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[デンチャレ]屈辱的な船出から、息を吹き返した全日本大学選抜…0-2からの3発逆転

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[3.6 デンソーカップチャレンジ宮崎大会5・6位決定戦 全日本3-2関東B]

 第30回デンソーカップチャレンジ宮崎大会・順位決定戦が6日に行われた。5・6位決定戦を戦った全日本大学選抜は0-2から追い上げると、関東選抜Bに3-2の逆転勝利を収めた。大会初日に痛恨の黒星発進を喫したチームだが、意地をみせての5位入賞で締めくくった。

 屈辱的な経験を無駄にはしない。2017年のユニバーシアード競技大会へ向けて、1、2年生中心の編成となっている全日本大学選抜。初の公式戦となった今大会で優勝を目指したが、初戦で北海道・東北選抜に0-3から追いつかれ、PK戦の末に敗れた。

 失意のなかでミーティングを行った選手たちは、5日の試合で東海・北信越選抜に4-0の快勝。“大学代表”というプライドを呼び覚まし、チーム一丸となって戦うことで苦境を跳ね除ける力を身につけた。

 この日の一戦。前半2分に先制点を奪われた全日本は、その後も押し込まれる時間が続くと耐え切れず。前半16分には、早くも2失点目を喫した。痛すぎる立ち上がりになったが、「そこで崩れてしまうかと思ったけれど、今日は上手くみんなで声を掛け合って集中できた」とMF重廣卓也(阪南大2年=広島皆実高)が言うように、浮き足立つことなくゴールを目指した。

 FWジャーメイン良(流通経済大2年=流通経済大柏高)も「最初に点を取られた時はやばいと思いましたけど、自分たちは初戦で3点を取って、3点を取り返されているので。まだ大丈夫だと言い聞かせていました」と振り返る。

 そして今試合のターニングポイントとなったのが、前半終了間際のアディショナルタイム3分だった。「相手がPA内で食いついてこなかったので、わざと相手の前にトラップをして、シュートコースを空けました。あとは感覚で打ちました」というFW山口一真(阪南大2年=山梨学院付高)の一撃がゴールネットへ突き刺さった。

 山口のゴールにより、“きっと追いつける”という全日本の選手たちの思いは、確信に変わった。重廣が「一真が前半のうちに1点を取ってくれた。あれがチームを救ってくれた」と言えば、ジャーメインも「前半の一真の点で大丈夫かなと思いました」と味方FWに感謝する。

 追い風に乗る中で前半を終えて、迎えたハーフタイム。DF菊池流帆(大阪体育大1年=青森山田高)とMF渡邉新太(流通経済大2年=新潟ユース)に代えて、DF高尾瑠(関西学院大1年=名古屋U18)とMF手塚朋克(慶應義塾大2年=静岡学園高)を送る。

 後半開始直後から果敢に攻め続けると、後半19分にこの攻撃は実った。右サイドで重廣がボールを持つと、高尾がDFを引き寄せ、スペースを作る。前進した重廣がクロスを上げ、FW中野誠也(筑波大2年=磐田U-18)がニアサイドでつぶれる。最後はゴール前のジャーメインが頭で決めた。同点弾のFWは「シゲがいいボールをくれて、誠也がニアでつぶれてくれた。自分は合わせるだけでした」と味方に感謝した。

 2-2に追いついた後半35分には、途中出場の手塚がPKを獲得。自らキッカーに志願すると「甘いコースだったけど、運が良かった」という右足シュートが決まり、3-2の逆転に成功。そのまま逃げ切った全日本大学が3発逆転での勝利を収めた。

 初戦で味わった悔しさは、選手たちの血となり、肉となっている。デンソーカップチャレンジに全日本大学選抜チームが出場するという現行のレギュレーションになってから、初めて4強入りを逃すという屈辱は、チーム全員の教訓となった。まだまだチームは立ち上がったばかり、ここから様々な経験を重ね、世界大会へ備えていく。

 2017年のユニバーシアードへ向けて、最初の大会が終わった。5位とはいえ内訳を見れば、3戦10得点で2勝1敗という、まずまずの結果ともいえる。今月20日にはデンソーカップ・日韓定期戦で全韓国大学選抜と戦う。「日韓戦では絶対に勝たないといけない」と選手たちは口々に誓った。

(取材・文 片岡涼)
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