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[MOM405]関西学院大MF山本悠樹(1年)_頼れるルーキーが1G2A、読み通りのセットプレーで得点生む

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1得点2アシストと結果を残したルーキーMF山本

[11.13 第94回関西学生サッカーリーグ後期第11節 阪南大1-4関西学院大 ヤンマースタジアム]

 頼れるルーキーが結果を残した。関西学院大のMF山本悠樹(1年=草津東高)は阪南大戦で1得点2アシストの活躍。4-1の勝利に大きく貢献した。ピッチ上で相手のウィークポイントを読み取り、そこを突いて得点を挙げるなど1年生らしからぬ堂々としたプレーだった。

 関西学院大は阪南大戦でセットプレーがポイントになると睨んでいた。通常は週末のみ行うが、今節のために平日からセットプレーの練習に時間を割いた。MF森俊介(4年=東山高)やFW出岡大輝(4年=G大阪ユース)とともに、キッカーを務める山本はDF米原祐(4年=作陽高)主将と幾度も話し、精度を上げるべく取り組んだという。

「米くんと話しながら、ずっとやらせてもらってきて。サブの選手はずっと守備に入ってもらって、時間をかけてやってきたので、しっかりセットプレーで点を取らないといけないなと思っていました」

 その思いは結果につながる。この日は4点中2点がセットプレーから生まれた。開始約1分のファーストチャンス。山本の左CKからゴール前右へ飛び込んだ米原がヘディングシュートを叩き込んだ。

 決めた主将が「CKは練習していた形だったので、自信を持ってやれたというのが自分のなかにはあったかなと思う」と言えば、アシストしたルーキーは「あの一本を蹴って、点につなげることができたら、チームとして楽になるかなという思いで蹴ったのを米くんが上手く合わせてくれました」と振り返る。

 さらに1-0で迎えた後半18分に山本は自ら得点を記録。出岡の右CKをニアサイドの味方がスルー。ゴール正面、DFの間のスペースで待ち構えてのシュートはクロスバーの内側を叩き、ゴールインした。

 この場面も狙い通りのもの。1-0で折り返したハーフタイム、選手間ミーティングで「前半に自分がCKを蹴ったとき、“あそこ”が空いているとは思ったので、『後半にチャンスがあったら狙っていこう』と話していました」。練習を重ねてきたサインプレーを使うべきだと、選手たちが共通意識を持ったことでゴールは生まれた。

 シュートを決めた山本は「大輝くんがいいボールをくれて、相手も出てこなかったので。コースはあまりなかったんですけど、当てることだけ意識して打ちました。バーに当たって入ったので運もあったと思うんですけど、良かったです。バーに当たった瞬間ですか? 『入れ!』という感じでした」と笑顔をみせた。

 この日の山本は1G1Aに留まらず、後半28分には広い視野を活かし、3-1とするゴールをお膳立て。左サイドでキープし、タイミングを見計らって抜けた出岡にパスをつなぎ、ゴールにつながった。

「大輝くんが裏で勝負したがっていたので。パスを受ける前、相手の逆サイドのCBが大輝くんを離してオフサイドトラップをかけようとしていたのが見えて、一個ためてからパスを出そうと思いました。相手DFのラインが上手くいかなかったかなと。自分的にオフサイドにかかっている雰囲気はなかったので、パスを出しました」

「大輝くんがしっかり決めてくれたから、それは大輝くんが良かったんだと思います」。ハニかんだルーキーは「あそこで決めきれる4回生という存在が大きいと思うし、自分だったらどうかわからないので……。3点目は相手のダメージになっていましたし、チームとして大きな1点だったので良かったなと思います」と謙虚に話した。

 チームはその後に1点を追加。4-1の勝利で勝ち点3を上乗せると、2位を死守。関西第2代表として全日本大学選手権(インカレ)へ出場することが決まった。

 試合後、関西学院大の成山一郎監督は山本について「今日のように得点に絡めるというところが効いているので使っています」と言い、「彼は攻撃で期待しているんですけれども、今日の試合では前半あれだけ守備でも頑張ってくれましたし、守備を頑張った中で攻撃でも結果を出したというのは、すごくよくやってくれたと思います」と労った。

 先制弾の米原主将も「攻撃や得点にいつも絡んでくれるので。まだ1年生なんですけど、すごく頼りになる存在ですし、これからインカレに向けても頼りになってもらわないと困りますね」と期待を寄せる。

 草津東高から今春に関西学院大に進んだ山本。開幕前に右足太腿裏肉離れをして出遅れた。その後に復帰して大学リーグデビューを果たすも、練習で同箇所を傷めて再離脱。前半戦は「スタンドから見ていて、阪南に負けたり関関戦で勝てないのを上から見るしかできすに悔しかった」。

 それでもコンディションが整い、出場時間を伸ばし始めると、いまや欠かせない戦力となっている。故障で出遅れるなか、ルーキーイヤーで5得点6アシストという結果は胸張れるものだ。それでも山本は謙虚に言う。

「普通に自分が落ち着いてプレーできたら、いいところは出せたと思うし、きょうも阪南で相手は強かったですが、1G2Aできたのは自分で出来るという手応えを感じています。その分、求められるものは高くなっていくと思うので。奢ることなくやっていきたいです」

 今季の関西学院大は総理大臣杯に出場できなかったため、今冬のインカレが大学進学後、初の全国大会になる。「どういう雰囲気かわからないんですけど」とイメージを膨らませるルーキーは「アシストよりもゴールというところに自分はずっとこだわってやっているので」と全国舞台での得点を誓った。

「きょうは自分が外した後に点を決められて、そういう部分の責任も感じました。ああいう試合で点を取れる存在の大輝くんなど、前の選手がいるので。ああいう人の背中をしっかりと見て、自分も来年や再来年にチームを勝たせられる選手になっていきたいです」

 関西学院大の頼れるルーキーが大学進学後初の全国大会に挑む。大舞台で全国の猛者を相手にどれだけ自分のプレーを出来るのか、今後のひとつの指針になることは間違いない。確かな技術と広い視野、高い戦術眼を武器に冬の大学日本一決定戦へ挑む。

(取材・文 片岡涼)
●第94回関西学生リーグ特集

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