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[ユニバーシアード]“最強ホットライン”で同点弾も…日本は世界連覇ならず

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[7.14 ユニバーシアード準決勝 日本1-1(PK1-3)フランス ロシア]

 ユニバーシアード日本代表は14日、第27回ユニバーシアード競技大会(ロシア・カザン)準決勝でフランスと戦い、1-1で突入したPK戦の末、1-3で敗れた。

 内容は悪くはなかった。試合の立ち上がりこそフランスの厳しいプレスに高い位置でボールが奪えずに苦しんだが、前半の半ば過ぎには主導権を奪取。MF長澤和輝(専修大4年=八千代高)は相手の厳しいマークにあい、いつもどおりの展開とはいかなくとも、ボランチのMF下田北斗(専修大4年=大清水高)を中心に両SBの二見宏志(阪南大4年=奈良育英高)、北爪健吾(専修大3年=前橋育英高)からの展開にMF泉澤仁(阪南大4年=新潟ユース)、仲川輝人(専修大3年=川崎F U-18)が何度となくチャンスを作る。

 27分、29分には右サイドの北爪、仲川が崩し、33分には泉澤が左から中に仕掛けて長澤につなぎ、最後はFW赤崎秀平(筑波大4年=佐賀東高)がシュート。34分にも二見から赤崎、そして泉澤と日本の立て続けの攻撃が続く。対するフランスは、スピードのあるサイドの選手を使ってのカウンター仕掛けるのみ。流れは完全に日本に傾いたかのように思われた。

 しかし、前半アディショナルタイムに日本はCKからフランスに先制点を許してしまう。強化キャンプ中からずっと、課題とされていたセットプレーからの失点に、吉村雅文監督(順天堂大)は「絶対的にしてはいけない時間帯にファウルをし、セットプレーを与えてしまった」と嘆く。

 ビハインドを負った日本だったが、後半開始早々の2分には赤崎のパスに仲川がゴール前に完全に抜け出す決定的なチャンスを迎える。しかしこれは決まらず、続くCKからのMF谷口彰悟(筑波大4年=大津高)のヘディングシュートもGKにキャッチされていしまう。その後も下田や谷口のミドルシュート、泉澤の左サイドの突破と日本の攻撃は続くが、組織的で堅い守りを武器とするフランスのゴールをどうしても割ることができない。

 だが22分にようやく日本にもゴールが生まれる。中盤でボールをキープした長澤がDFふたりに囲まれながらも右に抜け出した赤崎にスルーパスを放つと、ボールを受けた赤崎は独走。DFを振り切り、GKとの1対1もかわしてシュートを放つ。長澤と赤崎という、これまでも何度も得点をあげてきた最強の“ホットライン”で、ついに日本が同点ゴールを奪取し、スコアを1-1とする。

 試合を振り出しに戻した日本は33分、仲川とCB菊地俊介(日本体育大4年=伊奈学園総合高)を下げ、中盤の茶島雄介(東京学芸大4年=広島ユース、サンフレッチェ広島内定)とFW松本大輝(法政大4年=大津高)を投入。ディフェンスラインを3バックとし、ふたりをそのまま前目のポジションに入れるなど、追加点を奪うための賭けに出る。「フランスは完全にベタ引きで守っていたので、前に人を増やしてPAの中でのプレーを多くしないと難しいと思った」(吉村監督)。しかし、松本が何度か右サイドのスペースに抜け出してPAに侵入しようとするものの、吉村監督が望んでいた“PAの中でのプレー”をなかなか増やすことができない。惜しいチャンスは作るものの、結局ゴールに結びつけることができないまま90分が終了。大会規定により決勝戦以外では延長戦は行われず、勝負はPK戦で決着することになった。

 PK戦で先行となった日本は、最初のキッカーである長澤のシュートがクロスバーを叩き、難しいスタートに。ふたり目の二見はきっちり決めたものの、3人目のキッカーの茶島のシュートはゴール上に大きく外れてしまう。対するフランスは3人目までが全員成功。「PK戦は何度も練習してきたし、蹴る順番も選手たちにまかせた」(吉村監督)という日本の4人目のキッカーは松本。しかし、松本のシュートはフランスのGKにストップされてしまい、この時点で日本のPK戦でのベスト4敗退が決定。連覇の夢を断たれた日本は銅メダルを賭け、開催国ロシアと最終戦を戦うことになった。

(取材・文 飯嶋玲子)

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