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[関東]慶大が順大に3発逆転! 総力戦での白星奪取、浮上のきっかけに

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[5.15 関東大学リーグ1部第7節 慶應義塾大3-2順天堂大 味スタ西]

 第90回関東大学1部リーグ第7節が15日に各地で行われた。慶應義塾大順天堂大に3-2で勝利し、今季3勝目を手にすると10位から、首位と勝ち点4差の8位へ順位を上げた。敗れた順天堂大は2連勝はならなかったものの、6位と順位は変わっていない。

 試合後、慶應義塾大の須田芳正監督は「選手が思い切って自分たちの力を出し切った、すごくいいゲームでした」と微笑んだ。関東リーグ優勝を目指してスタートを切った今季だったが、開幕から6試合を終えて、2勝4敗の10位に低迷。連勝ならずに浮上のきっかけをつかめないまま、前期リーグ前半を折り返していたが、この日は攻守噛み合うプレーで今後へつながる大きな収穫ある勝ち点3を手にした。

 先発ではMF増田皓夫(2年=桐蔭学園高)の疲労を考慮し、ルーキーMF落合祥也(1年=横浜FCユース)が初先発で大学リーグデビュー。前々節・専修大戦で負傷したDF溝渕雄志(4年=流通経済大柏高)は欠場した。

 加えて前節から中盤で起用されている主将のMF宮地元貴(4年=東京Vユース)はこの日もボランチを務めたが、その腕にキャプテンマークはなく。代わりにDF井上大(4年=國學院久我山高)がキャプテンマークを巻いていた。

 この理由について、須田監督は「(宮地は)主将ということで肩に力が入りすぎ、それが周りにも伝染してしまっていた。なのでちょっと休みなさいと。自分のプレーに集中しなさいということで、井上にキャプテンを任せました」と説明する。

 このまま下位グループに留まるわけにはいかないと、後が無い覚悟で望んだ慶應義塾大だったが流れをつかんだのは順天堂大。2列目からの飛び出しで果敢に仕掛けてはゴールを脅かす。すると前半23分に勢いそのまま先制に成功。PA左から仕掛けたMF米田隼也(3年=静岡学園高)の横パスに反応したルーキーFW浮田健誠(1年=柏U-18)がDFに挟まれながらも、左足シュートを決めた。

「ターンとかが決まって、いい位置にボールを置けて。自分の中では今までで一番キレイなゴール。泥臭く、相手より先に触ろうと思ってプレーしていました」と振り返るルーキーの2戦連発となる今季3点目で順天堂大が1-0と先制した。

 その後も順大が押し込み続け、前半25分にはボランチのMF名古新太郎(2年=静岡学園高)が右サイドから仕掛けての折り返し。ゴール正面の米田がシュートを狙うもDFに阻まれた。同29分にはMF旗手怜央(1年=静岡学園高)のパスからPA右に出た名古がシュートを放つも、GK上田朝都(1年=横浜FMユース)にセーブされた。なかなか追加点が奪えない。

 すると慶應義塾大がワンチャンスをものにし、息を吹き返した。前半37分、相手FKから上田がキャッチしてのカウンター。MF手塚朋克(3年=静岡学園高)からFW山本哲平(4年=國學院久我山高)へつなぎ、最後はFW田中健太(3年=横浜FMユース)がPA手前から豪快なミドルシュートを突き刺した。まさにスーパーな一撃で試合を振り出しに戻す。1-1で前半を折り返した。

 迎えた後半、立ち上がりでチャンスを迎えたのは順天堂大。後半2分にはPA左から持ち込んだ旗手がシュートを打つもポストを叩く。その後も立て続けにチャンスを得るもゴールネットは揺らせず。最後の場面で精度を欠き、追加点は奪えない。

 順天堂大が攻め込む時間が続いていたが、後半9分に2点目を奪ったのは慶應義塾大だった。右CKからこぼれを拾った宮地が中へ入れると、最後はFW山本哲平(4年=國學院久我山高)が右足シュートを叩き込んだ。2-1と逆転に成功する。

 さらに慶應義塾大は後半21分にダメ押しの3点目。左サイドで井上のスローインからPA左へ抜け出したのはFW松木駿之介(2年=青森山田高)。DF2枚とGKの間に入ると、相手より先に左足でボールを押し込んだ。3-1と差を広げる。

 その後は追いつきたい順大が攻勢を強めたが、慶大は全員で死守。後半26分、30分には枠を捉えたシュートを放たれたが守護神・上田がしっかりセーブ。また先発起用に応えるべく、ルーキー落合がセカンドボールを拾う。ぎりぎりの場面でも果敢に身体を入れては、絶妙なポジショニングでボールをものにした。相手のロングボールに対しては宮地が空中戦で強さをみせ、しっかり跳ね返した。

 全員で弾き返すなか、後半34分には3-2に詰め寄られる。PA左から浮田がシュート。GK上田が弾くも、旗手に詰められ右足で決められた。1点差に縮められたものの、そのまま逃げ切り、3-2の勝利。慶應義塾大が勝ち点3を手に入れた。

 空転している印象が強かった今季の慶應義塾大だったが、この日は全員で攻守に奮闘すると、組織として戦っての勝ち点3獲得となった。3得点いずれも違う選手が挙げており、攻撃のバリエーションあることも示した。GK上田やMF落合ら1年生が果敢にチャレンジする姿勢をみせ、4年生は責任あるプレーで最上級生としての覚悟をのぞかせた。この白星を浮上のきっかけにしたいところだ。

 一方、敗れた順天堂大の名古は「先制した後に決められるのが続いていて、それを課題としていたのに、今日も与えてしまったというのは、もっと意識していかないといけない」と悔やみ、先制点のルーキー浮田も「先制点が決まって、その後も自分を含めてチームとして、チャンスがあったので……。そこで決めていたら楽な試合になっていたはず」と反省を口にしていた。

(取材・文 片岡涼)
●第90回関東大学1部L特集

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