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[ユニバ]相手エース封じるも痛恨のPK失敗、DF湯澤「仲間に申し訳ない」

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[7.11 ユニバ準決勝 日本0-0(PK1-3)イタリア]

「練習どおりに蹴ることだけを意識して入った」

 ユニバーシアード男子サッカー準決勝。0-0からのPK戦となったこの試合、一番手のキッカーに指名されたDF湯澤聖人(流通経済大4年=流通経済大柏高)は、そんな気持ちで助走に入った。大会前、大会中のPK練習では高精度のキックを連発しており、それゆえに指名された一番手。だが、「蹴る瞬間、相手のGKが(自分の蹴ろうとしている方向に)動くのが見えた」という湯澤はよりギリギリを狙わねばという意識の入ったシュートは、無情にもバーを叩いた。

「信頼して一番を任せてくれた神川さんや仲間に申し訳ない」

 肩を落とした湯澤に続いたキッカーは、魅入られたようにミスを頻発。これまで得意としていたPK戦で4人中3人が決め切れず、全回大会と同じ準決勝敗退となってしまった。

 とはいえ、PK失敗のみを取り上げて湯澤を責めるのは穏当ではないだろう。この試合、湯澤は「『11番を潰せ』と言われていた」と、対面するU-21イタリア代表歴を持つMFヤコポ・デッーツィ(クロトーネ=セリエB)のマーク役を託された。「間合いが取りにくかった」とは言うものの、ほぼ完封に近い形でこのミッションをコンプリート。決定的なクロスを上げられたのは一度だけ。新シーズンからナポリへと籍を移す実力者は、湯澤の対応を嫌って後半途中から右MFへ移ったほどだった。

 ただ、湯澤本人の口から出るのは悔恨の弁だ。「警戒しすぎていた部分がある」と言うように、相手のカウンター対応も考えてオーバーラップは控え目。いつもより守備に比重を置いてプレーしており、「自分としてはゼロに抑えてさえいれば、PKでも勝てるという自信があった。最後までアンパイ(安全第一)なプレーばかりを選択してしまっていた」と、リスクを冒す決断ができなかったことを悔やんだ。

 相手のキーマンを封じつつ、攻撃でも存在感を出していく。なかなかできる流れでもなかったとは思うが、加入の決まっている柏レイソルでのレギュラー奪取を意識するなら当然目指すべきプレーではある。

「試合には練習がそのまま出るもの。今日こういう結果になったということは、自分の練習での意識に欠けたものがあったということ」

 能力の高さを示した一方で、「宿題」も得た準決勝。この大きな悔恨が、若きサイドバックの未来に向かう糧となっていくことを期待したい。

(取材・文 川端暁彦)

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