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[MOM382]慶應義塾大FW田中健太(3年)_逆転劇の狼煙、流れ手繰り寄せたスーパーミドル

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[5.15 関東大学リーグ1部第7節 慶應義塾大3-2順天堂大 味スタ西]

 流れを手繰り寄せる強烈な一撃を見舞った。慶應義塾大順天堂大に押し込まれると、前半23分には先制点を献上。そんななか、FW田中健太(3年=横浜FMユース)が強烈な左足ミドルを突き刺し、嫌な雰囲気を一変させた。

 10位に沈む慶應義塾大にとって、下位グループから抜け出すためにも、勝利が必須だった一戦。先手を取られ、あわや流れを完全に持っていかれそうになったが、0-1の前半37分に田中が仕事を果たした。

 相手FKをGK上田朝都(1年=横浜FMユース)がキャッチしてのカウンター。MF手塚朋克(3年=静岡学園高)からFW山本哲平(4年=國學院久我山高)へつなぎ、最後は受けた田中が前進してPA手前の距離がある位置から左足を振り抜いた。

「哲平くんが相手を背負った状況で自分が前にサポートしたときがチャンスになる。そこの関係性は築けていると思う。あの場面も信じて走りこんだら、いい落としが出来た。ファーストタッチでいいところにおけて、シュートコースが見えたので迷いはなかったです」

 強烈な一撃はゴールネットへ吸い込まれた。相手FW浮田健誠(1年=柏U-18)も「自分たちに勢いがあったなかで、流れを持っていくようなスーパーゴールが決まってしまった」と脱帽するようなシュートだった。

 試合後、「結構スーパーだったと思います……っていうのは冗談ですけど」と茶目っ気たっぷりに話した田中。「絶対に勝たないといけない試合で前半のうちに1-1に戻せたのは良かった。あれでムード的にいけるぞってなったと思うし、そのなかで後半に1点を返せたので価値ある1点だったと思う」と胸を張った。チームは後半に2点を追加。終盤に1点を返されたものの、3-2で勝利した。

 慶應義塾大の須田芳正監督は「ハマれば、あれくらいのシュートは打てるし、スピードもあるので突破だったりはトップクラス。これから今日の得点をきっかけに自信を持ってプレーしてほしい」と田中へエールを送る。

 田中にとっては今季初ゴール。加えて昨年9月19日に行われた第14節・駒澤大戦(3-0)以来、実に239日ぶりのリーグ戦での得点となった。殊勲のFWは「去年は相方の哲平くん(山本)がバンバン点を取っていて、悔しい部分もあった。でも点を取るだけが仕事じゃないと意識もして、気持ちを切らさず、アグレッシブに狙えるときはゴールを狙っていこうとぶれずにやり続けてきました」と振り返る。約8か月ぶりリーグ戦弾の味は格別だったようで「めちゃくちゃ嬉しかった」と破顔した。

 慶應義塾大の前線には全日本大学選抜にも選出されているFW松木駿之介(2年=青森山田高)や手塚、エースの山本らそうそうたるメンバーが控えている。そんななか、地道に努力を重ねてきたFWは「選抜に入っている選手が多い中、そいつらよりいいプレーをしてやろう。絶対に負けないという気持ちは常にありました」と胸中を明かした。

 まずは2016シーズン1点目を決めた。3年生FWは上級生としての覚悟ものぞかせ、「この1勝から次に連勝しないと意味がないのと同じで、自分もこの1点で終わったらダメ。次もゴールして、勝利も継続していかないと。連勝で連続ゴールできたら最高ですね。狙っていきます」と笑顔で誓った。

(取材・文 片岡涼)
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