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[MOM469]順天堂大MF毛利駿也(4年)_プロ内定選手の適応力、結果残し100万ドルの笑顔

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今季初ゴールに笑顔を弾けさせるMF毛利駿也(4年=山梨学院大高)

[10.1 関東大学1部L第14節 順天堂大2-0明治大 佐倉市岩名運動公園陸上競技場]

 100万ドルの笑顔が弾けた。この日は右MFでの先発となった毛利駿也(4年=山梨学院大高)は、順天堂大が1点リードの後半12分、FW杉田真彦(4年=静岡西高)のパスを右サイドで受けると、ミドルレンジから左足を振りぬく。「真彦が出してくれるというのは分かっていた。相手の袴田(裕太郎(3年=浜松開誠館高))選手との1対1で逆を突けたので、あとは決めるだけでした」。狙いすましたシュートは一直線にゴール左隅に突き刺さった。

 毛利は卒業後、ツエーゲン金沢への入団を決めている。最初に声をかけてくれたクラブで、地元の富山県と同じ北陸地方に本拠地を置くクラブ。両親を安心させたいという思いで、夏を前に入団を決めた。

 順天堂大サッカー部の公式サイトの選手紹介のページでは、アピールポイントの一つに「100万ドルの笑顔」と記すムードメーカー。この日も試合後はスタンド応援席の声に応えて、おどけながら音頭を取った。「イジられキャラを貫かないと、つまらないって思われちゃうので。金沢でも?いや~どうですかね。まずは空気を読もうかな」。試合後も茶目っ気たっぷりに取材に応じた。

 この日は約2年ぶりに右SHでの出場となっていた。毛利は前期の第10節で右足首を負傷。アミノバイタル杯や総理大臣杯は騙し騙し出場を続けたが、そのことが怪我の完治を遅らせた。

「アミノが終わって少し休んでいたのですが、練習に復帰してまた怪我してしまった。大臣杯にも出ましたが、そのあと同じところをまた怪我してしまった。このままじゃダメだと思ったので、思い切って監督に『休みます』って言いました」

 堀池巧監督からは「ポジションがなくなるよ」と言われたというが、まずは怪我の完治を優先することが、自身のため、そしてチームのためになると考えた。後期が開幕して2戦、毛利の姿はスタンドにあった。

 だがチームに復帰してみると、思わぬ事態になっていた。それまで左SBを主戦場として戦ってきた毛利に与えられたポジションが変わっていたのだ。「いきなり右のハーフで使われるという話が部内で出ていて。監督からは直接聞いていなかったのですが…」。

 ただしその復帰初戦で、勝利を呼び込むゴールを決めることが出来た。右SHのポジショニングに戸惑うことが多く、「今日のプレーは全然ダメでした」という試合だったが、「結果が出せたのはマジでデカい」と100万ドルの笑顔が弾ける結果になった。

 得点自体も今季初。昨年もセットプレーを合わせた2点とPKによる1点のみで、流れの中からの得点も2年ぶりだった。攻撃的ポジションに移ったことが影響していると本人も話すが、プロ内定選手として、他選手との違い、適応力を示したのはさすがだ。

 チームは首位筑波大との勝ち点1差をしっかりキープした。「後期は先に点が取れているのですが、先に点を取られたらどうなるのかなというのはこのチームにはある。逆転する力があれば優勝できるのなかと思う」。ただ1990年以来となる優勝が現実的な距離にあることは間違いない。毛利の鼻息も荒い。「歴史を作りたい。今年が最大にチャンスかなと思っています」。

(取材・文 児玉幸洋)
●第91回関東大学1部L特集

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