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[MOM344]慶應義塾大MF渡辺夏彦(2年)_決勝弾の活躍も「2点目を決めていないのがありえない」

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[5.3 関東大学1部リーグ・第6節 明治大1-2慶應義塾大 青木町]

 決勝弾を決めたヒーローは、まだまだ物足りない表情を浮かべていた。慶應義塾大明治大を2-1で撃破。逆転勝利の立役者となったのは、決勝弾を沈めたMF渡辺夏彦(2年=國學院久我山高)だ。しかし、本人は「まだ何もしていない状況。チームを勝たせるような決定的なことをしたわけじゃない。個人的には2点目を決めていないのがありえない」と貪欲に語った。

 慶應義塾大のゲームプランはラスト15分で勝負をかけるまでは、自陣内へ閉じこもり、カウンターを狙うというものだった。しかし前半28分にセットプレーから失点。当初の目論見は崩れ去った。渡辺は「前半はゼロでいきたかったので、正直ちょっと嫌だった」と振り返る。それでも前半終了間際の44分にCKからDF望月大知(3年=静岡学園高)がヘディングシュートを決めて、1-1に追いついた。荒鷹イレブンは「助かった」と胸をなでおろし、前半を終えた。

 そして迎えた後半18分、決勝点は生まれる。右サイドからドリブル突破を仕掛けたのはDF手塚朋克(2年=静岡学園高)。DFにカットされたボールはゴール前へこぼれたが、詰めていたのは渡辺だった。冷静に拾うと右足で流し込んだ。

 得点シーンを振り返った殊勲のMFは「手塚がいいドリブルで入ってきて、3人がマークしていた。大きくなった瞬間、ここにボールがこぼれそうだなという場所に、“どんぴしゃ”にこぼれてきた。何もすることなく決めただけ。これでいいのかなというゴール。おいしかったです」とハニかんだ。

 しかし、2-1に離してからのチャンスを決め切れなかったことに悔いが残る。後半27分にはカウンターから右サイドへ仕掛ける。ドリブル突破から右足を降り抜いて、ループシュートを放った。「決まったな」と感じたが、ボールはクロスバーを叩いた。だからこそ、「2-2にされていたら、相手が勢いづいて3点目を取っていたかもしれない。守備陣が身体を張って押さえてくれたけど、まだまだ」と険しい表情を浮かべた。

 慶應義塾大の須田芳正監督は渡辺について、「能力があるので、これくらいは当たり前」とコメント。「今季の1戦目よりも着実に上がっているし、まだまだゲームをコントロールするだけの力はあるから、これからじゃないか」とエールを送った。

 値千金の決勝弾にも満足はせず。渡辺は「まだまだ成長しないといけない」と言う。持ち前の勝負強さをいかんなく発揮したMFだが、チームにとって絶対的な存在となるために、現状にうぬぼれることなく前へと進み続ける。

(取材・文 片岡涼) 

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