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「選手権から大学サッカーへ」法政大MF田部井涼「私生活、日々の生活は高校時代よりもこだわっていると思います」

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前橋育英高の主将として選手権優勝を経験した法政大MF田部井涼

 ゲキサカでは高校選手権で活躍し、今春から関東大学1部リーグのチームへと戦いの場を移した注目の1年生プレーヤーたちを特集。「選手権から大学サッカーへ」と題し、大学へ進学してから1、2か月経った1年生の現状や普段の大学生活、高校時代について、また大学のチームメートの“ヤバいやつ”などについて語ってもらった。

 第1回は法政大の注目ルーキーたち。前橋育英高(群馬)の主将として同校を高校選手権初優勝へ導き、日本高校選抜でも主将を務めたMF田部井涼がインタビューに応えてくれた。(取材日:5月18日)。

●MF田部井涼
―入学から1か月半ほど経ちました。肩の手術をしたりでサッカーだけでなく生活環境など色々変わったことがあると思うが?
「一番大きな決断は手術だったので。ちょうど1か月前に高校選抜を優勝(デュッセルドルフ国際ユース大会)という形で終わることができて、(関東大学1部)リーグ戦にも出ることができました。そこで自分にも迷いがあって。選抜で結果を残せましたし、リーグ戦にも出れて、代表も視野に入れられる状況だったんですけれども、目先の目標じゃなくて、4年後にプロになるという目標が自分にはあるので、それ(手術)を決断したことが自分にとってこの1か月で一番大きな出来事だったと思います」

―1年生でリーグ戦デビューし、代表入りのチャンスも。手術前は葛藤があったと思うが?
「(手術することを)自分の中では決めていました。自分の中では(選手権や大学サッカーで)こんなに結果を残せると思っていなくて。でも、(昨年12月の)プレミア参入戦で最後肩が抜けたので手術するって決めて、時期的にはこの時期に手術するしかないというタイミングでやりました」

―報道されていなかったと思うが、選手権中もずっと肩は痛めていた?
「選手権中はずっとテーピングしていましたね」

―選手権期間中は肩が抜けることはなかった?
「参入戦の時に抜けてうずくまったんですけれどもすぐに立って……。あの時にキツイなと思って、(高校サッカーが)終わってから手術するのは決めていました」

―選手権で優勝していなかったらもっと早く手術していたかもしれない。
「選手権優勝と高校選抜が時期を決める前のタイミングだったので、それがあって今手術しましたけれども後悔はしていないです。高校選抜でいい経験ができましたし、タイミング的にここしかないと思います」

―復帰は?
「夏明けには復帰できると思います。8月に復帰できれば一番良いですけれども、焦っても意味がないので」

―大学サッカー、まだわずかだけど難しいことや良さなど感じた部分は?
「難しさは色々あるんですけれども、まずは寮生活になって朝も早い。その環境に慣れるのに少し時間がかかりました。フィジカル的にも、コンディション的にも慣れるまで難しいなと思っていて、リーグ戦で出た試合で感じたのはフィジカルのところが一番の差だと思います」

―大学サッカーに自分が求めていることは?
「ピッチ内というのが一番大事で練習も一生懸命やる。抜こうと思えば抜けちゃうと思うんですよね。大人として扱われるし、その中で一つの練習を(前橋)育英時代はこだわってやってきたので、それを続けたいです。1タッチのプレーとか、トラップが本当に良いところに置けているのかとか、そこまではこだわってやっていなかったので、こだわってやる4年間にしたいと思っています。あとはピッチ外のところも授業も自分で決められて、自分の時間が本当に作れると思うんですよ。そこがプロになれるか、なってから活躍できるかの差になると思うので、自分だけの時間を大事にしていきたいです」

―大学生活はどう?
「勉強が難しいです。(学部は)経済学部です。そこは同じクラスの子とか授業受けている子に聞かないと分からないので、コミニュケーション取ってもらっている。親にお金を払ってもらっていますし、そこはしっかりとやっていきたいですね」

