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[MOM343]流通経済大MF古波津辰希(4年)_脳震盪も跳ね除け…首位奪取したチームの心臓

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[5.3 関東大学1部リーグ・第6節 流通経済大2-1中央大 青木町]

 チームの心臓として動き続ける。今季無敗をキープする流通経済大は中央大に2-1で勝利すると、開幕から3勝3分でついに首位へ立った。試合後、中野雄二監督はこの日のMOMとして、得点を挙げた2選手ではなく、MF古波津辰希(4年=流通経済大柏高)を選んだ。

「脳震盪から復帰して、ドクターストップがあったので、1日しか練習をしていない。それでも、この暑さで90分間も厳しくプレーしていた。彼はうちの心臓部。影の立役者として、頑張ってくれている。彼のハートがチーム全体に乗り移って、それによって、みんなが激しく身体を張ってやっていますよね」

 炎天下で行われた一戦。フル出場した古波津だが、実は“ドクターストップ”明けだった。先月25日に行われた早稲田戦(1-0)、先発するも接触プレーで脳震盪を起こし、後半30分に途中交代した。その後は医師の診断もあり、練習を休むと、試合前日の2日にようやく練習復帰したばかりだった。

 “不慮の事故”ともいえる脳震盪。しかし古波津は「仕方ないのかもしれなが、フル出場をして、最後まで戦っている姿勢や声だったりで、他の10人を集中させるのが僕の仕事。他の人よりも2年生のときから試合へ出ているし、経験もあるので、ゲームの中心だと思っている。交代したことが申し訳なかった」と悔しさをにじませながら振り返る。

 早稲田大戦でフル出場を逃したMFは「だからこそ今日は声を出して、相手のボランチに負けずにやっていこうと思っていた」と明かすと、「今日は完璧ではなかったけれど、中盤は制覇できたかな」と表情を緩ませた。

 この日の古波津は負傷の影響を微塵も感じさせないプレー。浮き球をヘディングする際は、力強く叫び声も挙げ、周囲を圧倒。その激しさは周りの10人へ波及し、流通経済大は厳しいプレーで相手のボールを奪取。攻守の切り替えの早さで中央大を置き去りにした。また、古波津が相手ボールを豪快なオーバーヘッドでクリアしたシーンでは、スタンドから歓声も沸いた。

 流通経済大が創立50周年となる今季、メモリアルイヤーに目指すは3冠のみ。「3冠のなかでも、総理大臣杯やインカレよりもリーグ戦が一番難しいと思っているので、まずは負けないことが大事。最悪でも引き分けでも勝ち点を積み上げていきたい」。流通経済大のハートとして、奮闘をみせるボランチは力強く、そして冷静に先を見据えた。

(取材・文 片岡涼)

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