beacon

「得点感覚とシュートが凄い」「今年はやってくれる」期待のストライカー、同志社大FW金潤求が先制弾

このエントリーをはてなブックマークに追加

先制点を奪った同志社大FW金潤求(9番)がチームメイトに祝福される

[3.21 第68回京都学生選手権大会準決勝 同志社大4-1京都産業大 立命館大原谷G]

 京都の大学No.1を決める第68回京都学生サッカー選手権大会の準決勝が21日に行われ、同志社大京都産業大が対戦。4得点を奪った同志社大が勝利し、25日に立命館大と戦う決勝戦へと駒を進めた。

「(関西)1部のチームが相手なので、試合前にも『ここでしっかり叩いて、リーグ戦でやりたくないと思わせよう』と話していた」。DF吉村弦(新4年=G大阪ユース)が、そう振り返るように、2年ぶりに1部リーグ復帰を果たした同志社大にとって、京産大は自分たちの“力試し”に持ってこいの相手だった。

 1部で戦えるチームになるために、拘ったのは守備の部分だ。チーム全体での守備意識を保ちながら、チャレンジ&カバーを徹底。京都産業大FW久保吏久斗(新4年=C大阪U-18)のスピードに手を焼く場面もあったが、失点を回避しながら、試合を進めた。攻撃も、積極的に前線へボールを入れつつ、「俺の持ち味は攻撃参加。チームの皆もそれを分かってくれているので、上がったら使ってくれる」と話す吉村ら後方の選手が積極的に攻め上がり、チャンスを伺った。

 厚みのある仕掛けの中でも、特に効いていたのは、「これまでなかなか京産大には勝てなかったので、僕らの代で雪辱を晴らしたかった」と意気込んだFW金潤求(新4年=近大附高)だ。決して、体格的に恵まれた選手でなければ、スピードや技術面に秀でたタイプでもない。「ゴールばかり見ているので、多少強引にでもシュートを打つのが僕のプレー。ちょっとバランスが崩れても、強いシュートが打てる」と自己分析するように、倒れそうになっても、強引にゴールを狙いに行くのが彼の真骨頂だ。

 前半25分に生まれた先制点は、まさに彼の持ち味が活きた場面と言えるだろう。左サイドを上がったDF高森大夢(新4年=JFAアカデミー福島U18)のパスをPA左外で受けると、素早く前を向き、中央にカットイン。体勢を崩して放った一撃だったが、勢い十分のシュートが、GKの脇を射抜き、先制点となった。直後の27分には、左を上がった吉村のパスをゴール前で受けると、切り返しの連続から左足シュート。惜しくも、左ポストに阻まれたが、望月慎之監督が「あんなプレーは見たことない」と口にするほどの活躍を続けた。

「前半の欲しい時間に点を獲れた」(望月監督)ことで、心の余裕が生まれた後半は、同志社大の攻撃の勢いが加速する。左CKからDF村上寛和(新4年=富山一高)がヘディングシュートを決めると、36分にはDF伊藤駿光(新1年=清水ユース)が大学初ゴールをマーク。39分にMF田尻京太郎(新2年=東福岡高)が上げた右クロスから、京都産業大FW和田健太郎(新4年=G大阪ユース)にヘディング弾を決められたが、同志社大はアディショナルタイムにDF長谷川雄大(新2年=海星高)がダメ押し点を決めて、試合を終えた。

 チームに弾みがつく先制点を奪った金だが、これまでは「得点感覚とシュートが凄い」(吉村)という持ち味を存分に発揮できずにいた。Aチームに昇格した大学2回生の開幕前は、コンスタントに得点を重ね、リーグでの活躍が期待されていたが、右足の腓骨を負傷し、戦線離脱。手術により状態こそ回復したが、昨年は本来のプレーが取り戻せず、活躍できなかった。また、「試合ごとに波があるので、次の試合でどうなるか分からない」(望月監督)という課題も飛躍のブレーキになっていた。

 しかし、「ラスト一年は結果に拘りたい。一番は僕が得点を獲って、チームがより上の順位に行くのが理想」と意気込む今年はこれまでとは違う。「良いコンディションを保てば、結果もついてくる」と続ける通り、万全の状態を保ちながら、試合に挑んでいることが奏功している。吉村が「昨年は試合に出られなかったけど、能力は本当に高かったので、今年はやってくれるだろうと思っていた。リーグでもアイツに一番、期待している」と話すように、この日の活躍は大暴れの前兆にすぎないはずだ。

(取材・文 森田将義)

TOP