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東京五輪世代のGKたちへ、流経大守護神オビ・パウエル・オビンナの挑戦状

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 激しい競争ある環境へ覚悟を持って飛び込んだ。名門・流通経済大で1年生ながら開幕戦からゴールを守り続けているのがGKオビ・パウエル・オビンナ(1年=JFAアカデミー)だ。235名もの部員を抱える流通経済大には、GKだけで21名もの選手たちがいる。オビはその先頭に立ち、トップチームの正守護神に君臨している。

 高校時代は同学年にGKがいない状況だったことで3年生になってから正GKに定着。そこから結果を出し始めたが、大学進学にあたっては「GKが多い厳しい環境に身を置くのがいい」と同級生だけで8人ものGKがいるなど、熾烈なポジション争いがある流通経済大へ腹を括って乗り込んできた。1年生ゆえに脆さをみせることもあるが、193cmの長身を生かしたハイボールへの対応や、幾度もみせるファインセーブで大器の予感を伺わせる。

 高校と大学での違いは「シュートスピード」にあると分析するGK。そんなシュートを止めるためには、反応速度をこれまで以上に上げることが必要不可欠。2020年の東京五輪を見据える守護神は日々の練習から集中力高く取り組んでいる。東京五輪を見据える中では、ライバルGKの存在も気になる様子。大型守護神の現在地は?

―1年生ながら開幕戦から全試合に先発しています。ここまでの手応えはいかがですか?
「チームの順位は7位なので良くないのですが、自分のプレーとしては思っていたよりかは、やれているかなという感じです」

―大学サッカーでも通用するなと感じた部分は?
「開幕戦の早稲田大戦では何もできなくて、シュートも簡単に入れられて、絶望というか結構なショックで。本当にこのままでいいのかと思ったんです。でもトップチームで練習する時間が長くなってくると、大学サッカーのシュートスピードにも慣れて、そこから試合中にシュートを止められる本数も増えてきました。高校のときはシュートストップの練習をそんなにしなかったので得意ではなかったんですけど、流経大はかなりやるので、逆に前期リーグを通じて、そこが自分のストロングになったと思います」

―手応えも感じるなか、課題はどこにあると感じていますか?
「プレーに安定性がないということがウィークポイントかなと思います。高校のときからなのですが、1試合を通して“ウィーク”がないというのがあまりなくて。いいプレーをしていても、どこかで必ずミスが起きたり、簡単なプレーに集中を欠いてミスをしてしまったりしていて。今も中野監督から“当たり前のことを当たり前にやるように心がけろ”と言われていて、練習から心がけているんですが、まだまだ意識が足りていないと思います」

―今季の関東大学リーグはルーキーGK豊作の年となっています。流通経済大ではオビ選手が守り、慶應義塾大ではGK上田朝都(1年=横浜FMユース)選手が開幕からフル出場しています。同級生のGKは気になりますか?
「やっぱり気になりますね。失点数も気になりますし、各チームの総失点数は気にして見ています。まずは慶應義塾大を見ますね。完封していたら? それはちょっと……“少しは失点しろよ”とは思ってしまいますね(笑) 同じ1年生としてライバル意識があるので」

―ちなみにオビ選手がGKを始めたきっかけは?
「小学校3年生まで地域の少年団でサッカーをやっていて。小4、5くらいでのトレセンで良かった人が大宮アルディージャジュニアのセレクションにいけるというのがあったんです。そのトレセンまではフィールドプレイヤーでFWとかをやっていたんですけど……」

―たくさん点を取るようなFWだったんですか?
「いえ、全く。点はそんなに取れなかったです。すごく下手くそだったので、トレセンのメンバーにもなれなかったんですが、いけなくなった人の代わりにトレセンにいくことになって。周りは上手い人がたくさん居ましたからね」

「それでも、なんとか大宮のセレクションまでは進めて。そこでGKをやってみないかと提案されました。元々チームの人数が少ないというのもあって、たまにGKもやっていたんですけどが、本職ではなかったんです。でも、そのセレクションで大宮ジュニアのGKコーチに指導してもらって、面白みを感じたので、大宮ジュニアにはGKで入り、そこからGKを本格的にやるようになりました」

