[MOM349]順天堂大MF長谷川竜也(4年)_ボランチ起用のMFが左足で鮮やかループ
[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.23 全日本大学選手権プレーオフ 順天堂大1-0金沢星稜大 NACK]
冷静に左足で浮かせたボールはGKの頭上を越えると、ゴールネットへ吸い込まれた。順天堂大は前半34分にMF長谷川竜也(4年=静岡学園高)が決めたゴールが決勝点となり、金沢星稜大に1-0で勝利。全国行きを勝ち取った。
0-0で迎えた前半34分に決勝点は生まれる。正面からドリブルで持ち込んだ長谷川は、MF佐野翼(3年=清水商高)とのワンツーで抜け出すと、冷静にボールを浮かせた。利き足とは逆の左足だったが「左右でやりにくさはない」という言葉通り、ボールは正確に相手GKの頭上を越えてネットを揺らした。
「ポッポ(佐野)はいつもあそこにいるので、あのスペースに入ろうと思ったら、いいところにボールが来た。すくうしかないと思ったら、たまたまいいところにいってくれた」と振り返る一撃。殊勲のMFは「先制点が大事と思っていたのですごく嬉しかった。いい時間に取れたのは大きかったかな」と笑顔をみせた。
順天堂大の監督を務める元日本代表・堀池巧氏は、得点シーンについて「前へ走っていったら、たまたま偶然ボールが来たように見えたんだけどなぁ」と横で取材を受ける長谷川を“いじり”ながらも、「彼はああいう緩急の変化をつけられるから」とそのプレーを称えた。
“トリックスター”として静岡学園高時代から注目されてきた長谷川だが、現在は2列目ではなく、おもにボランチでプレー。「後ろでつないで、スピードアップしたら前へ行こう」という心がけで、中盤からゲームを組み立て、機を見ては前線へ飛び込んでいる。まさに決勝点のシーンもFW名古新太郎(1年=静岡学園高)が引いて出来たスペースに走り込んで生まれたもの。チームの要求に応じ、ボランチでプレーしながらも得点という結果を残した。
しかし、長谷川自身は「前をやりたい気持ちはある」とも明かす。これには堀池監督も「本人は前のゴールに使い場所でプレーしたいだろうし、相手にとってもゴールに近い方でプレーした方が怖いと思う」と理解を示す。負傷離脱中のMF室伏航(2年=市立船橋高)が万全であったならば、この日の試合で「(長谷川を)もう少し前で使ったかも」と明かすとおりだ。
室伏不在の状況で、長谷川を前線で使った場合に、MF新里涼(2年=横浜FMユース)と佐野、あるいはMF野田聖矢(3年=広島工業高)の組み合わせを取ることも指揮官は考えた。しかし「それだとボールがあまり動かない」と判断。「チームとして、よりボールを動かすためには。後ろに誰を使うか、何がチームにとってプラスか」と悩み抜いた末に、長谷川をボランチで起用した。12月に控える全日本大学選手権本大会に室伏が戻ってきた場合には、長谷川が一列上がる可能性もあるという。指揮官は「インカレではどこで使うかは悩みますね」とにやりと笑った。
また堀池監督は得点だけでなく、長谷川のサッカー理解度の高さを称える。自チームのCKで相手2選手が後方で攻撃に備える中、長谷川はショートコーナーで受ける素振りをみせて、相手1枚をおびき出すなど、何気ないシーンでもチームへ貢献。堀池監督はCKのシーンを振り返り、「ああいう駆け引きをしてくれて。本当に賢く、サッカー理解の高い選手だと思う」と賞賛した。
来季の川崎フロンターレ入団が内定している長谷川は、インカレ本大会を見据えて「最後の集大成として順天堂大に恩返しできるように」とコメント。「どのポジションにいても、得点を取ることが一番面白いし、チームに貢献できる。得点は常に狙っていきたい」と貪欲に語った。静岡育ちの“トリックスター”が大学最後の舞台で一層の輝きを放つ。
