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[MOM347]慶應義塾大FW山本哲平(3年)_後悔から生まれた開始6分の先制弾

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.31 関東大学リーグ第20節 国士舘大0-3慶應義塾大 西が丘]

 背番号11の2得点1アシストで逆転優勝へ望みをつないだ。慶應義塾大のFW山本哲平(3年=國學院久我山高)は国士舘大戦の前半6分、同37分と2点を記録。さらに後半2分には3点目をアシストし、チームを勝利に導いた。

 前節の早稲田大戦。先発した山本は、0-0で迎えた前半11分のチャンスを決められなかった。MF手塚朋克(2年=静岡学園高)の右クロスを受けてシュートを放つがポストを叩いたのだ。この決定機を逃したチームは前半36分に先制を許すと、最後は1-2の敗戦。山本自身は不発に終わった。

「早稲田大戦の前半、手塚からのボールをポストに当てて外してしまっていて、それを外していなかったら、結果も分からなかった。あれを外してしまったというのが自分の中に残っていた」

 前節の悔しさを胸に迎えたこの日の一戦。早稲田大戦同様の早い時間帯、開始直後の6分に決定機がやってきた。MF山田融(4年=横浜FMユース)のFKからFW松木駿之介(1年=青森山田高)がドリブル突破。

 この瞬間、山本は「松木が仕掛けてクロスを上げてくれるだろう」と考え、「上げそうな場所に走りました」。PA左へ走り込むと、低い弾道のボールを受けて左足シュートを流し込んだ。ゴールシーンを振り返ったFWは「今日は決められて良かった」と微笑んだ。早い時間の先制点で国士舘大の出鼻をくじいた。

 そして1-0で迎えた前半37分には早くも2点目。GK宮原隆志(4年=私立武蔵高)からのボール。本来は「GKから直接受けたかった」というが、ボールは逆サイドへ。これを見た山本は前線へ必死に走り込む。右サイドをドリブルで駆け上がったDF溝渕雄志(3年=流通経済大柏高)のスルーパスを受けると右足でシュートを流し込んだ。

 さらに後半2分にはダメ押しの3点目をアシスト。DF井上大(3年=國學院久我山高)の左クロスからゴール前で粘るとラストパス。受けたFW渡辺夏彦(3年=國學院久我山高)がシュートを決めた。勝てば優勝争いから“脱落”の可能性があった一戦。山本の2得点1アシストの活躍で勝ち点3を手に入れた。

 殊勲の山本について須田芳正監督は「決めるところをしっかり決めてくれた。集中して仕事をしていた」と高く評価。山本はこの日の2点で今季通算10得点と二桁に乗せた。

 今季も残るは2試合となり、慶應義塾大は勝ち点1差で首位・早稲田大を追う。「負けたら優勝争いからほぼ脱落というプレッシャーがかかる試合で勝てて良かった」と安堵の表情を浮かべたFW。1952年大会以来となる関東大学リーグの頂点へ。献身的なプレーでゴールを重ね、チームへ勝利をもたらしていく。

(取材・文 片岡涼)

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