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全日本選抜唯一の一年生、井上健太は福岡大OB永井謙佑のようなシンデレラボーイになれるか

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FW井上健太はスピードを武器に全日本選抜で勝負する

 今大会で活躍すれば、先輩であるFW永井謙佑(FC東京)のように一気にシンデレラボーイへの階段を駆け上がるだろう。そんな期待を抱かせるのが、このチームただひとりの1年生であるFW井上健太(福岡大)だ。

 スピードが武器のアタッカー。ゴール前に一気に切り込めば、会場がどよめく。だが代表歴は、これまでほとんどない。だから今大会のメンバーに残ったときは「リストには、メディアで名前を見たことのあるような選手の名前ばかりで驚いた」という。

 メンバー選出のチェックも兼ねる『デンソーカップチャレンジサッカー 熊本大会』(以下デンチャレ)では5位に終わったこともあって、「選ばれるとは思わなかった」。特に、初戦の九州選抜戦では、強烈なミドルシュートでゴールを狙ったが、惜しくもバーを叩いてゴールならず。「決定機を決められず、結果を残すことができなかった。残り2日間でアピールしようと思ったけれど、いいパフォーマンスだったとはいえない」と振り返る。

 1月に行われたU-21代表とのトレーニングマッチ、そして2月のデンチャレでは、1、2年生だけで構成された全日本大学選抜でプレーした。東京五輪世代で構成されたこのチームは、来年にナポリで行われるユニバーシアード大会に向けて編成されたチームだ。日韓戦のメンバーに残ったことには驚いたという井上だが、1、2年だけの全日本大学選抜に選出されることは、なんとなく「予感があった」という。

 昨年末に行われたインカレ(全日本大学サッカー選手権大会)では3試合に出場し1得点。鮮やかなスピードで相手DFの裏へと抜けだしてチャンスをつくり、関東や関西の強豪に「対等に渡り合えたという手応えがあった」。

 ただ、U-21代表とのトレーニングマッチは「課題が大きく残った試合」という。

「全日本大学選抜としてみれば押し込む時間帯はあったし、相手のビルドアップを前からの守備ではめて、速い攻撃に展開することはできていたと思う。でも個人としては、自分の武器である突破力を見せることができなかった。プレーの持続性、攻守の切り替えの速さ、オフ・ザ・ボールのときのポジショニング。すべてが課題でした」

 それでも、全日本大学選抜では「自分が走れば走るほどボールが出てくる」と目を輝かせた。「自分はスピードや背後への抜けだしが武器ですが、そこにきちんとボールを落としてくれる。やはり、うまい選手が多いチームならではだと思います」。

 同じく、福岡大の韋駄天FWとして名を馳せた永井のことは「全日本に選ばれるようになって、意識することも増えてきた」という。福岡大の乾真寛監督からは大学当時の永井のプレーや練習での様子が語られ、トレーニングデータなどを見せられることもあるそうだ。今は素直に「あの人に追いつきたい」という存在になっている。

 九州地域からのただひとり残った、唯一の1年生。その理由を、自身では「マックスのときのスピードが評価されたのかな。データを見ると前線からの運動量とスプリントを繰り返す回数がチームでいちばんだったので」と見ている。全韓國大學選抜との試合では、やはりそのスピードを活かしていきたいという。

「どんどん縦に仕掛けていって“なんかこいつ、違うぞ”と思われたい。それで”関東や関西にはいないタイプの選手だ”と覚えてもらえたらうれしいですね」。

 昨年、U-19全日本大学選抜として対戦した韓国のチームには、“勝ち”に対する貪欲さを感じた。だからこそ、その貪欲さに負けないよう今大会では「がっつきたい」という。関東や関西の選手にない貪欲さとそのスピードで相手を圧倒できれば、井上の“永井越え”の道も自然と見えてくるだろう。

 井上が全日本大学選抜の一員として参加する第15回大学日韓定期戦は、今週末、3月18日に柏の葉陸上競技場で行われる。キックオフは12時30分。未来のJリーガー、日本代表選手を見逃すな!入場料は一般は当日1500円。前売りは1200円。高校生以下は入場無料となっている。

(取材・文 飯嶋玲子)

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