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[デンチャレ]“仲良しこよし”ではなく…目を覚ました全日本選抜、プライド示す4発勝利

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[3.5 第30回デンソーカップチャレンジ宮崎大会 全日本4-0東海・北信越選抜]

 第30回デンソーカップチャレンジ宮崎大会の準決勝および順位決定戦が5日に宮崎県宮崎市で行われた。前日の1回戦でまさかの敗戦を喫した全日本大学選抜だったが、東海・北信越選抜に4-0で勝利すると、今大会初白星を手に入れた。

 1回戦では3点リードを追いつかれ、PK戦の末に北海道・東北選抜に敗戦。決勝行きが消滅という失意の中、前夜にはミーティングを行った。挙手制のなか、ほぼ全員が熱く思いを語り、改めて全日本大学選抜チームとしてのあり方を見直したという。ゲームキャプテンを務めるMF重廣卓也(阪南大2年=広島皆実高)は「自分たちは仲が良い分、互いに甘さがあった。そういうところを無くしていこうと話しました」と明かす。

 ミーテイングのなかでは、DF今津佑太(流通経済大2年=流通経済大柏高)が「全日本のスタイルは選手に任せるというスタイルだけど、だからといって甘えがあってはいけない。自分たちで厳しいことをやらないといけないし、そういう部分がないと、試合には勝てないんじゃないの。仲良しこよしではなく、厳しいところは厳しくいこう」と訴えたという。

 また、FW山口一真(阪南大2年=山梨学院高)は「俺たちの目標はユニバーシアードで金メダルを取ること。この一戦に負けたことによって、俺らの人生は終わるわけじゃない。この負けも無駄にしないで積み重ねて、ユニバの金メダルにつなげよう」とチームを鼓舞した。

 選手たちは「全日本が1回戦で負けるのはあってはならないこと」と口を揃える。その“あってはならないこと”が起きてしまったが、このミーティングで全日本大学選抜という名を背負う責任に気がついた選手たちは、共通意識を胸に、一つの方向を向き始めた。

 そんなプライドを胸に、改めて臨んだ一戦。前半18分に全日本が先制に成功。山口の蹴り込んだ右CKは「キックミスでした」というが、DF菊池流帆(大阪体育大1年=青森山田高)が頭で落とし、最後はゴール前にいたFW中野誠也(筑波大2年=磐田U-18)が蹴り込んだ。「もしも菊池流帆が外したら、自分が押し込もうと思っていて、押し込むだけでした」という一撃はネットを揺らした。

 さらに前半28分には追加点。山口のシュートは相手DFに弾かれるも、こぼれを拾った中野が自身2点目となるゴールを決める。得点を“演出した”山口は「一人外してシュートを打とうと思ったら、相手に当たっていいところにこぼれて。誠也がそこに詰めていたので、あのゴールは僕のおかげじゃないですか」と笑い、それを聞いた中野は「間違いないと思います」とハニかんだ。

 2-0で折り返した後半にも、集中力を切らさない全日本は2点を追加。前日には0-3から追いつかれたが、それを払拭する戦いぶり。2点リードにも前日の“悪夢”がよぎることはなかったと選手たちは口を揃え、重廣も「今日は2点を取った後も怖さは無く、まだいけるという感じでした」と言う。

 実際に守備陣も身体を張ると、相手を一切寄せ付けず。後半35分には獲得したPKをFWジャーメイン良(流通経済大2年=流通経済大柏高)が冷静に決めて、0-3に突き放した。約3日前まで、約38度の高熱が出ていたため、前日に実戦復帰したばかりのFWだったが、「PKは結構得意なので。PK職人なので」という強い意気で決めた。

 さらに後半終了間際の45分には、ジャーメインのドリブル突破からMF渡邉新太(流通経済大2年=新潟ユース)がシュートを決め、4-0で試合は終了。全日本が今大会初の白星を手に入れた。

 試合後、重廣は「今日はすごく気持ちの入った、大学の代表らしい戦いが出来たかな」と安堵の表情。2017年のユニバーシアード競技大会を見据えた1、2年生の中心のチーム。順調な船出とはいかなかったが、ここからの巻き返しを図る。

 あすの5・6位決定戦で全日本は関東選抜Bと対戦。敗れた東海・北信越選抜は7・8位決定戦で中国・四国選抜と戦う。

(取材・文 片岡涼)
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