(取材・文 片岡涼)
[11.23 全日本大学選手権プレーオフ 順天堂大1-0金沢星稜大 NACK]
冷静に左足で浮かせたボールはGKの頭上を越えると、ゴールネットへ吸い込まれた。順天堂大は前半34分にMF長谷川竜也(4年=静岡学園高)が決めたゴールが決勝点となり、金沢星稜大に1-0で勝利。全国行きを勝ち取った。
0-0で迎えた前半34分に決勝点は生まれる。正面からドリブルで持ち込んだ長谷川は、MF佐野翼(3年=清水商高)とのワンツーで抜け出すと、冷静にボールを浮かせた。利き足とは逆の左足だったが「左右でやりにくさはない」という言葉通り、ボールは正確に相手GKの頭上を越えてネットを揺らした。
「ポッポ(佐野)はいつもあそこにいるので、あのスペースに入ろうと思ったら、いいところにボールが来た。すくうしかないと思ったら、たまたまいいところにいってくれた」と振り返る一撃。殊勲のMFは「先制点が大事と思っていたのですごく嬉しかった。いい時間に取れたのは大きかったかな」と笑顔をみせた。
順天堂大の監督を務める元日本代表・堀池巧氏は、得点シーンについて「前へ走っていったら、たまたま偶然ボールが来たように見えたんだけどなぁ」と横で取材を受ける長谷川を“いじり”ながらも、「彼はああいう緩急の変化をつけられるから」とそのプレーを称えた。
“トリックスター”として静岡学園高時代から注目されてきた長谷川だが、現在は2列目ではなく、おもにボランチでプレー。「後ろでつないで、スピードアップしたら前へ行こう」という心がけで、中盤からゲームを組み立て、機を見ては前線へ飛び込んでいる。まさに決勝点のシーンもFW名古新太郎(1年=静岡学園高)が引いて出来たスペースに走り込んで生まれたもの。チームの要求に応じ、ボランチでプレーしながらも得点という結果を残した。
しかし、長谷川自身は「前をやりたい気持ちはある」とも明かす。これには堀池監督も「本人は前のゴールに使い場所でプレーしたいだろうし、相手にとってもゴールに近い方でプレーした方が怖いと思う」と理解を示す。負傷離脱中のMF室伏航(2年=市立船橋高)が万全であったならば、この日の試合で「(長谷川を)もう少し前で使ったかも」と明かすとおりだ。
室伏不在の状況で、長谷川を前線で使った場合に、MF新里涼(2年=横浜FMユース)と佐野、あるいはMF野田聖矢(3年=広島工業高)の組み合わせを取ることも指揮官は考えた。しかし「それだとボールがあまり動かない」と判断。「チームとして、よりボールを動かすためには。後ろに誰を使うか、何がチームにとってプラスか」と悩み抜いた末に、長谷川をボランチで起用した。12月に控える全日本大学選手権本大会に室伏が戻ってきた場合には、長谷川が一列上がる可能性もあるという。指揮官は「インカレではどこで使うかは悩みますね」とにやりと笑った。
また堀池監督は得点だけでなく、長谷川のサッカー理解度の高さを称える。自チームのCKで相手2選手が後方で攻撃に備える中、長谷川はショートコーナーで受ける素振りをみせて、相手1枚をおびき出すなど、何気ないシーンでもチームへ貢献。堀池監督はCKのシーンを振り返り、「ああいう駆け引きをしてくれて。本当に賢く、サッカー理解の高い選手だと思う」と賞賛した。
来季の川崎フロンターレ入団が内定している長谷川は、インカレ本大会を見据えて「最後の集大成として順天堂大に恩返しできるように」とコメント。「どのポジションにいても、得点を取ることが一番面白いし、チームに貢献できる。得点は常に狙っていきたい」と貪欲に語った。静岡育ちの“トリックスター”が大学最後の舞台で一層の輝きを放つ。
(取材・文 片岡涼)