―空いた時間は?
「試合の準備とか1年生の仕事があるんですけれども、あと寮にトレーニングルームがあってそこでコンディショニングとか体幹とかやっていました。今はリハビリをそこでやって、先輩たちもそこにいるので、話をしながらリハビリと下半身のトレーニングをしっかりとやっていますね」

―サッカー中心の生活は変わらないのかな。
「変わらないですね。サッカー中心で物事を考えている。『これ、サッカーに必要かな』と常に考えてやっています」

―大学で「田部井涼だ」と言われる?
「男の子には言われますね。女性には言われないです(苦笑)。飯島は多分言われると思いますよ。(松井)蓮之も有名なので言われると思うんですけれども」

―今年の1年生はかなりタレントが揃っている印象だが?
「今年はタレントも多いです。私生活のところはダメなところも結構あるので、自分がミーティングで結構厳しく言っているんですけれども、サッカーに対しては真摯というか、しっかりと向かい合ってやっています。タレントと言われて高校時代に結構脚光を浴びてきた選手が多いんですけれども、満足せずにやれていると思います」

―“ヤバい”やつはいる?
「(飯島)陸が一番評価されていると思うんですけれども、サガン出身の森山真伍は陸とか(蓑田)広大に比べたら全然知られていないんですけれども、サッカーに対して真摯で自分も結構考え方が似ている部分があって、ずっと怪我して苦しんでいた分、彼には期待というか、凄い選手であることは間違いないので頑張ってほしいですね」

―他の選手はどう?
「蓮之も広大もそうなんですけれども田中和樹はスピードがあって、1年生の中で一番出るのが早かった。開幕戦も出ていますし、そういう経験っていうのは上の学年になったり、4年生になった時に活きてくると思う。これから活躍してくれると思います」

―先輩はどうかな?
紺野和也くんと上田綺世くんが凄い。高校時代めちゃくちゃ成績を残したかというと、そうじゃないと思うんですけれど、凄い選手です。同じ(ボランチの)ポジションの中では下澤悠太くんと大西遼太郎くん、そして末木裕也くん。3人がフィジカル面とか巧さ、パス一本の質とかちょっと違うなと。そこは怪我して外から見ることで改めて気づくことができました」

―高校時代に学べたことを振り返ると?
「自分はやっぱり、人間性というか、サッカー外のところが一番サッカーに出るよと。自分も高校2年や1年の頃はどっちかというとヤンチャというか、そういう一面があったので、(人間性が大事かというと)果たしてそうかなと疑問がありましたし、結果に出るのかなとか、授業中寝てても、服装正さなくてもいいだろうと思っていたんですけれども、いざ自分がキャプテンになってやってみると、やっぱり見えない力は絶対にあると知ることができたので、大学生になってもより意識していると思います。(大学生活では)周りが大人に近づいて緩いところがあるので、そこに合わせてはいけない、合わせてはいけないと思っていて、そういう私生活、日々の生活は高校時代よりもこだわっていると思いますね」

―高校のチームメートや同級生と連絡は取る?
「(双子の兄である田部井)悠(早稲田大)とは毎日取っていますね。あと(渡邊)泰基(新潟)とか結構取っていますし、泰基とかもうそろそろ来るんじゃないかと思っている。プロに行った選手の話は面白いので色々な話をしていますね」

―4年後の自分をどう想像している?
「大学1年の始まる前に短期と中期と長期の目標を立てて、短期は自分の中で出遅れた感はありますけれども新人王を取れるように。その前に試合に出なければいけないですけれども、死ぬ気で頑張って、結果を少し残す1年にしたいと思っている。高校選抜で少し感覚的には掴めてきているので新人王を目指して、チームとしては大臣杯とかインカレで優勝する力があると思っているので、その力になりたい。そして4年生になったら全部のタイトルを取ることが目標ですね。それが中期というか長期のちょっと前のところ。(高校選手権で)日本一になって学べたことを活かすのは使命かなと思っていて、その中で(角田)涼太朗(筑波大)は出ていますし、悠ともやれる機会は絶対にあると思っているので、負けずに絶対に倒したい。自分が学べたことを陸と一緒に出せれば絶対に勝てると思う。優勝して、J1のクラブに行きたいというのが一番の目標ですね」

(取材・文 吉田太郎)

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