―GKに抜擢されたというのは、当時から背が高かったり、秀でたものがあったのでしょうか?
「すば抜けて大きかったわけではないですけど、背は高い方でした」

―フィールドプレイヤーからGKへポジションを変える中、FWに戻りたいと思うようなときはありましたか?
「たまに練習試合の3本目とかにポジションを混ぜて、フィールドプレイヤーとしてやっていました。そういう時は点を取りたかったんですけど、やっぱり苦手なんですよね。それで、FWは向いていないかなって思った記憶があります」

―今ではGKというポジションのどこに面白みを感じていますか?
「最初は地味なポジションだなと思ったんですけど、止めたときのチームのためになったという感じがDFよりも分かりやすいのかなと思うようになりました。止めた喜びというのは本当に大きいです」

―GKというポジション故の厳しさというものはあるかと思います。
「ゴールへ一番近いポジションだからこそ、ミスが失点に直結してしまうので、その緊張感はありますね。逆にそこが面白みでもあるんですけど。責任重大だと思います」

―今ではGKというポジションを楽しんでプレーしていますか?
「GKというポジションはやっぱり楽しいですね。逆にミスがはっきりしているので、反省もしやすいですし、そういう面では自分に合っていると思います」

―今の時点でGKとして、より身に着けたいと感じている部分はありますか?
「GKはシュートを止めるのが当たり前。技術も伸ばさないといけないんですけど、やっぱり攻撃参加という面をつければ、世界に通用する選手にもなれるかなと今は考えています」

―世界に通用するという意味では、オビ選手は2020年に迫る東京五輪世代です。以前もそこへの出場を目指していると話していました。現時点では、東京五輪への“距離”は?
「高校の頃は代表しかなかったんですけど、今は大学選抜などもあって、試合にも出れているので色々な人から見られている分、可能性というのは少しはあると感じていて。高校のときよりは近づいていると思っています」

―東京五輪を戦う年代別代表に入るためには、まず現在のU-19日本代表へ選出されることが大切になるかと思います。U-19日本代表への思いは?
「やっぱり入っていきたいという思いはあります。今入っている2人(小島亨介(早稲田大)、廣末陸(青森山田高)が僕らの代のGKではなく、1個上と1個下なので。負けじと、そこに僕も入っていきたいと思っています」

―そこでの悔しさはかなり強いんですね。
「悔しいです。めっちゃ悔しいです。あの二人を嫌いになりそうなくらい悔しいです(笑)」

―前期リーグを終えて、アミノバイタルカップでは敗退。今後は天皇杯茨城予選と後期リーグ、出場権を得ることができれば全日本大学選手権(インカレ)が待ち構えています。
「まずは天皇杯と後期リーグがあるんですが、日本一になりたくて、この大学に入ってきたというのがあるので、そのためにはまずインカレに出ないといけない。なので、もちろん優勝は目指していますが後期リーグで5位以内に入って、インカレで日本一になりたいというのが目標です」

―大学へ来て、最初に驚いたのがシュートスピードの違いと話されていました。プレー中のスピードについて、GKというポジションだからこそ意識している部分はありますか?
「身体を動かすスピードを早くすることを一番意識しています。大学に来て、何よりもまずシュートスピードの違いを感じたので、そこに対応できるようにしないといけないと。そのためにまずは反応を早くしないといけないと思いました」

―今回履いたサッカースパイク「SPEED OF LIGHT PACK」は異次元のスピードと瞬時のボールコントロールを追求したモデルとなっています。足を入れての感触はどうでしたか?
「すごくフィットしていて、歩いた感じの踏み込みもいいので、反射スピードも出そうです。軽いのでいいですね」

―カラーも光のスピードを表現する明るいカラーを採用していて、鮮やかなレッドになっています。
「暗い色は重い印象になる気がして、あまり好きではないので、こういう明るい色が好きです」

(取材・文 片岡涼)
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