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[C☆voice68]筑波大MF上村岬(3年)「自分たちは『本当に戦えているのかな』、というところがあった」

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 大学サッカー界の注目選手にその時どきの課題や目標について聞く連載企画「College star voice」。第68回は筑波大の全日本大学選抜MF上村岬選手(3年=磐田ユース)です。

 磐田ユース時代に10番を背負って全日本ユース(U-18)選手権準優勝へ導いたプレーメーカーは、名門・筑波大でも1年時から出場機会を獲得し、現在は全日本大学選抜としても活躍中。リーグ屈指のチャンスメーカーとして、また筑波大の技術面、精神面における柱としても注目のMFは現在どのような目標、課題を持っているのか?(取材日:10月20日)

―東京学芸大戦(10月20日、2-1で勝利)は全国大会出場のために何としても勝たなければならない試合だった
「自分が前に入って身体張ってあげないといけないなと思ったので、蹴られても何しても頑張らなきゃいけないなと思ってやりました」

―前半は思った以上にボールを運べなかった
「相手が凄くリスクを負って前に出てきた。中盤とFWの間が開いていたのに自分らはしっかりとボールを取りきれずにクリアしてまた拾われて、長いボールを蹴ってまたクリアされてという時間帯が続いてしまった。あの時間帯に自分たちで取る所を取ってボールを回せると、もっとボールを支配できたと思う」

―後半それができたのは何が変わった?
「しっかりとセカンドボールを拾うというところもそうですし、前半は相手が下がっているのに少し前へ前へと狙いすぎたところもあったので、自分らの色を出していこうという話をした。後半始まる円陣の時に『ダメでもつないでやろう』と言って、中盤で大分ボールが回るようになったので、チャンスが増えたと思います」

―0-1の後半2分にファーストチャンスで追いついた。上村クンが起点となった攻撃だった
「はじめに取れれば逆転もあるという勢いだった。はじめのチャンスで取れたので勢いづいたと思います」

―そして自ら決めた決勝ゴール。DFがいても打ち切った
「自分の中ではDFの股を狙って打とうと決めていた。右足(のコース)を切られているのは分かっていたんですけど、最初から一個(ボールを)出して股を狙おうというのは考えていました。ボールを動かすことでGKも動く。そうすることで股とコースが開くと思った。狙い通りです。久しぶりに点を取ったのでどう喜べばいいか分からなかった」

―アシストにこだわっているのかと
「アシストしたい、アシストしたいという思いが強すぎて、点取ってもなんか『アレっ』という感じで。でも、それで勝てて良かった」

―決勝ゴールを決めなくてもきょうのプレーは光っていた
「今週、練習がハードでちょっと抗議するところでもあるんですけど(苦笑)、みんな足が重かったんじゃないかなという気がして、自分もチョットきついかなという感じがしていた。でも要所要所でボールつないで、持ってあげることでリズムはつくれたかなと思っている。(身体が重かったのは)グラウンドでアップできなかったことも影響しているかもしれないですけど、ズルズルいかなくて良かった。(コンビを組む)赤崎が頑張ってくれたので良かったです」

―自分の内容も満足していない?
「満足まではしていないです。もっと(ボールを)引き出してあげたり、顔を出してあげることで前半のうちからリズム作れたり、みんながもっと前に出られたのかなという気がする。最初は裏、裏という思いが強い。最近FWになったばかりでよく分からないので、とりあえず裏へ走るか、足元で受けてあげるかを意識している」

―中盤からFWと言われてどのような心境だった?
「中学の時もずっとFWで、そういう連動した動きだったり守備の仕方は分かっている。その時の守備のイメージを出しつつ、今のみんなの動きに合わせてタイミング良く下がってきてあげたり、逆に2列目から出ていってあげたりしてリズムをつくってあげるようにしている。大分後ろでボールが持てるようになってきているので、自分が前で起点になってあげれば、後ろが前に出てこられるし、後ろが楽なんじゃないかなと思っている」

―より決定的な仕事をするためのFW起用でもある
「前に置いておいてもらった方が自分としても結果を出せるかなという感じがするし、得点に絡むことが自分の長所なのでそこを出していければと思います」

―慶應に大勝した後、乗り切れていないが
「夏に少しチームを改造して。まとまって良い感じできたかなという思いがあったんですけど、天皇杯のアントラーズ戦でボロ負けして、少し落ちてリーグに臨んでしまったので、キツイかなと。そこはみんなで切り替えて臨むことができたんですけど、初戦あれだけボロ勝ちしたことで浮き足立ってしまったというか、行けるんじゃないかという思いが出てしまったことが自分たちの弱さ。そこで3連敗した時に凄く話し合って、ちゃんとしようということでここ2試合はいい戦いができていると思う」

―上村クン自身がリーダーシップを取ったと聞いているが
「日体大戦の後に、どう見ても自分たちの方がボールを持っているし、チャンスもつくれているはずなのに何故戦えないかというと、一人ひとりの向上心だったり、試合をするという時に闘うという気持ちがなさすぎた。それが自分は凄く嫌で、試合後コーチに食って掛かって、選手起用も『オレは納得行かねえ』と言って。それでみんなで少し話し合ってメンバーも少し変わったりした。今は、土台がまだ薄いけれど、できてきたかなという感じがしている。それがしっかりして、自分たちの技術だったり戦術を加えていけば、本当に負けないと思うんですけど、土台が自分たちは弱いので、メンタルの面だったり、そういう大事なことを時々見失う時がある。そこをしっかりすればどこにも負けないと思う。負けた試合で周りから言われるのは『見てて腹が立つ』だったり、『一人ひとりが勝つ気あるのか』という言葉が多い。周りから言われて自分たちも凄く悔しくて。ただ、言われて考えた時に自分たちは『本当に戦えているのかな』、というところがあった」

―全国へ行くためには今後も負けられない戦いが続く
「あとは全部上位との対決なので、もう全部勝っていくしかないんですけど、自分たちの真価が問われている。ここで上位のチームにも全部勝っていく力があれば、日本一になれるチームにもなっていくと思う」

―それへ向けて自分はどのように貢献を
「今までのチームと変わったなと思うのが、試合の中でしゃべる部分。みんながコミュニケーションを取って、練習とか、ロッカー内でも雰囲気が良くなって来ているので、自分が先導して動いて、しゃべって行く事でどんどんチームが良くなっていくと感じている。試合の中での技術とかプレーはもちろんなんですけど、そういう部分で自分が恥ずかしがらずに先へ、先へとみんなのために動いていけたらなと思っています」

(取材・文 吉田太郎)
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連載:「College star voice」

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