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[大学選手権]悲願の決勝で日本一も、関学大MF小林「嬉しさ半分、悔しさ半分」

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[12.19 大学選手権決勝 阪南大0-4関西学院大 駒場]

 嬉しさと悔しさの入り混じった複雑な心境だった。関西学院大は阪南大を4-0で下すと、全日本大学選手権(インカレ)初優勝を果たした。フル出場した関西学院大MF小林成豪(4年=神戸U-18)だったが、自身のプレーに満足いかなかったようで「今年の試合で3本の指に入るくらい悪かったので。嬉しさ半分、悔しさ半分」と振り返った。

 昨年のインカレ決勝、そして夏の総理大臣杯決勝は累積警告による出場停止。決勝の大舞台に縁がなかった。だからこそ、今大会は「とにかくイエローはもらわないでおこう」と慎重に入った。その結果、準決勝まで1枚も警告を受けず。チームも勝ち進み、悲願の決勝戦を迎えた。

 待ちに待った決勝・阪南大戦。小林は4-2-3-1の2列目左サイドへ入った。前半14分にはMF福冨孝也(4年=宝塚北高)からのパスをはたき、FW出岡大輝(3年=G大阪ユース)の先制点をアシスト。しかし、その後は思うように前線でのチャンスに顔を出すことはできず。サイドで受けても仕掛けることができない局面が続いた。連戦の疲労だけでなく、準決勝の明治大戦で股関節を痛め、故障を抱えながらのプレー。コンディションは万全ではないなか、必死に走った。

 チームはその後に3点を追加。3-0で迎えた後半30分過ぎには負傷を心配した成山一郎監督が小林を代えようともしたが、「大丈夫、大丈夫」と意地をみせたMFは90分間フル出場。大量リードを守った関西学院大は4-0の完封勝利を果たした。

 年間4冠を達成したが、小林は「全然だめでした。迷惑をかけっぱなしできたので、感謝の気持ちを体現できればと思っていましたけど、チームは勝ったけれど個人的には不甲斐なかった。悔しい」と唇を噛む。待ち望んでいた全国の決勝という大舞台だったが、個人としては不本意な出来。「個人として決勝にいい思い出はないですね」と苦笑した。

 とはいえ、大学4年間を最高の形で締めくくった小林は「大学4年間はしんどいことだらけでしたけど、最後にこうやって笑顔で終われたのは良かった。辛いこともありましたけど、それを乗り越えたからこそ、こういった最高の瞬間を味わえたので、悔いはないです」と清々しい表情で話した。

 年明けからはヴィッセル神戸でJリーガーとして新たな一歩を踏み出す。関西学院大の左サイドを担ったMFは「早く試合に出て、チームの勝利に貢献できるように頑張りたい」とプロとしての未来を見据えた。

(取材・文 片岡涼)
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