beacon

[練習試合]関西得点王・呉屋2発も、全日本大学選抜は関東大学選抜候補とドロー

このエントリーをはてなブックマークに追加

[12.7 練習試合 全日本大学選抜2-2関東大学選抜候補 味スタ西]

 15年ユニバーシアード金メダルを目指す全日本大学選抜が7日、関東大学選抜候補と練習試合(45分×2本)を行い、2-2で引き分けた。

「気持ちが伝わってこない」。全日本大学選抜の神川明彦監督(明治大)は試合後のミーティングで選手たちを厳しく叱咤した。「上手い奴がハードワークする。それが世界のサッカーシーン」と分析する指揮官は「球際、運動量、切り替え」の3原則を掲げてチームを指導している。1、2年生のみの全日本選抜はまだ始動3日目。だが、合宿初日から神川監督ははっきりとした姿勢で、より気迫を前面に出した戦いを求めていた。それだけにU-20日本代表でもあるCB山越康平(明治大2年)は「まだミスとか上手くいかないのはしょうがないと思うんですけど、球際の部分とかできることがある。あしたももう1試合あるので、この後選手同士でミーティングして変えていきたい」と誓っていた。

 全日本大学選抜は1本目5分にMF水谷侑暉(愛知学院大2年)が決定機を迎えるが、序盤はやや相手の勢いを受けてしまい、関東選抜候補に押し込まれてしまう。それでも12分、MF端山豪(慶應義塾大2年)のスルーパスから今年の関西リーグ1部得点王のFW呉屋大翔(関西学院大2年)が右足でゴールを破る。

 前線から激しくプレッシャーをかける全日本選抜は奪ってからMF奥山政幸(早稲田大2年)が素早く長いパスを入れるなど速い攻撃をチャンスにつなげると、23分にはこちらもU-20日本代表を兼ねるFW和泉竜司(明治大2年)のプレッシャーが敵陣で相手のミスを誘って呉屋が独走。ゴール前での切り返しでDFのマークを外した呉屋が再び右足でゴールを破って2-0とした。

 全日本選抜は端山やMF古橋匡梧(中央大1年)のテクニカルなドリブル、右SB室屋成(明治大1年)のスピード溢れるオーバーラップがDFに穴を開け、守備面では厳しいプレッシャーで相手に攻撃をつくらせず、またPA手前で強さを発揮する山越と木本恭生(福岡大2年)の両CBが安定。2-0で1本目を終えた。ただ、チームリーダーのひとりある和泉は「前からプレスを掛けて相手のミスを誘うという守備から攻撃の部分は良かったと思う。ただ、全体を通したらまだまだ行けていない部分や甘い部分がある」と満足はしていなかった。

 2本目は1本目のメンバーから全員が入れ替わった関東選抜候補に再び押し込まれてしまう。中盤で存在感を放つMF伊藤光輝(青山学院大1年)やMF山岸祐也(流通経済大2年)を起点にテンポよくボールを動かす関東選抜候補との間合いを全日本選抜は詰めることができず。2分に左サイドからMF差波優人(明治大2年)に直接FKを決められると、その後も多くの時間帯でボールを支配されてしまった。

 全日本選抜は20分にパス交換から古橋が強烈な左足シュート。さらに22分には交代出場のMF中原優生(鹿屋体育大2年)のスルーパスから端山が決定的なシュートを放つ。そして直後に5選手を入れ替えると、U-20日本代表でもあるMF長谷川竜也(順天堂大2年)中心に攻撃をテンポアップ。31分には右サイドを打開したSB湯澤聖人(流通経済大2年)が豪快な左足シュートを撃ち込み、さらに33分には足技とスピードのある動きで左サイドを攻略した長谷川がPAまで持ち込んでクロスバー直撃の右足シュートを放った。またFW澤上竜二(大阪体育大2年)のパワーショットがゴールを襲う。

 ただ追加点を奪うことができなかった全日本選抜に対し、関東選抜候補は36分、右サイドのゴールライン際でボールを拾ったFW田上大地(流通経済大2年)がDFをかわして中央へパス。ニアサイドの山岸がヒールで流すと、最後は再び差波が右足シュートを決めて引き分けに持ち込んだ。

 全日本選抜の神川監督は「(試合を通して)球際でいっていたと思う。ボクが監督をやる以上『ぬるい』のはやらない。どんな状態でもシビアな状態に持って行きたい。常に球際でガチガチいくサッカーをやりたい。相手と近い位置でやること。そういう意味で後半(2本目)は相手を離しちゃっていたし、前半(1本目)の最後の方もそういう場面が見られた。それは普段からシビアなサッカーをやっていないと体力つかないんですよ。行って帰って、行って帰ってということを普段ごまかしてたり、サボってOKだったらできない。そういうフィジカルはつけていかないといけないと思いました」。技術力の高い選手が並ぶが、今後はそういった体力面、メンタリティーの部分が全日本選抜のメンバー入りの条件のひとつになりそうだ。

 目標は15年金メダル獲得。そして全日本大学選抜を経験した選手たちがその先のステージで輝くことだ。銅メダルを獲得した今年のユニバーシアードでも最終候補に残っていた山越は「ユニバーシアードは大学のオリンピックという感じなので、今度こそという思いはありますね。この間のユニバは銅メダルだったので今度は金メダルとを取りたい」。そして和泉は「ユニバーシアードは大学で世界一決める大会だし、オリンピックとかA代表とか行く上で絶対にそこで活躍することが大事だと思う。出て何ができるか。自分はユニバだけを見ているのではなくて、その次のオリンピックへ行く過程という意識をしています」と2年後の金メダル獲得、そして「その先」を見据えていた。

[写真]1本目23分、全日本大学選抜は呉屋が右足シュートを決めて2-0

(取材・文 吉田太郎)

TOP