て活躍してくれるのは嬉しかったですし、決勝もPKまで行けば力を貸してくれるかなと思います。0-0で最後まで行けば、アイツならというのはありますね」。

 もちろん園部も、気合は十分すぎるほどにみなぎっている。

「ここまで来たんで、絶対に近江を倒してやりたいですね。1回も僕たちは全国の舞台に行けていないので、ここで結果を出して、歴史に名を残していきたいと思っています。苦しいゲームになると思うんですけど、決勝でも今回のようにPKになれば、『自分が絶対勝たせてやる』という気持ちで挑んでいきたいですね」。

 チームの歴史を塗り替えるためのシチュエーションは、完全にできあがっている。立命館守山にとって、最強の相手に挑む、最高の晴れ舞台。全力で戦い抜いた先で、もしも全国切符をPK戦で争うことになっても、恐れることはない。彼らには園部蒼明という『PKキーパー』が万全の準備を施し、胸を張って、自らの出番を待っている。



(取材・文 土屋雅史)

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土屋雅史
Text by 土屋雅史

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