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体調不良?プレッシャー?吐き気をこらえ…桐蔭横浜大MF今関主将が“本能”で同点弾

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主将の意地、同点弾を決めた今関主将

[11.5 関東大学サッカーリーグ第21節 桐蔭横浜大3-2早稲田大 BMWス]

 頼れる主将が背中で示した。桐蔭横浜大のMF今関耕平(4年=千葉U-18)は0-2からの逆転劇で1点目のきっかけをつくっただけでなく、2-2の同点弾を決めるなど、主将の名にふさわしい活躍をみせた。

 関東大学リーグも残るは2試合。10位の桐蔭横浜大は11位の早稲田大と対戦。両者は勝ち点2差となっており、互いに1部残留へ向けて勝利が必要な大一番だった。

 試合会場へ移動中のバスで吐き気が襲ってきた。最初は「乗り物酔いかな」と思ったというが、しばらく経っても収まらない。「体調不良なのか、もしかしたら緊張していたのかも……」。試合直前、ユニフォームへ着替えるときには耐え切れずに嘔吐した。しかし、「ここで言うのは嫌だな」と主将の意地もあり、DF佐々木俊輝(4年=厚木北高)以外の仲間には、体調が万全でないことは知らせず。平静を装い、試合へ臨んだ。

 幸い、吐き気以外の症状はなかったため、フィジカル的には問題なくプレー。ドリブル突破で相手2枚をかわすなど見せ場もあったが、要所要所で簡単にボールを失うなど、らしくないプレーもあった。味方からは「(ボールを)失いすぎ」とも指摘されたという。チームは前半を0-2で終えた。

 悔いの残る前半の45分間。主将は「前半は不甲斐ないプレーばかりで全然ダメで。キャプテンとして引っ張る立場なのに、あのプレーではダメ。何よりも結果が欲しいと思っていた」。そんな思いは結果につながる。

 後半開始2分、PA右から持ち込んだ今関のシュートは相手GKに弾かれるも、ルーキーMF杉山雄太(1年=札幌U-18)が決め、1-2に詰め寄った。そして後半13分には今関が自らゴールネットを揺らす。FW鈴木国友(3年=相洋高)のクロスに飛び込み、頭で叩き込んだ。

「何よりも結果が欲しいと思っていて、あそこを狙ったというよりも、本能的に飛び込んでシュートを打った感じです。試合後に監督には“代えようと思っていた”と言われました。それでも結果を残せて、本当に良かったです」

 2-2と振り出しに戻した桐蔭横浜大は後半23分に逆転に成功。3-2で試合を終え、1部残留を大きく近づけるとともに、全日本大学選手権(インカレ)出場へ望みをつないだ。

 試合後、今関は「自分たちよりも早稲田大の方が伝統など背負っているものが違うなと、戦っているなかで感じました」と率直な感想を口にした。しかし、そんな伝統校を前に2点ビハインドを跳ね除ける逆転劇。今季初のインカレ出場で4強入りを果たした桐蔭横浜大が、新興勢力として着実に力をつけていることを印象付ける一戦だった。

「まずは次の試合へ向けて。これでインカレも狙える可能性が残ったので。次に向けてしっかりと準備したい」。大一番を終えた頼れる主将は、その視線を先へ向けた。

(取材・文 片岡涼)
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