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[デンソーカップチャレンジ]「守備の部分には手応えを感じる」全日本大学選抜、最注目カード制して決勝へ!

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[3.1 デンソーカップチャレンジ準決勝 全日本大学選抜2-0関東選抜A]

 大学サッカーの地域選抜大会、第28回デンソーカップチャレンジサッカー西都市大会(宮崎)は1日、準決勝を行い、全日本大学選抜は関東選抜Aに2-0で勝利。決勝では準決勝で関東選抜Bを4-0で下した関西選抜と対戦する。

 現在の大学サッカーを代表するスター選手同士がぶつかり合う、今大会一番の注目カード。前半については、最上級生中心で構成された関東選抜Aがやや優勢に試合を進めるも、意地と実力がぶつかり合うがっぷり四つの展開に、どちらに点が入ってもおかしくない状況。関東Aは特に、仲川輝人(専修大3年=川崎F U-18)、砂川優太郎(中央大3年=広島ユース)、古橋匡吾(中央大1年=興國高)らが中心となってサイドから攻撃を仕掛け、全日本の前線にボールを集めさせない。27分には、右SB北爪健吾(専修大3年=前橋育英高)の速くて強いクロスを全日本のGK福島春樹(専修大2年=静岡学園高)が横っ飛びでセーブするなど、激しい攻防戦が続いた。

 試合の流れに変化が見えたのは30分過ぎ。全日本が志知孝明(東海学園大2年=岐阜U-18)に代えて端山豪(慶應義塾大2年=東京Vユース)を投入したことで、右サイドでもボールが落ち着くようになると左サイドも活性化。それまで、北爪の攻め上がりにやや慎重になっていた左SB高橋諒(明治大2年=国見高)が積極的にボールを持ち上がると、小林成豪(関西学院大2年=神戸U-18)も前線につけてシュートを放つなど、全日本が主導権を握る時間が増え始める。

 後半に入ると、関東Aは3選手を交代。主導権の奪取を図るが、逆に9分には全日本が端山のFKからチャンスを作り、こぼれ球をFW呉屋大翔(関西学院大2年=流通経済大柏高)が押し込んで先制点をあげる。「ウチが1点を取ったことで、関東Aが本気を出してくると思っていた」(全日本・神川明彦監督)との警戒もあったが、この1点で勢いにのったのはむしろ全日本。小林、端山の両サイドからの攻撃に加え、高橋、室屋成(明治大1年=青森山田高)の両SBも攻撃の起点となって関東Aに揺さぶりをかけると、18分、25分と小林の突破から連続でCKのチャンスをゲット。31分にも、澤上竜二(大阪体育大2年=飛龍高)が左サイドから強引にPAにカットイン。澤上からのボールを呉屋がヘディングで合わせるなど、追加点を得るチャンスも訪れるが、これは関東AのGK浅沼優瑠(東洋大3年=成立学園高)がブロック。こぼれを奥山政幸(早稲田大2年=名古屋U18)が詰めるも、ゴールを割ることはできない。

 全日本は連戦で疲れの見える小林、澤上、MF松下佳貴(阪南大2年=松山工高)らを下げ、奥山をアンカーに置くやや守備的な形にシフト。一方、同点に追い付きたい関東Aは、後半12分に入ったDF車屋紳太郎(筑波大3年=大津高)が前線に顔を出すなどしてチャンスを作ろうとするが、なかなか決定的な形を作れない。終了間際の45分には、その車屋がFKのチャンスを作るも、DF三丸拡(筑波大2年=真岡高)のキックはタイミングが合わず。逆にアディショナルタイムに突入した48分には、呉屋が中盤でボールをカットし、そのまま前線に持ち上がるチャンスが全日本に訪れる。最後には呉屋からのパスを受けた端山が冷静にシュートを放ち、全日本がダメ押しの2点目をマーク。実力的には互角ながらも、チームとして連動して崩す形に長けた全日本が、決定的なチャンスをきっちりモノにして勝利。決勝戦に駒を進め、関西選抜と戦うこととなった。

 大一番での対戦に勝利した全日本の神川監督は「ここまで無失点で来ているのが大きい」とコメント。特にこの試合では、ディフェンスライン4人のうち3人が明治大と、“神川サッカー”をよく知る選手たちに守備をリードさせ、「いい守備からいい攻撃」のチームコンセプトを体現させた。途中出場の端山も「ここ2試合、サイドの裏が使えずにちょっときゅうくつな展開になってしまった」との反省がありながらも「しっかりとした守備をしてサイドを使うというテーマの、守備の部分には手応えを感じる」と、今大会に入ってからの成長を実感している様子だ。決勝戦の相手、関西選抜は切り替えスピードの速い好チームなだけに、そのスピードにどう守備で対応できるか。勝利の鍵は、その1点にかかっている。

(取材・文 飯嶋玲子)

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